じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



7月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] 大学法人化とゴキブリの関係を示す証拠が見つかった。なぜ「法人化に伴い」と書かれているのか意図は不明。法人化前と比べて、ゴキブリの通過経路が変わったかどうかを調査している、というようにも解釈できる。



7月29日(土)

【思ったこと】
_60729(土)[教育]大学をむしばむカルト宗教

 7月30日の朝日新聞一面記事によると、某カルト宗教団体が全国50以上の大学で学生信者を獲得していたことがわかった。「教祖側の指示を受けた信者らが有名大学の構内に潜入し、スポーツや文化系のサークル活動を装って学生を誘い込み、徐々に洗脳していく手口」であるということだ(アサヒコムに同一記事あり)。関連ニュースは7月30日朝のNHKニュースでも報道された(7月30日朝の時点ではNHKオンラインから閲覧可能)。

 カルト宗教団体が、各種サークルを偽装して新入生などを勧誘していることについては、私自身、毎年、2〜6月頃に公式サイトでも注意を呼びかけているところではある。自転車置き場や食堂前などでワンパターンのアンケートで勧誘する団体のほか、新入生相手に、「サークルや大学生活のアドバイスをします」などと言って近づいてくる正体不明団体もある(今年度は、学生・教職員教育改善委員会発行のラーニングチップスの中でも、このような注意文が載せられている)。

 もっともこういう注意文を読む学生は、そもそもそんな勧誘には引っかからない。大学に入ってはみたものの友達はできないし、気に入ったサークルがみつからない、授業もイマイチ、...という学生が、ちょっとした気のゆるみから、「何となく面白そうだ」という偽装サークルに誘われてしまうのである。

 では偽装サークルと、そうでないサークルを見分ける手だてはあるのか。いちばん確実な方法は、「どれだけ執拗に勧誘してくるのか」ということだろう。文化系であれ、スポーツ系であれ、ある程度のメンバー数が揃えば、そのサークルの本体の活動(練習、試合、発表、大学祭)に専念するのが普通であって、講義棟の入り口やアパート回りで新たなメンバーを増やすことにエネルギーを注ぐ余裕などないはず。誘いかけをするということは、口先の理由がどうあれ、何か別の魂胆があるはずだと決めてかかれば、惑わされることはまずない、と言ってよいだろう。

 2番目の見極めの手だては、活動の場が、大学内のサークルボックスなのか、それとも大学外の施設にあるのか、ということだ。まっとうなサークル活動をするのであれば、わざわざ、大学キャンパスから離れた場に人を呼び込むようなことはしない。

 3番目に、サークル会員が集団生活をしている事実は無いかということ。これは、その学生の住所を調べれば分かることだが、大学に届け出た住所とは別の場所で共同生活している可能性もあるので、実際に訪ねてみなければ分からない。私の学部では現在、成績不良の学生たちに対して指導教員が定期的に面談を行い、改善状況を学生生活委員会に報告するという対策がとられている。しかし、ごく少数だが、学生との連絡がとれないというケースがある。こういう報道を踏まえて、保護者とも相談の上、より綿密な対策をとったほうがよいかもしれない。