じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 台風11号の影響だろうか、岡山では夕刻、西の空に爬虫類の形をした雲が現れた。私の見え方はこんな感じ。このように見えたのは、たぶん、黒い雲の中に、赤く染まった雲が口を開けて舌を出しているように見えたためではないかと思う。



8月25日(木)

【ちょっと思ったこと】

台風の接近、上陸、通りグセ

 台風11号は、当初は伊勢湾台風に酷似したコース、あるいは大阪直撃のコースなども予想されていたが、偏西風に流されたのか、三浦半島南端をかすめ、東京湾、千葉県という、当初の予想より東寄りのコースを辿り、26日朝のうちに太平洋に抜ける見込みとなった。

 ところで台風が近づくと中心の位置がどこか、どこに上陸するのか、ばかりが過剰に報道されているように思う。進路予想図等では台風はしばしば風速25m以上の暴風圏と15m以上の強風圏の二重の円で描かれているが、決して円盤状の一様な雲の塊ではなく、かなりまばらな渦巻き状の雲から構成されている。中心付近よりむしろ、少し離れた北東側の厚い雨雲の下で大雨になることが多い。今回の台風の場合も、神奈川県箱根町では、上陸前の19時台から21時台にかけて毎時60ミリ以上の強い雨を記録した。

 こうしてみると、少なくともテレビでは、中心の位置よりもむしろ、レーダーアメダスによる雨雲の移動状況を中心に報道したほうが防災に役立つのではないかと思われる。また、台風接近に伴う強風のほうも、必ずしも一様に吹くとは限らない。常に吹く強い風よりも、ほんの瞬間の突風に煽られることによる事故のほうが多いことを考えると、単に暴風圏がかかったかどうかだけで危険の大きさを判断するわけにはいかない。

 台風の中心位置が有益な情報となるのは、
  • それがどこを通るのかにより風向の変化が予測できる。
  • 気圧が最も低くなるので高潮の警戒に利用できる。
  • 暴風雨がさらに強まるのか、しだいに弱まるのかについて大雑把な見通しがたてられる
といった点に限られるのではないかと思う。

 ところで今年の台風と言えば、先月下旬に千葉県南部をかすめた台風7号が思い浮かぶ。デジタル台風によれば、その時の経路はこのような感じ。いっぽう、今回の台風11号はこんな感じであり、殆ど同じコースを辿っていることに気づく。台風の経路はその時の気圧配置や偏西風によって独立的に決まるはずなのだが、毎年、ある種の「通りグセ」のような現象が起こるのは不思議だ。昨年はどちらかというと西日本を直撃する「上陸グセ」が多かったように思うが、今年はどうだろうか。早明浦ダムの貯水率低迷のことを考えると、西日本にも、適度の降雨をもたらす弱い台風が1つくらいやって来てほしいところだ。

【思ったこと】
_50825(木)[心理]日本質的心理学会2回大会の見どころ

 8月22日の日記で、9月10日〜12日に開催される日本心理学会第69回大会の見どころ、というか、自分が興味を持っている演題について書いてみたところであるが、その直前の9月8日、9日には、東京大学本郷で、日本質的心理学会の第2回大会が開催される。この学会は、昨年第1回大会が開催された時にも参加しており、今回が2回目となる。日本心理学会と同じ東京で開催され、会場も、慶應三田(日本心理学会)と東大本郷ということで比較的近いので、連続参加するには非常に好都合となっている。

 この学会のプログラムは、少し前からこちらに公開されている。

 私の場合は、移動の都合で9月8日の14時半頃でないと会場に到着できないため、13時から15時までの自主企画シンポはパス。そのあとのNarrative Selves in a World of Stories.(Arthur W. Frank教授)の記念講演から拝聴することになりそうだ。翌9日朝のメインシンポ「<語り>を聴き取る/<語り>を伝える〜シークエンス分析の実践論〜」は、これ一本なので特に迷うことなく参加。企画趣旨に
第1回の質的心理学会大会では、「KJ法とグラウンデッドセオリー」というタイトルで、コード化・カテゴリー化に基づく質的分析の方法についてシンポジウムが行われた。しかしそれだけが質的分析法ではなく、例えばFlick(2002)は、それとはタイプの異なる分析法として「シークエンス分析」という分類を設け、そこに"会話分析"、"談話分析"、"ナラティブ分析"等を含めている。...【以下略】
と紹介されているように、第1回の時とは異なる分析法について有益なお話を伺うことができそうだ。

 午後のシンポは3つないし4つに分かれるため、どれかを選ばなければならない。前半では

◆<K3>質的研究と量的研究をいかに繋ぐか −乳幼児発達研究への新たな可能性を探る−

が一番自分に合っているように思う。後半は

◆<K5>レイアウトと姿勢ーアフォーダンスへの質的接近

もしくは

◆<K6>ジャーナリストの経験と方法に学ぶ―中村梧郎さんをお招きして―

を拝聴する予定。

 ひとくちに質的心理学といっても、単に質的な(カテゴリカルな)データを扱うという意味もあれば、伝統的な実証研究に疑問を投げかけ新たな方向を提唱する社会構成主義的な立場もある。それぞれのシンポにおいてどういう立場が表明されるのか、また、それぞれにおいて、情報的価値のある成果がどのように編み出されるのかを拝聴したいと思っている。