じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
9月14日放送のTVチャンピオンで「金魚すくい王選手権」をやっていた。子どもの頃に実家の池で飼っていた金魚はたいがい金魚すくいで手に入れたものだった。

 もっとも室内水槽では、エアポンプなしに金魚を飼うのは難しい。代わりにオススメなのが、ベタ。写真右側のオスは、7月24日の写真右下で、当初はメスだと思っていたがオスであることが判明。ホームセンターから買ってきたメス(写真左)とつがいにしたところ、さっそく泡巣を作り始めた。

 このやり方で毎年、ミジンコほどの大きさの幼魚がたくさん生まれるが、成魚として翌年まで育つのは5〜6匹程度。もっと上手な育て方があるとは思うが、これ以上殖えすぎても飼う場所が無いので、特に工夫はせず、自然の成り行きに任せている。



9月14日(木)

【ちょっと思ったこと】

台風13号の影響

 気象庁によれば、台風第13号 (サンサン) は9月15日6時30分には石垣島の南約350kmにあって、10kmの速さで北西に進んでいる。中心気圧は945hPaで昨日より10hPaほど発達、中心付近の最大風速は45m/sで「非常に強い」にランクされている。

 気になるのは今後の進路だが、現時点では18日午前3時には対馬近海に達し、中心気圧955hPaの勢力を維持するとの予想になっている。となるとやはり気になるのが日本教育心理学会第48回総会の3日目への影響だ。私自身は学会会員ではないので気楽に当日参加するだけで済むが、準備委員各位はご苦労が多いものと拝察される。9月18日にはこちらに案内されているように、準備委員会企画シンポが2件予定されておりぜひ拝聴したいと思っているところだが、はたして無事に開催できるだろうか。
  • 5.現職教員のリカレント教育に果たす大学院教育の役割−教育臨床分野を中心に−
  • 6.確かな学びを創りたい−教育実践への3つのアプローチ−

【思ったこと】
_60914(木)[心理]日本行動分析学会第24回年次大会(10)役立たない手がかりに引きずられるわけ

 大会2日目(9月2日)朝に行われた口頭発表についての感想の続き。

 昨日の日記で
私が参加した会場ではまず、

●食べるペースに違いをつけることが摂食行動のセッション内減少に及ぼす影響
という発表から始まった。
と記したが、これは私の全くの勘違い。トップバッターは

●二者択一選択課題における手がかり刺激と反応の一致傾向について

というタイトルだった。たいへん失礼しました。

 さて、この実験はこういうものだ。2枚のカードを裏返しにして左右に並べ、どちらかを選ぶと正解(得点)となるようなゲームがあったとする。当たる確率は五分五分。その際に、的中率50%で「←」または「→」の矢印を同時に出す。被験体にはあらかじめ、矢印の指示に従った場合の的中率は50%であると伝えておく。

 数学的に考えると、この条件のもとでは、「←」、「→」という指示に従っても従わなくても得点率は変わらない。ところがこれまでの実験によれば、この矢印に従う率(指示に一致する比率)は65%程度になるということが分かっている。この原因としては、
  1. 矢印に従った場合の的中率を過大評価しているのではないか
  2. 矢印の形が影響を及ぼしているのではないか
といった説が考えられる。今回の発表では、矢印の形の影響を検討するため、矢印に替えて、四角マークの色(赤が左、黒が右)で指示する群、漢字で指示する群を設けて、指示に従う比率を比較した。実験ではコンピュータディスプレイに刺激が提示された。

 実験の結果、矢印が提示された場合が従う確率が最も高く(60%以上)、漢字が提示された場合が最も低く、これら2群の間には有意差があった。但し、漢字群でも、指示に従う比率は50%を超えていた。ということで、手がかりとして役に立たない指示であっても、それに引きずられる傾向が見られること、但し、その影響の度合いは、矢印、四角形の色、漢字といった、形や色の違いによって異なるという結果が得られた。




 発表後の質疑によれば、この実験では1人300トライアルが行われたが、今回の報告では最初の100トライアル部分についてのみ集計されたという。試行数が長くなると、指示に一致した選択をする比率は徐々に下がってくる模様である。

 この種の実験は個体差があり、どうやら指示に従わないような被験者も居たらしい。質疑では、なぜ個体内比較で検討しなかったのかという質問も出された。

 またこれは私自身が質問したことであるが、この実験場面では、被験者はどのように頭を使っても的中率を上げることができず、全般にかなり退屈であった可能性がある。矢印などの指示に従う傾向が50%を超える一因としては、「選ぶことに頭を使うのは面倒だなあ。実験者への義理もあるので、矢印で指示されたほうを選んでおこう」というような行動が起こっていた可能性はあると思う。

 また他の条件に比べて矢印に引きずられやすい理由としては、日常生活場面で、矢印に従って選ぶとお得になることが多い(=矢印の向きを弁別刺激として利用する行動は強化されやすい)という点が挙げられる。例えば、目的地に進む時には矢印に従う、直進方向の矢印しか無い交差点で右折や左折をしたら交通違反で罰金をとられる、など。

 なおこの種の研究は、占い師の予言や、コイン投げの結果に従う行動にも一般化できる。どっちを選んでも五分五分であるような選択を迫られた時、占いやコインを信用しているわけでもないのにその「予言」に従う行動をとることがある。但し、今回の実験結果(矢印が四角や漢字より影響されやすいという結果)を拡大解釈するならば、どの占い師の「予言」に従うかは、占い師それぞれの的中の実績ではなくむしろ、占い師の外見(顔つき、服装、身振りなど)の影響を受ける可能性が高いと言えるかもしれない。

 次回に続く。