じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 妻のクリスマスグッズ。寒波のためベランダから室内に避難した観葉植物に囲まれ、さながらジャングルで迎えるクリスマスみたいだ。


12月11日(木)

【ちょっと思ったこと】


モーリタニアとミンスク

 「雪国はつらつ」を「雪国はつらいよ」と間違えたことでお騒がせした東京書籍発行の教科書が、今度は「モーリタニア」を「モーリタリア」、「ミンスク」を「ミンクス」などと間違え、訂正リストを配布することになったとか。

 しかし、それぞれの国の方には申し訳ないが、いくら正確に暗記したところで試験が終わればすっかり忘れてしまう。それだけ記憶のムダだと思う。国名や都市名は、その国に旅行するか、政治的・経済的に重要な問題が起こった時に初めて覚えても決して遅くないと思う。

 モーリタニアと言えば、私がよく利用する旅行会社が今年の冬に

●大サハラを行く モーリタニア冒険旅行

というツアーを募集していた。代金は59万8000円、コースは、モーリタニアの首都ヌアクショットから内陸のサハラ砂漠まで往復し、帰りがけには大西洋に面した海岸線を四駆で走り抜けるというもの。代金が高すぎるので今回は見送ったが、火山跡大クレーターのル・ゲルブ・アル・リッシャの光景や、大西洋に沈む夕日はぜひ眺めたいものだ。

 もう1つのミンスクはベラルーシの首都である。かつて旧ソ連時代、モスクワに宿泊した時のホテルの名前が「ミンスクホテル」だったので、よく覚えている。出版社が「ミンクス」と間違えたのは、ミンクの複数形を連想したためだろうか。

 余談だが、捕鯨問題でたびたび話題になるミンククジラ(minke whale)はどうしてそう呼ばれるのかと思って調べたところ、ランダムハウス英語辞典に
ノルウェーの捕鯨の先駆者 Svend Foyn(1809-94)の捕鯨船の乗組員で,ミンククジラの小群をシロナガスクジラと間違えた Meincke の名にちなむとされる
という解説があった。動物の種名に自分の名前がつけられるのは大変名誉なことだとは思うが、間違えた人の名前にちなむというのでは、御本人も子々孫々まで恥をかくことになりそう。

【思ったこと】
_31211(木)[教育]急増する中国人就学生と日本の国益

 夕食時にクローズアップ現代「日本に来てはみたけれど・・・〜中国人就学生の2ヶ月〜」を視た。番組紹介サイトにもあるように、留学生や就学生の65%は中国人、今年に入りついに10万人を突破したという。

 中国からの留学生というのは、北京や上海の富裕層の子弟が多いと思っていたが、この番組によれば、最近では大連など、東北部の出身者が急増しているという。2000社を超える日系企業が進出し、日本語のできる留学経験者が好待遇されていることがその背景にあるようだ。

 もっとも、現実はそんなに甘く無い。就学生の多くはアルバイトをしながら日本語学校などに通い、日本国内の大学をめざすわけだが、外国人の雇用を断る業者も多く、現在の生活費と学費と大学入学の際の入学金・授業料を稼ぎながら勉学を続けるというのは相当に難しい。結果的に在留期限が切れたあとも不法滞在を続ける若者も出てくる。

 福岡市一家殺害事件以降は、入国審査が厳しくなり、300万円の預金残高証明を求める代わりに過去3年間の通帳の記録を提出させることも検討されているというが、番組解説者の言葉にもあったように、条件を厳しくしても偽造されれば見破ることができない。




 この番組を視て思ったのは、いったい日本は何のためにたくさんの留学生を受け入れているのか、留学生を教育することが将来の日本にどう貢献するのかということだ。

 まず何よりも重視すべきなのは、これだけ多くの外国人が日本語を必死に学んでいるということ。英語が使える日本人を育てることも重要だろうが、日本語がちゃんと使える外国人を育てるということはアジアの平和と経済交流に欠かすことができない。日本語を学んでくれる人は、日本の宝として大切にもてなさなければならない。

 ところが現状では、中国側の留学あっせん業者、日本国内の日本語学校、それと低賃金で人件費抑制をはかる日本国内の企業がお金を儲けるばかりで、肝心の就学生は、いちばん大切な時期に勉学の時間を奪われている。これでは何のための留学生教育か、日本の国益はどうなるのかと言いたくなる。




 もちろん、留学生・就学生の多くは、別段、日中友好の発展のために日本にきているわけではない。日本で知識や技術を身につけ学位や資格をとることで帰国後に母国で有利な地位に就こうという個人的都合だけで日本にきている人たちが大半であろう。これは日本人が米国などに海外留学する場合も同様である。

 とはいえ、いくら利己的な目的で留学したとしても、日本語が使えるという特技を活かす仕事に就く限りにおいては、日本との平和的交流の発展を願うことが本人の利益にもなる。少しでも優秀な、日本語ができる若者を海外から募り、母国で活躍してもらうように充実した教育を行うことは、日本の国益にとってきわめて大切なことではないかと思う。