じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 大学構内に咲く段菊。「菊」という名前がついているが、クマツヅラ科。同じ科には、バーベナ、ムラサキシキブ、ランタナなどがあるという。花の形だけから言えば、シソ科のモナルダのほうが似ているように見える。


10月11日(月)

【ちょっと思ったこと】

Webサイトの引越作業続く

 連休3日間は、天気があまりよくなかったこともあって、10月9日の日記の方針に従ってWebサイトの引越作業を進めた。これまでフリーHPスペースにあった旅行アルバムの一部をこちらに。このアルバムサイトには、あまり数は多くないが、珍しい写真昔のものも収納している。

 このほか、このWeb日記の前身にあたる「彗星日記」と「続彗星日記」もこちらに引っ越した。また、私が開設しているサイトではアクセス数が一番多い「血液型性格判断資料集」もこちらに引越を完了。

 今迷っているのは、最新の日記をアップしているso-netを解約するかどうかということ(←so-netもケチらないで300MBくらい提供してほしいなあ)。[
10/12追記]
けっきょく、10月12日夜に、So-netからの撤退を決定。直ちに引越作業を行った。

【思ったこと】
_41011(月)[心理]血液型差別番組を考える(8)「あるある大事典」における「血液型マインドコントロール」

 連休中に、10月3日に放送された「発掘!あるある大事典2 秋の芸能人血液型スペシャル」の内容をチェックしようと思っていたが、「魔鬼城」や「カナス〜森と伝説の湖〜」などNHKのシルクロードものを視ているうちに、あっという間に3日間が過ぎてしまった。もともと私は「あるある」は好きではない。視たくもない番組の点検のために時間をとられるのはウンザリだ。

 ということもあって、今回は、番組の出だし部分について、感想を述べるだけにとどめる。

 さてこの番組では、冒頭から、
  • A型:几帳面
  • B型:マイペース
  • O型:まとめ上手
  • AB型:二面性
という特徴があたかも検証されているかのように紹介され、さらに聖マリアンナ医科大学の浅尾哲朗教授に「血液型は人間の思考パターンと深い関係があると考えています」などと「権威づけ」し
  • A型:(海馬・側頭葉)過去の経験を参考にし慎重に安全策を導き出せる。昔のことを蒸し返したり小さなことにこだわりやすい
  • B型:(前頭葉)一歩先のことを想像し行動を決定するのが得意。感情の動きにも直結しているため気分によって行動が左右される
  • AB型:2つの脳を切り替える。ミステリアスな二面性。
  • O型:(後頭葉・頭頂葉)目の前の状況を重視。周囲に気を配るまとめ上手。今さえよければと大ざっぱに済ませることがよくある。
などと「解説」していた。

 じつはこれらの「研究」は、すでに今年の4月4日に放送された「発掘!あるある大事典2 第1回『春の芸能人血液型SP』」で紹介されているらしいのだが、私はその時は視ていない。念のため当該の番組記録サイトにアクセスしたところ、なんでも
  • 実は近年、世界中の科学者がこの「血液型」に注目し驚きの研究報告が続々と発表されているのです!
    「血液型の違いで罹りやすい病気が判る」
    「血液型により脳の働き方に違いがある」
  • 血液型人間学研究室 能見俊賢
    「何十万単位でデータを集めてそのデータによって血液型の特徴と傾向を伝えてきた」
  • 統計学に基づいて提唱された「血液型による性格の傾向」相性や人間関係を探る「1つの材料」として今に至っているのです。
だそうだ。ほー、そこまで「体系的」に「学問」が進んでいるならこちらも批判しやすいというものだ。今後、ヒマをみつけて、「続々と発表されている」研究にあたってみたいと思う。

 何はともあれ、番組の冒頭にそんな一方的な情報を与えられたのでは、もはや心は「白紙」ではない。「血液型と相性には何らかの相関があるのか、まずは何も関係が無いという作業仮説に基づいて検証してみよう」などという謙虚な探求心は吹っ飛んでしまう。

 さて、番組によれば、今回は、
「各血液型の男女1千人ずつ計8千人を対象に「相性の良い血液型」「相性の悪い血液型」に関するアンケート調査を実施。その結果から血液型相性ランキングを発表。
ということだが、これはまことに奇妙、というか血液型偏見を助長する危険な調査であると感じた。

 番組によれば、この調査は各血液型者男女各1000人、計8000人にQ1「相性の良い異性の血液型は?」、Q2「相性の悪い異性の血液型は」という質問を行い、「相性が合う」回答数と「合わない」という回答数の差をランキングに使ったという。しかし、この時点ですでに以下のような疑問が湧いてくる。
  1. この質問に答えるためには、回答者は身の回りのすべての人の血液型を知っていなければならない。いくら「血液型」好きの日本人といえども、8000人全員がそんなふうにして相手を見ているのだろうか。
  2. 各1000人ずつというが、これは必ずしも適正なサンプリングとは言えない。各血液型者の比率はおおむね、4:3:2:1になっているからだ。
  3. 上記2.は、我々が接する血液型者の比率にもあてはまる。つまり、日本人は普通、約4割を占めるA型者と多く接する。AB型者の知り合いはそんなに多くない。つまり、身の回りの10人を思い浮かべ自己体験に基づいて相性の良し悪しを回答した場合、A型者はおおむね4人であるのに対して、AB型者は1人だけについての「合う、合わない」で答えざるを得ないことになる。
 というようなことを考えると、回答者はおそらく、自分の身の回りの人たちとの相性を周到に分析したのではなく、「血液型ステレオタイプ」に基づく「性格類型」、つまり、実際の血液型者ではなく、ステレオタイプに植え付けられた「血液性格型」への相性について答えている可能性が高い。

 それはそれとして、こうした調査を行うことは、形式的には「あなたと相性が悪いのはどの人種(あるいは民族、国民...)か」と同じであり、人種別の思考パターンや性格を特徴づけようとしているのと何ら変わりない。かつてのナチスドイツの蛮行を思い返すまでもなく、こうした調査は倫理的に非常に大きな危険を伴う。調査の信頼性、妥当性に対する批判とは別に、調査を行うこと自体について、もっと慎重に考えるべきであろう。時間がなくなったので、言い足りないことは次回に。