じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

8月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] [今日の写真] 【イランでよく見かけるモノ(1)】
 イランではハートが逆立ちしたような文字をよく見かける。1999年8月28日の日記に記したように、この文字は数字の「5」を表しているのだが、形がハートに似ていることもあって、初めて訪れた外国人にとってはユーモラスな印象を与えているように思う。

 写真左は制限速度50キロの道路標識。逆立ちしたハートが「5」、その右横の「◆」が「ゼロ」を表しているわけだが、単にアラビア数字「50」だけの標識に比べるとユーモラスな感じがする。
 写真右は空港の出発便の時刻表示。赤枠で囲った部分は、この便が19時55分発であることを示している。



8月23日(火)

【ちょっと思ったこと】

台風11号は東日本へ?

 毎日注目している台風11号の動きだが、その後、気象庁も、米軍も、東海〜関東方面への上陸可能性大であるというように、当初の予想進路(伊勢湾あるいは大阪直撃)をやや東寄りに修正した。偏西風の影響を考慮に入れたためだろうか。

 ふつう台風が東に去れば台風一過の晴天が期待されるところであるが、今回はどうやら、秋雨前線の影響によりしばらくぐずつくと予想されているようだ。週間予報によれば、岡山の場合、27日(土)あたりまでは晴れマークが殆ど出ていない。

【思ったこと】
_50823(火)[一般]日本の選択肢は、やっぱり2つしか無いように思う

 8月9日の日記で、「中長期的な視野にたって、日本経済の将来を考える時には、日本が取るべき道は2つしかないのでは?」と書いた。その後、イラン最高峰などに登って頭を冷やし、さらに、浦島太郎気分から抜け出しつつ、昨今の政治論議などに目を通しているところであるが、やはり、私には、前回示した「2つ」以外の選択肢を見出すことはできない。その2つとは、すなわち、
  1. 米国中心のグローバルな基準のもとで、ある程度米国に依存しながら、持続的な発展の道を探る。
  2. いったん鎖国して、古き良き日本の伝統を守りながら、乏しい資源に見合った、環境に優しい、持続可能な慎ましい国づくりをめざす。
である。このうち2.の「鎖国」というのは、要するに他国に依存しない自給自足型の棲み分け社会を目指すことを意味している。

 私がこのような選択肢しかないと考える一番の理由は、日本の資源の少なさということにある。食糧もエネルギー資源も乏しい日本が、何とかして世界の5本の指に入るような高い経済水準を維持していくためには、技術立国か海運か(海外で所有する)金融資産に頼る他はない。しかしそれらはいずれも、グローバルなスタンダード、実質的には米国がこしらえた基準に依拠して維持していかざるをえない宿命にある。いくら国内産業を守ろうとか言ったって、保護政策をとれば他のところで歪みが出てくる。けっきょく、規制緩和の中で国際的な競争に勝てる力を伸ばしていくほかは無い。

 いっぽう、1.を否定した場合には、食糧もエネルギー資源もすべて自給自足が原則となるだろう。少子化は、短期的には高齢者の比率を増やして若い世代に過重な負担をかけることになるが、長期的には、日本の人口を適正規模に引き戻すという点でむしろ歓迎すべき現象になるかもしれない。たぶん、日本の総人口が5000万人、あるいは3000万から4000万人くらいに減れば、もっとゆったりとした生活環境が保てるようになるはずだ。但し、国際競争力は著しく低下するので、1ドルは500円、ひょっとして1000円になるかもしれない。今だったら30万円もあれば気軽に海外旅行に出かけることができるが、1.を否定した場合には、今の物価水準に換算して150万円から200万円くらいかかるようになるだろう。

 郵政民営化は短期的には山積する政治課題の1つに過ぎないが、長期的には、1.の道を選んだ場合に避けて通れない選択であると思う。郵政民営化に賛成か反対かということは、けっきょく、大枠として1.を選ぶのかどうかという判断に直結している。これに反対する勢力というのは、結局、既得の利権にしがみついているか、支持基盤(特定郵便局や官公労)のしがらみから抜けきれない守旧勢力であって、国民全体には何一つ益をもたらさない。だからこそ、反対派勢力は、民営化が争点になることを避けようとしているのである。

 小泉氏個人はいずれ引退されるであろうし、短期的には民主党主体の政権が生まれることもあるかもしれないが、1.の路線は、大枠として動かないように思う。年金や消費税や安全保障の問題が重要であることは言うまでもないが、郵政民営化の争点をはぐらかして独立的、個別的に議論することはできない。民営化問題を自民党内の抗争にすぎないと主張するのは論外だ。




 ところで8月9日の日記にも書いたように、私個人は、1.よりは2.のほうがいいかなあという考えを持っている。とはいえ、この道を進むということは、世界第二の経済大国と言われてきた日本を、世界で70番目くらいの弱小国に落とし込ませることを意味している。これは相当の痛みを伴うであろうし、現時点では到底支持されない選択肢であろうと思う。

 しかしおそらく何らかの外部変化、例えば
  • 米国自体が保護貿易策に転じ、日本を見捨てた場合
  • 利便性追求の技術がもはや商品として売れなくなった場合(→環境対策や医療技術のほうは引き続き売れるだろうが)
  • 大規模な戦争、気象変化、新種の疫病などによって、国際的な経済交流が著しく低下した場合
などによって、いずれ日本は2.の選択を余儀なくされるようになるのではないかと思ってみたりする。その時期は、20年後か30年後か分からない。私が生きているうちの出来事となるかどうかは微妙だ。しかしそれまでは、何とかして1.で突っ走ってみるしかない、頑張れるところまで頑張ってみてみんなが限界を感じた時に2.を選んでもよいのではと思いつつある。