じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真] 11月10日早朝の東の空。左下から金星、月、木星が並んで光っている。ちなみに10日の10時40分には月が金星の南00°11.2′を通り、オーストラリア方面で金星食になるという。食が終わった頃には、パキスタントルコアルジェリアチュニジアモーリタニアなどの国旗に描かれているような位置に月と明星がくっついて見えるはずだ。ひょっとして、11月10日にイスラム世界で重大な出来事が起こるかも。


11月9日(火)

【ちょっと思ったこと】

港区の不思議

 浜松町の駅で、港区全域観光地図を配っていた。ふだん都心を移動中は自分が何区に居るのかということを殆ど意識しないが、地図を見るとずいぶんと誤解していたことに気づく。

 まず驚いたのは、新幹線停車駅でもある品川駅が、品川区ではなく港区港南二丁目1番78号にあるということだった。品川駅は品川宿に由来するものと思われるが、なぜ港区内にあるのかは謎である。[

 同じく、目黒駅の近くにある自然教育園も港区内となっている。少なくとも私が子どもの頃は、あそこは「東京・目黒の自然教育園」と呼ばれていたが港区内であったとは知らなかった。

 時計回りに北の方に目を移すと、地下鉄の青山一丁目や青山霊園で知られる「青山」という地名がある。ところが、青山学院大学(青山キャンパス)は東京都渋谷区渋谷4-4-25という住所であって、港区内には存在していない。

 さらに時計回りに真北を見ると、神宮外苑のスポーツ施設がある。大部分は新宿区だが、秩父宮ラグビー場だけは港区北青山にある。

 浜離宮が港区内でなく中央区内にあることは知っていたが、お台場というのは、どうやら、港区、品川区、江東区に3分割されているようだ。例えば、「船の科学館」は品川区東八潮、「大江戸温泉物語」は江東区青海などとなっている。港区台場にあるのは、フジテレビ本社など、お台場北側の一部に過ぎないようだ。

 余談だが、港区の情報を得ようと思ってネット検索したら港区ホームページというのが目に付いた。ところがそこに書いてあることが、私の知っている港区とはまるで違う。こんな妙なことがあるもんかと思って、画面をよく見たら、なんと、大阪市港区のホームページだった。ほかにも港区トップページというのがあったが、こちらは名古屋市港区。「港区」をキーワードに検索する時は「東京」、「大阪」、「名古屋」を入れておいたほうが無難なようだ。

11/9追記]
品川駅が港区にあることについて、掲示板にてSola様より以下の情報をいただいたので転載させていただく。
品川駅が港区にある理由は非常に典型的なものだそうです。
鉄道開業当時に、現在の品川駅よりやや南にある「品川宿」の人々から鉄道敷設を反対され、やむなく離れた場所に品川駅を開業させたのだそうです。
後に区が設置された際に、地名上の<品川>から離れている品川駅周辺は港区に入ったということでしょう。
全国的にこのような「旧市街地/旧宿場町から嫌われた駅」というのは、結構あるようです。

ちなみに、京浜急行に「北品川」駅があります。この駅は「品川」駅より南にありますが、住所上はきちんと「品川区北品川」にあります。
 掲示板のリプライにも書いたのだが、品川駅からの税収は港区に還元されるのだろうか。一般の自治体では地元に大企業があると税収で潤うが、東京都23区はどうでしたっけ?どなたか情報をいただければ幸いです。

【思ったこと】
_41109(火)[心理]日本理論心理学会第50回大会(4)第三世代の行動遺伝学(その3)

 昨日に引き続き、

●招待講演「Behavioural Genetics: What Use To Psychology?」
司会:安藤寿康氏 (慶應義塾大学)
講師:Kerry L. Jang氏(ブリティッシュ・コロンビア大学)

について感想を述べたい。

 講演では、精神障害の遺伝性に引き続いて、社会的態度について興味深い話題提供があった。サバイバルに必要な態度を除き、いっぱんに社会的態度は、学習(=環境的要因)によって形成されるものと考えていた。この学習モデルには、社会的学習理論、古典的条件づけ理論、オペラント条件づけ理論、diathesis-stress model(←定訳があるかどうか調査中)がある。それぞれの理論では、遺伝的要因と、環境sharedの要因、環境がnon-sharedであることの要因の相対的な大きさが異なるように予測される。一卵性と二卵性、同環境双生児と異環境双生児の比較で検証しようという試みであるようだ。

 このあたりの話はだいぶ昔にどっかで聞いたことがあると思ってネットで検索したら、内容は少々異なるが、守先生のサイトに、7年ほど前のディスカッションが掲載されていることが分かった。司会の安藤氏の話では、あの頃は「第二世代」の研究ではなかったかと思われるが、これを機会にもういちど勉強してみたいと思う。

 このほか講演では、古くからの懸案「パーソナリティの基本次元はいくつか?」についても新しい情報があることを紹介しておられた。最近では、ビッグ・ファイブなどと言われるが(こちらに、私の所の学部生(3回生)がまとめた報告が掲載されているので参照されたい)、行動遺伝学の知見からはもう少し違った見方ができるようだ。

 このほか、講演の中で「Significance testing does not reflect the true state of nature----The Central Limit Theorem. Anything will be significant if you collect enough data!」というフレーズが印象に残った。但し、その意味内容を誤解している可能性もあるので、もう少し勉強してから別の機会に考えを述べたいと思う。

 何はともあれ、最先端の研究に取り組んでいる新進気鋭の行動遺伝学者のお話をナマで拝聴できたことはたいへん有意義であった。残念だったのは、聴衆の平均年齢がたぶん60歳以上と高齢であったこと。上記の守先生や豊田先生が来られていて、半日かけてディスカッションしたら、ずいぶん盛り上がったのではないかと悔やまれる。

 次回に続く。