じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真] 昨日に引き続き、彼岸花の写真。岡大・本部棟の前にある小径にて撮影。この日記にもほぼ毎年写真を掲載している彼岸花の名所。


9月20日(火)

【ちょっと思ったこと】

青海 天空をゆく

 9月18日(日)に放送されたNHK・新シルクロード「第7集 青海 天空をゆく」をDVDハードディスクに録画して食事時に少しずつ視た。火曜日にやっと視終えたところであるが、なんか、イマイチ物足りないという感じだ。番組紹介サイトには“変化に富んだ手つかずの自然と遺跡のロマン「天空のシルクロード」”などと書かれてあったが、どうだろうか。

 かつて1980年当時に放送された「シルクロード」には我々にとっては異次元の別世界とも言えるような現地の生活が描かれていた。今や近代化が進み、有名な遺跡は観光地化してしまっている。映像も、現場の生活をそっくり写すというより、チベット族やモンゴル族の昔ながらの踊りや祈りだけを切り抜いて写しているように見えた。

 そう言えば、今回紹介された「青海ルート」だったら、すでにこういうパッケージツアーが企画募集されている。日程の6日目〜7日目には今回の番組の目玉でもある都蘭に滞在し「朝食後、東西交易が盛んであったことを示す絹織物や金銀貨が出土した、熱水墓群遺跡を訪ねます」とある。このほかS社からも似たようなツアーが出ていたはずだ。

 高所や難路を通るので決して楽なツアーではないが、とにかく、日本人の一般観光客が何度か通った道を後追いしているくせに、地元のバス運転手に「あの道は難路だ」と言わせたり、路上で砂だまりにつっこんで動けなくなったトラックを押して「救出」するようなシーンで砂漠の厳しさをアピールしようとしても、なんだかヤラセっぽく見えてしまう。

 なお、番組の中で、「文成公主ゆかりの寺院を訪ねました」というナレーションで文成公主廟が紹介されていたが、あれは玉樹(ジェクンド)という場所であって、青海ルートからは相当に離れているはずだ(私が旅行した時の記録では、西寧から玉樹までの道のりは、西寧〜興海270km、興海〜瑪多271km、瑪多〜玉樹324km、合計865km)。また、西寧から青海に向かう道の途中にある日月峠が、青海のシーンの後で「青海湖にほど近い山に日月峠があります」と紹介されていたのは、順序が逆であるように感じた。日月峠は、漢民族の文化とチベット文化を隔てる峠であり、じっさい、この峠の東側と西側では景色が一変する。日月峠を越えてから青海に達するという順序でないと、感慨がわいてこない。

 かくいう私は、実は青海湖は近くを通っただけで湖面には触れていない。最近では観光施設などもできて俗化していると聞くが、どうせ行くならば、何泊かして、自転車で湖を一周するくらいにたっぷりと味わいたいものだ。湖岸で停車して記念写真撮影で終わりなどというのでは、青海に触れたことにはなるまい。