じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



2月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] ソシンロウバイ(素心蝋梅)。。日があまり当たらない場所にあるせいか、今頃になって満開。


2月12日(日)

【ちょっと思ったこと】

アメリカ代表の井上玲奈選手

 2月13日朝5時台のNHKトリノ五輪コーナーで、12年ぶりに五輪出場を果たしたフィギュアスケートの井上玲奈選手のことを紹介していた。

 井上選手は、1992年アルベールビルオリンピックにペアの選手として、1994年にリレハンメルオリンピックにフィギュアスケートシングルの選手として出場したが、長野オリンピックでは代表の座を得ることができなかった。その長野オリンピックの最中に父・雅彦さんが48歳の若さで肺癌で死亡。

 その後、井上さんは米国に留学、そこでご自身も肺癌宣告を受けたが、初期に発見されたため抗がん剤の投与で回復、リハビリを兼ねてスケートを再開し、昨年9月には米国籍を取得、晴れてトリノ五輪の出場資格を手にしたという。

 ネットで検索したところ、毎日中学生新聞(1/26付け)のほか、各種個人サイトに応援メッセージが記されていることが分かった。

 父親の死の悲しみやご自身の病気を克服したというだけでも感動的だが、「そんな井上選手を病床で励まし、救いの手を差し伸べたのが3歳上のスケート仲間のボルドウィン選手だった。」という記事を読むと、御本人には恐縮だが、なんだか恋愛ドラマでも観ているような気持ちにさせられる。しかもそれがノンフィクションであり、生中継で晴れ舞台を観られるというのだから、これは見逃さないわけにはいかない。放送日程によれば、どうやら、日本時間ではバレンタインデーの早朝に中継されるようだ。昨日の日記で「冬季五輪イマイチ関心持てず」などと書いてしまったが、これは例外。せめて、録画予約でも入れておこう。




囲碁で脳の前頭前野が活発に?

 2月12日夜のNHKニュースで、「囲碁の対局中は脳のどの部分が働いているのか、小学生が参加して12日行われた実験で、創造性などをつかさどる前頭前野といわれる部分が強く働いていることがわかりました。」という話題を紹介していた(2月13日朝の時点ではこちらから閲覧可能)。

 このニュースを聞いてまず思ったのは、囲碁の対局中は当然頭を使う、なんで今さらそんなことが発見になるのだろう? ということであった。

 その後の詳しい説明によれば(あくまで、長谷川の記憶とリンク先の記事に基づく)、今回の発見は、囲碁教室に通っている9人の小学生を対象に、光トポグラフィという装置で脳の血流の状況を測定したものであり、
  • 前頭前野の活動は終盤よりも序盤や中盤が活発
  • パソコンの囲碁ソフトを相手の時より、碁盤を使って人間と対局した場合のほうが活発(よって、人間相手にコミュニケーションしながら楽しんで打つと効果的)
という発見があった。このことから、教育や、認知症の予防(もしくは進行防止)に活用の道が開かれた、ということのようである。

 ま、それはそれで意義深いことであるとは思うけれども、この実験結果だけから、囲碁が、教育や認知症予防の最適のツールであると結論づけるわけにはいくまい。前頭前野を活性化する意義についてはNHKためしてガッテンでも紹介されたことがあるが、何も囲碁が特別に素晴らしいツールであるというわけではなかろう。

 仮に人間相手にコミュニケーションしながら打つことに効果があるというならば、将棋、麻雀、コントラクトブリッジ、スクラブルゲームなどで遊んだほうがよいかもしれない。

 また、最近、高齢者にも人気があるという「ニンテンドーDS」などは人間相手ではないが、いつでも気の向いた時に遊べるという別の利点がある。いっぽう、人を相手に囲碁を打つとなれば、まずは相手探しが必要であるし、負けてばかりになると自信喪失のもとにもなりかねない。

 もっとも、私個人は、囲碁や将棋を教育場面に導入することには大いに賛成だ。2002年11月9日の日記ほか、何度か取り上げたことがある。囲碁や将棋というのは場合分けが多く、局所的なセオリー(定石や戦法)はあっても、数学のような体系的知識を学ぶことはできないというデメリットはもちろんある。しかし、それは全員が高校数学を理解できるという誤った前提に立った上での議論である。

 いくら数学を学んでも最終的に20〜30点/100点満点しかとれずに挫折感を味わって卒業させるよりは、囲碁や将棋を学び、「努力すれば勝てるようになる」という自信をつけさせることのほうが遙かに教育効果は大きいようにも思える。