じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 昨日のこの欄で、乾燥で枯れかけたヒマワリが必死に花を咲かせて子孫を残そうとしている写真を掲載したが、水を求める切実な願いが天に届いたのか、この日の午後には突然の雷雨となり、岡山市内では4.5ミリの雨量を記録した。合計雨量は少なかったが、奇跡が起こったかのような激しい降り方だった。

写真右上の小円内は、久しぶりにできた水たまりで水浴びをするスズメたち。


6月29日(水)

【ちょっと思ったこと】

健康志向のパチンコ

 朝食時にたまたま視た「新聞ナナメ読み」によれば、エアロバイクと連動したパチンコ台(「フィットネスパチンコ」)が愛知万博に展示されているという。ネットで検索したところ、万博サイトの中に関連記事があり、それによれば、ハンドルを回す代わりにエアロバイクをこぐと玉が出てくるという仕組みになっている。また、業界人はやしの“俺ってつまんない?”というサイトによれば、
  • モードは3段階。
  • ペダルが重いモードほど大当り確率が甘くなっている
  • ハンドル部で心拍数を計測し、大当り終了時には消費カロリーが表示される
  • 大当り中は1ラウンド25秒アタッカー開放×2回という
 という仕様になっているという。

 パチンコと言えば、かつて、卒論実験を終えた後などに毎日のようにパチンコ屋に通っていた私であったが、打ち止めを2回経験した程度ですっかり「卒業」。その後25年以上、パチンコ屋に入ったことさえ無い。

 パチンコをやらなくなったのは、まずは何と言っても、遊ぶ時間が無いという理由、それと、指の感触が伝わるバネ式からハンドル式に代わり、かつ、素朴なチューリップから何やらわけのワカラン確率変動型の複雑な仕掛けが出来たために、かえって興味を失ったという面もあった。但し、はTV番組を通じて知る以外には、最近の仕掛けのことは全く知らない。

 さて、フィットネスパチンコがホンモノのパチンコ屋に配備されたら出かけるようになるだろうか。うーむ、どうも健康志向とパチンコとは世界が違っているように思えてならない。ギャンブル性を加味した結果で健康増進のための運動を強化する(いわゆる「動機づける」)ことは効果的であろうとは思うけれど、熱中しすぎて腰を傷めることは無いのかなあ。

【思ったこと】
_50629(水)[心理]スクールカウンセラーと“こころ主義”

 心理学のメイリングリストの中で最近、スクールカウンセラーと臨床心理士に関するスレッドが立ち上がっている。このログは一般にWeb公開されているので(fpr2005のログの中の「fpr2809」のスレッドを参照)ここでは繰り返さないが、私もそこそこ発言させていただいた。

 発言の中で

●吉田武男・中井孝章 (2003).「カウンセラーは学校を救えるかー「心理主義化する学校」の病理と変革」昭和堂 1995円

という本が紹介されていたので(fpr2833)、さっそく注文。Amazonのサイトでは関連本として

●小沢 牧子 「心の専門家」はいらない(2002).洋泉社 735円

も紹介されており、こちらも参考になりそうだ。

 それぞれの本については中身を拝見していないので何もコメントできないが、タイトルからの連想で「こころ主義」批判という2000年12月28日付けの日記のことを思い出した。

 姜尚中氏によれば、「こころ主義」というのは

●恐ろしく複雑な社会環境を人のこころ、その内面の問題に封じ込めて出来事の原因をわかりやすく説明しようとする動き

のことを言う。学校現場においても、そこで起こる様々な問題の原因を、もっぱら生徒個人の「こころ」の問題に封じ込め、教育環境システム自体の点検・改良に目を向けないことになれば「こころ主義」蔓延と言ってもよいだろう。

 もちろんどこの小中高でも、こころのケアを必要とする人たちが存在することは確かであり、そういう人たちをサポートするために、専門的知識を持ったスクールカウンセラーを配備することは必要であるとは思うが(但し、その採用にあたって臨床心理士を優遇することには私は反対している)、大切なことは、教育環境それ自体を全員の手で点検し、カウンセラーに頼らなくても充実した学校生活が送れるような改良に全員の手で取り組むことである(1999年8月5日の日記参照)。

 例えば、ある小学校で虫歯にかかった生徒が非常に多かったとする。この場合、「スクール歯医者さん」に来てもらって保健室で治療を行えば、虫歯そのものは治っていくだろう。しかし、その学校の中で、日常的に甘いお菓子を食べる習慣があったり、あるいは、歯磨きができるような洗面設備が無かったとすれば、毎年同じ比率で虫歯にかかる児童が出てくる。けっきょく、教員、児童、家庭全体で予防に取り組んでいかなければ虫歯を無くすことはできない。学校内の問題についてもこれと同様であり、何か問題があればすべてスクールカウンセラーに頼るというのでは根本的な改善にはつながらない。

 なお、昨日いただいた我妻さんからの情報(fpr2834)によれば、『AERA』で

●「学校カウンセラーの孤立と失望 学校からも親からも責められ,待遇は不安定。自分の心のケアが必要になる事態も」AERA, Vol. 18, No. 30, p. 34-35, 6/6/2005.

という話題が取り上げられているという。内容は拝見していないが、学校内で起こる問題を何でもかんでもスクールカウンセラーに頼るような風潮があれば、タイトルのようなことが起こってくるであろうと推察できる。