じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
 講義棟前のカイヅカイブキの「落葉」。常緑樹というのはその名の通り、一年中葉をつける木のことであるが、そうは言っても、古くなった葉は落葉する。写真のカイヅカイブキの場合は、雨がたくさん降った時に、それらが洗い落とされるようだ。

 なお常緑樹の中には、特定の季節に大量の葉を落として「衣替え」する樹木もある。クスノキなどは、春に、降るように葉を落とす。



7月2日(日)

【ちょっと思ったこと】

ついに1年の半分が終わる

 平年365日の半分は182.5日。1月から6月までの日数は、31+28+31+30+31+30=181日なので、平年の折り返し点は、7月2日の正午ということになる。最近特に思うのは、半年や一年の短さだ。具体的な達成目標を決めて実行していかないと、あっというまに定年、さらには要介護状態になってしまいそう。

【思ったこと】
_60702(日)[心理]今どきの環境ホルモン

 DVDに録画しておいたNHKためしてガッテン「「?にお答えします 環境ホルモン」(6/28放送。再放送は7/3衛星第2、もしくは7/5NHK総合)を見終えることができた。

 「環境ホルモン」と言う言葉は10年ほど前にはずいぶんと話題となり、当時の小渕首相も国会で重点的に取り組む姿勢を示していたが、その後、いつの間にか、殆ど耳にしなくなった。私自身としては、DDT、PCBなどの有害物質使用が禁止され、さらに、ゴミの自家焼却禁止、分別回収が進むことで、少なくとも日本ではその危険性は著しく低下したものだと思い込んでいたが、番組を視た限りでは、どうやらそうではないらしい。現時点で自信を持って言えるのは「環境への長期的な影響についてはワカラナイ。つまり、安全であるのか、致命的な危険にさらされているのか、とちらとも断言できない」というのが正解であるようだ。(そういえば、2004年2月15日の日記で、この問題について取り上げたことを思い出した)。

 番組によれば、10年前の時点で、当時の環境庁は「SPEED98」というプロジェクトを立ち上げ、環境中の環境ホルモンの濃度を調べたり、魚類や哺乳類に対する影響を調べた。その結果、調査した36物質については「人間への明確な悪影響はなかった」というのが公式な結論となった模様である。しかし、その時点の調査だけでは
  • 36物質以外の影響については未解明。2000種類もの合成化学物質が影響を及ぼす可能性を持っている。
  • ネズミの実験では、生まれて何日後に環境ホルモンを投与するかによって影響の大きさは著しく異なる。国の調査は、一部の期間について「影響なし」と結論しているに過ぎない。
  • 何世代も後になってどういう影響が出るのかは不明。
  • 単一物質では「影響なし」であっても、複合効果はあるかもしれない。
といった点が充分に解明されていないとのことだ。マスコミではすっかり取り上げられなくなったと言っても、研究論文の累積数は、その後もずっと増えているという。




 では、「環境ホルモン」が話題にのぼらなくなったのは、上述の「SPEED98」プロジェクトが「安全宣言」を出したためだろうか。いや、原因はもっと別のところにあるように思う。

 まず考えられるのは、マスコミがこの問題を扱わなくなったこと。要するに、テレビでも新聞でも週刊誌でもそうだが、センセーショナルな話題でなければ取り上げられることは無いのだ。当初報道されたような、野生生物の顕著な生殖異変が発見されれば別だが、単に、統計的な有意差があったかなかったかという程度の調査結果では、ニュースとして取り上げる価値は殆ど無い。

 また、番組記録サイトにも記されているように、「はっきりとした結論が出るまでマスコミとしては扱いにくい」という事情がある。本当は「有害であることがはっきりと結論された」ではもはや手遅れなのだが、ヘタに危険性を強調しすぎると、社会不安を煽るとか、新素材の開発を妨げるといった批判を浴びることになる。

 もう1つの大きな理由は、仮に環境ホルモンが有害であると断定されたとしても、それが影響を及ぼすのは、何世代かあとになるだろうということだ。「百年の大計」に関しては2005年2月6日の日記でも触れたことがあるが、代議制民主主義の社会にあっては内閣は3〜4年で交代し、議員たちは、短期的な成果を出さないと次の選挙で勝つことができない。いま生きている世代と、その子どもたちや孫の世代を益する施策は支持を集めるだろうが、それより先のことにはなかなか考えが及ばない。

 そう言えば、環境ホルモン対策が最も行き届いた国としては、ブータンが思い浮かぶが、ああいう施策がとれるのは国王がリーダーシップを発揮できればこそであろう。もっとも、ウィキペディアによれば「2005年: ワンチュク国王、08年の譲位と総選挙後の立憲君主制移行を表明。 」とあり、その後のことは分からないが。




 ところで、番組によれば(記録サイト参照)、10年以上前、人間の男性精子数が過去50年間で半減したという衝撃的な報告が発表された。その後、世界共通の調査方法が開発され、その真相はいずれ明らかになるものと思われるが、最近のデータによれば、西欧・北欧4カ国の男子に比べて、日本人男子の精子数は最も少ないという、ちょっと気になるデータもあるとか。もちろんこのことが、少子化の根本原因ではないし、まして環境ホルモンの影響であるとも言い難いが、
  • 海産物を多く摂取している(→海の汚染の影響を受けやすい)。
  • 新たに開発された合成化学物質に晒されやすい。
  • 大都会に住む人が多い。
といった日本人男子の生活環境を考えると、全く無関係であるとも断言できないように思える。

 少子化対策により子育て支援が進んだとしても、いざ子どもを作ろうとしたら精子が無かったというのでは、日本の将来や危うい。

 2月5日の日記でも引用・紹介したように、日本は21世紀の地球の縮図であり、また、世界の中で日本こそ、様々な環境問題がもっとも早く顕在化してくることが多い。『課題先進国』として、何世代も先の地球全体を救うための研究に力を注いでほしいと思う。