じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 2月24日の夕刻、岡山市内では一時、湿った雪が、道路がシャーベット状になるほど激しく降った。写真は、翌25日朝のベランダからの景色。


2月24日(木)

【思ったこと】
_50224(木)[教育]情報処理教育の「2006年問題」(1)

 私の大学では現在、教養教育科目の中に「情報処理入門(情報機器の操作を含む)」という名前の授業科目が51コマ開講されており(←17年度用シラバスからの検索によるカウント)、各学部の学生はクラス別にそれらを受講できるように配慮されている。それらの内容は、おおむね、「ワープロ、パワーポイント、表計算、インターネット(ブラウジング、Eメイル)」の基本操作に習熟することを学習目標としている。

 しかし、2003年から高校で「情報」関連の授業が開始されたことにより、2006年になるとそういう教育を受けた学生が大学に入学してくるようになる。それに合わせて、2006年以降の情報処理関連科目は、これまでの全学統一の実施体制から、原則として各学部の責任において開講されることとなった。ではどのように内容を変えていけばよいのだろうか。このことについての議論が活発に行われつつある。




 このことについて、私が以前より疑問を持っていたのは、そもそも、2006年問題があろうとなかろうと、大学の授業の1コマとして、ワープロの使い方やブラウジングのしかたを教える必要があるのかということだ。

 ガイダンス科目の授業の時に訊いてみたことがあるが、35人ほどの新入生の中で、携帯電話を使っていないと答えたのはわずか1人だけであった。しかし、携帯電話の使い方などというのは大学で教わるものではない。別に授業などやらなくても、ニーズがあればちゃんと使いこなせるようになるのだ。

 ワープロやブラウジングも、少し時期は遅れるものの、リポート提出や情報検索のニーズから、自力でも(あるいは友達と教えあうなかでも)次第に身につけることができる。手取り足取り教えるようなものでもなかろう。




 「情報処理入門」というような授業が大学で行われるようになったのは、ずいぶん昔からのことであったと思う。私が学生の頃(1971〜1975)はまだ大型計算機しか使えない時代であり、ワープロも表計算ソフトも存在しなかった。当時の授業と言えば「FORTRAN入門」、その他、統計パッケージの講習などもあったと記憶している。その後パソコンが普及するようになると、「一太郎の使い方」や「BASIC入門」が主流となった。

 当時、なぜああいう授業が大学で行われたのか。一番の理由は、学生が自分でパソコンを持てなかったことにあるのではないかと私は思う。要するに、学生が情報処理の基本を習熟するためには、そのための設備を大学で用意する必要があった。但し、手ほどき程度の内容を教えるためには、情報処理教育のエキスパートは必要ではなかった。実際、「情報処理教育」の素人である私なども、いくつかの専門学校で「パソコン実習」の非常勤講師を担当したことがあった。

 では今はどうか。殆どの学生は、個人として自分の家にパソコン(ノートパソコンまたはデスクトップ)を所有しており、最近ではさらに常時接続契約も一般的となっている。むしろ、大学の端末室のほうが使い勝手が悪いことが多い。




 というようなことを考えてみるに、2006年問題があろうとなかろうと、これまでと同じような内容の情報処理入門授業はもはや必要ない。但し、教職科目としての必要性のほか、自力ではどうしてもパソコンを使いこなせないという少数の学生のために何らかの「お助け」授業を開設しておく必要がある。また、当然のことながら、それぞれの専門分野における研究に必要となるような高度な技術(心理学であれば例えば統計パッケージの使い方)を教えるための授業は必要であろう。

 いっぽう、昨今の、架空請求、振り込め詐欺、ウィルス、著作権侵害、人権侵害など、様々な社会問題がネット上で多発するなかで、情報リテラシィ、あるいは情報モラルについての教育は、むしろますます必要性が高まっているように思う。

 なお、来年度の本学のシラバスを一覧してみたところ、現行の情報処理入門科目においても、授業の概要や学習目標の記述に差違のあることが分かった。単に、操作技術の習得だけを目標に掲げたシラバスがある一方、

【授業の概要】コンピュータや情報端末機器は,今や日常の社会生活の中にまで入り込んでいるものの,情報科学の基礎とモラルを体系的に理解し,体得する機会の少なさゆえのトラブルも多い。本講義では,コンピュータの基本的な操作とモラルについて,実習を通じて学習する。

【学習目標】特定のアプリケーションの利用法を習得できるだけではなく,数多くのOSやソフトウエアの利用に共通する基本的な概念と情報モラルについて理解できる。
というように書かれたものもあった。

 次回に続く。

2/25追記]
 「情報処理教育 高校 2006年」というキーワードでGoogle検索をかけたところ、なんと18000件がヒット。こちらの記事は大いに参考になりそう。