じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



4月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] 昨年あたりから、駐車場南側の空き地でこの時期に白い花が目立つようになった。赤い実がなることから、クサイチゴではないかと思われるが、なぜここで繁殖するようになったのかは謎だ。


4月19日(水)

【ちょっと思ったこと】

花粉症大都市は地方の2倍

 4/19のNHKニュースによれば、花粉症に悩んでいる人の割合は大都市ほど高く、地方都市の2倍近い差があるという調査結果がまとまった(「日本リサーチセンター」が先月、全国の15歳から79歳までの男女2400人を対象に調査。回答率は46%)。それによれば、「花粉症の自覚症状がある」と答えた人の割合は全体で25%。しかし都市の規模別で見ると
  • 東京23区や大阪、名古屋などの政令指定都市では33%余り
  • 人口が5万人以上15万人未満の都市では26%
  • 5万人未満の都市では18%
というように、人口の規模が小さくなるにつれて「自覚症状がある人」の割合は低くなる結果となったという。

 花粉の飛散量自体は地方都市や山村のほうが多いはずなのになぜこういう結果になるのか。このことについて一部の専門家は「花粉症は大気の汚れが関係していることを示すもので、対策を考えるうえでも興味深い」と話しているというが、うーむ、このデータだけで、大気の汚れと結びつけるのはどうだろうか。

 まず、大都市と地方都市では、調査対象者の年齢構成や職業比率が異なることが考えられる。それよりも遙かに影響を与えると思われるのが通勤・通学時間である。花粉量は少ないとしても、空気の悪い車内に長時間詰め込まれることは悪い影響を与えるに違いない。さらには、ビルの中では空気が極端に乾燥している場合がある。大都市のほうが多いという結果から、直ちに大気の汚れに結びつけるのは単純すぎるのではないかと思う。

【思ったこと】
_60419(水)[一般]熊と小動物が共存する動物園

 4月19日の夕刻、NHKラジオで「熊と小動物との複合展示」という話題を取り上げていた。インタビューに応えていたのは上野動物園・園長さんだったと思うが、あとでネットで検索したら、東京都公式ページの中に

〜上野動物園の新「クマ舎」完成!〜

という記事のあることが分かった。複合展示が予定されているのは
  • マレーグマとコツメカワウソ
  • ツキノワグマとタヌキ、アナグマ
  • ヒグマとキツネ
ということで、4月28日にセレモニーのあと一般公開されるという。

 ラジオで聴いたところでは、複合展示といっても、タヌキやキツネが熊に虐められている様子を見せるわけではない。小動物にはちゃんと避難場所があり、そこに居る限りはのんびりと昼寝ができる。さらに、大地震などが起こった時の安全対策として大型動物は夜間は檻に戻されるが、その時間帯は、小動物たちは自由に放飼場内を歩き回ることができるようだ。

 ではなぜ複合飼育をするのか。ラジオで聴き取れた範囲だが、まずとにかく、野生では彼らは同じエリアに棲息している。動物園で別々に飼育するのは単に管理上の都合によるものであって、よく考えてみればこれは不自然。複合飼育すれば、クマたちは、夜にタヌキやキツネがつけたオシッコの跡を嗅いだりして、これは何だろうと刺激を受ける。小動物たちも適度の緊張の中で活発に動き回ることができる。

 いっぱんに、動物園の動物たちというのは、姿や形はホンモノだが、「動く物」かどうかという点では野生動物の本質を奪われており、動く剥製といっても過言ではないほどだ。そう言えば、だいぶ昔に『文明に囚われた動物たち―動物園のエソロジー』(ISBN: 4783501173)という本を読んでなるほどと思ったことがある。

 そういう囚われの動物に活気を与えて大人気となったのが、旭山動物園の挑戦であったわけだが、今回の上野動物園の試みもそういう意味では注目される。

 ほんとうは人間が住む世界環境でも、ある程度の危険があり、それを察知して自分で身を守るという環境にあったほうが活き活きとしてくるのではないかと思う。最近は、大学周辺の用水路沿いにも柵が施され、ちょっとした溜め池は立入禁止、大きな川の土手には水遊び禁止といった看板が立てられている。もちろん、子どもたちだけでそういう所に近づけばどういう事故が起こるか分からない。しかしだからといって、危ない物になんでもフタをしてしまえば、危険から身を守る行動自体が身に付かない。いくら対策を施しても絶対安全空間などというのは存在しえないわけだから、多少のリスクは承知の上で、もっと能動的な行動を育てる立場からの安全対策を考えたほうがよいのではないかとも思う。