じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
クワクサ。昨日のオオアレチノギクと並び大学構内の迷惑雑草チャンピオン候補の1つになっている。もっぱら種で増える、放っておくと一面を覆い尽くす。土が肥えているところではかなりの大株になる一方、乾燥した硬い土でもそれなりに種を増やす。



9月17日(日)

【ちょっと思ったこと】

台風13号の影響

 台風13号(SHANSHAN)は18時過ぎに長崎県佐世保市付近に上陸し、20時過ぎに九州の北の海上に抜けた。九州では竜巻や大雨による被害があったが、岡山市では夜半に風もおさまり(10m/s以下)、18日午前7時現在の24時間積算雨量はわずか1.5ミリ、72時間積算でも9.0ミリにとどまった。もっとも、岡山地域には18日午前7時現在で暴風・波浪警報が出されたままになっている。このあと吹き返しの風が強まるかもしれない。

 心配された交通機関への影響は殆どなく、岡山空港発着の飛行機も、岡山地域の鉄道もほぼ正常通りに動いているようだ。



【思ったこと】
_60917(日)[心理]日本教育心理学会第48回総会(1)「自ら学ぶ力」育成と「学び」礼賛の大合唱

 岡山市の岡山コンベンションセンター(ママカリフォーラム)で、日本教育心理学会第48回総会が始まった。私は会員ではないが、いくつか興味深い企画があり、当日・臨時会員として参加した。

 大会1日目の午後にはまず

●「学習資本主義」社会と教育改革‐「自ら学ぶ力」の格差問題‐

という特別講演が行われた。講演者のK氏は『なぜ教育論争は不毛なのか』、『大衆教育社会のゆくえ』、『教育改革の幻想』、『階層化日本と教育危機』、『教育の世紀』など多数の御著書で知られる著名な社会学者。

 まず、演題の「学習資本主義」という言葉だが、これは、K氏の造語であり、K氏自身がもともと英文で「Learning Capitalist Community」と表していたことを日本語に置き換えたというのが由来であったようだ。ちなみに、心理学では「Learning=学習」と訳されているが、最近ではむしろ、「学び」という和語が幅を利かせているという。




 さて、プログラムの講演要旨の冒頭には
 学習とは何か。この問いは、学習の(心理学的)メカニズムに迫ることによってのみ得られるわけではない。私たちの社会において、「学習」と呼ばれる現象には、どのような意味が与えられているのか。学習め成果として何が求められ、そこにいかなる(社会・経済的)価値が付与されるか。さらには、こうした「社会現象としての学習」が、時代状況とともに、どのように変化しているのか。学習そのものの機序に迫るのではなく、学習と呼ばれる行為やその成果が、どのように価値づけられるようになっているのかという「社会現象としての学習」に注目しつつ、この講演では、学習論の社会学的なとらえ直しをしたい。
ということが記されていた。私自身、学部卒論以来、もっぱら学習心理学分野を中心に研究に取り組んできたところであるが、確かに、現実世界の学習行動を研究対象とするにあたっては、学習のメカニズムを分析するだけでは片付けられない、ということは少なくない。いくら応用といっても、効率的な学習方略を開発するだけでは不十分、その人の属する集団、社会、国、あるいは時代において、その行動が社会的にどう強化されているのかを見極め、また必要に応じて社会的な強化の仕組みを設計・改善していくことがどうしても必要になってくる。特に、学校教育、障害者支援、高齢者福祉などではこのことが不可欠となっている。

 近年、「自ら学ぶ力」育成が教育改革の中核にすえられ、各所から「学び」礼賛の大合唱がなされるようになっている、このからくりはどこにあるのか、また、その結果としてどういう変化が起こっているのかを解き明かすというのが講演の目的であったと理解した。


 時間が無くなったので次回に続く。