じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真] 12月16日(火)の朝は強い寒気が入り込み、岡山の気温は平年より1.6度低い1.2度まで下がった。外気よりも川や池の水温のほうが高かったため、湯気のように霧が立ち上る現象が発生。後楽園の池でも幻想的な風景が眺められたという。写真左は農学部農場のタマネギ畑。霜が雪のように見える。写真右は、半田山にかかった霧が晴れるところ。


12月15日(月)

【ちょっと思ったこと】

年末の雑務ほぼ片づいたが

 土日の休みと月曜日の3日間で、学会関係の雑務、依頼されていた論文査読、来年度シラバス作成などの仕事を片づけることができた。授業のほか、全学委員会や学科や講座の種々の用務も基本的に今週いっぱいで終了。実験室に山積みになっていた古い備品類も半分以上は廃棄作業を終えた。

 もっとも年末にかけては、もう1つ、重大な仕事が残っている。修論をちゃんと出してもらうことだ。すでに卒論研究の修羅場をくくり抜けてきた院生ばかりなので信頼はしているのだが、25日の締め切りに間に合うかどうか気になるところだ。

【思ったこと】
_31215(月)[教育]大学の公開講座の将来

 大学で主催する公開講座について意見を述べる機会があった。国立大では毎年度、大学として実施計画をとりまとめ予算申請をする。その上で受講生を募集。実施の成果は、地域連携や社会貢献として評価されることになる。

 しかし、この公開講座、最近では受講生がなかなか集まらず、集まっても参加者層が限られているなど、かならずしも本来の役割を果たしていないように思う。

 その1つは、県や市町村などの生涯学習講座やカルチャーセンターの講座が充実し、より安い受講料で教養を身につけられるようになったことだ。このほか、私立大や専門学校などでも、ニーズに合わせた多様な実践講座を開講している。その点、国立大の講座というのは
  • 受講料が相対的に高く、また大学側で金額を勝手に変更できない。
  • 人件費の配分が限られている
  • 受講料がいくらたくさん集まってもそれに比例した配分があるわけではない
というように硬直化しており、社会的なニーズに十分に対応していないように思えてならない。




 最近では、学生による授業評価アンケート同様、公開講座受講生にも、講師の教え方、内容、難易度、時間帯、回数などについて詳細なアンケートを実施しているという。評価結果がよければ、その講座は成功したと受け止められ、翌年度に引き継がれることになる。

 しかし、このような意見収集にも問題がある。なぜなら、アンケートに答えたのは、実際に公開講座に参加し、それなりに満足して最後まで受講した人たちばかりだからだ。
  • たとえば、「実施回数は週何回くらいがよいか」と訊けば、当然、「現状のままが望ましい」と答える人たちが圧倒的多数を占める。現状で都合の悪い人たちは最初から参加していないからである。
  • テーマについても、「高齢者にもわかりやすい内容がよいかどうか」と訊けば、当然、圧倒的な支持を集める。なぜなら、60歳台以上の高齢者が受講生の圧倒的多数を占めているからである。
 客層が固定されたレストランであるなら、そこにやってくるお客だけを対象にアンケートを実施し、常連客のニーズだけを満たすように改善していけばそれで事足りるだろうが、大学の公開講座で同じ方法だけに頼ってしまうと、新たな受講者層が開拓できなくなってしまう。高齢者福祉事業の一環として行うならそれでもよいが、高校生、他大学生、一般社会人のニーズを満たすような講座は開けないものだろうか。




 講座のテーマが実質的に部局まかせ、個々の回の話題は担当教員まかせというのも、社会的ニーズに応えきれていない一因になっていると思う。外部からの要望なども取り入れた上で、まずは講義内容を確定し、その上で担当講師捜しをするべきであろう。もっとも、日々、教育・研究・雑務に追われている教員はそう簡単には引き受けてくれない。ここはやはり、それなりの手当を支給するとともに、公開講座を担当することが個人評価のファクターとして重視されるような改善が求められる。