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じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 時計台左右にある2本の楷の木のうち、西側の木の紅葉が見事になってきた。


11月21日(金)

【ちょっと思ったこと】

細い月と宇宙観

 22日(土)の朝6時頃に散歩を始めたところ、東の空に細い月が見えた。後で天文年鑑で確認したところ、月齢は27.4程度であることが分かった。

 この細い月を眺めるに、人類はずっと昔から、月が円盤ではなく球体であることに気づいていたと思わざるを得ない。そして、月も太陽も(見かけ上)地球の周りを回り、かつ影のできかたから、月のほうが太陽よりも近くにあるということにかなり早くから気づいていたに違いない。

 天体の動きを予測するだけであるなら関係式だけで事足りる。しかし、それでは物足りない。日常生活で観察・実験できることと同じ法則によって、何とかして天体の動きを説明しようと苦慮する学者がたくさん居たに違いない。こうして考えてみると、引力や慣性の法則は、単にシンプルであるとか、予測力や制御への応用に優れていたということが素晴らしいのではない、最も重要なポイントは、神秘な力を仮定せず、地上の世界を説明する法則だけで天体の動きを説明できるようになったという点にあったのではないか、と思う。

 細い月を眺めていてもう1つ思ったのだが、人類はなぜもっと早くに望遠鏡を発明できなかったのだろう。遠くの物を詳しく観察したいというニーズはあったはずだし、球体の装飾品を通して物を拡大して見られるということにはずいぶん早くから気づいていたはずだ。光学の知識無しには望遠鏡は発明できなかったのだろうか。そして、もしかなり早い時期に望遠鏡が発明され、ガリレオ衛星や金星の満ち欠けやアンドロメダ大銀河が観察できていたら、中世の宇宙観もずいぶん異なったものとなり、またそれによって宗教の教理も違った形に作られたかもしれないと思ってみたりする。

 何はともあれ、この細い月が太陽と重なった時には、皆既日食となる。24日朝の皆既日食中継に期待したい。

【思ったこと】
_31121(金)[教育]学外非常勤講師禁止論

 一昨日、某自治体から来年度の生涯学習講座を担当してほしいとの依頼を受けた。その直前、学内の某会議で「すべての専任教員は学外非常勤講師を引き受けるべきでない」との演説をぶったこともあり躊躇したが、土日に限って開講ということであればお引き受けしましょうということで、具体的な交渉を進めることになった。

私が演説した「非常勤講師禁止論」の概要は以下の通り。
 学内ではポストが大幅に削減され、またこちらから依頼する学外非常勤講師の予算が大幅に減らされようとしている。こういう時期にあって、専任教員が他の大学に出向いて非常勤講師を担当する余裕などありえないはずだ。
 学外で非常勤講師を担当しているにもかかわらず、学内の授業の負担が重いとかというような主張をするのはおかしい。どうしても兼業するというなら、平常授業の時間帯が終了する夜間、土日、あるいは、これはむしろ名誉なことであるが、夏休みなどの集中講義として出講すべきである。
 兼業届けには、「本務に支障は無い。万が一本務に支障があるときは従事しない」という誓約がある。それゆえ、「本日の午後は学外非常勤があるから会議に出られない」などというのは違法行為である。定例であれ緊急であれ、学内で会議がある場合にはそれを優先し、学外の授業は休講にしなければならない。
 各委員の非常勤講師の都合などを優先するあまり、委員会の開催時刻が17時40分以降になるというのは間違っている。これこそ労働基準法違反だ。開催曜日や開催時刻を決めるにあたって、学外非常勤の担当時間などは考慮するにはあたらない。

 学外非常勤講師を担当しても、本務の勤務時間が減るわけではない。この場合は、勤務時間の割り振りにより、例えば、午後に3時間の非常勤講師を担当した場合は、本務校の退勤時刻は、通常より3時間遅くなる。しかし、実際にはそんなに夜遅くまで研究室に残っている教員は居ない。これも妙なことだと思う。

 こういう発言をすれば反発を招くのは分かっているのだが、自己都合優先でいくら反発されても恐れるには及ばない。もともと、学内の選挙で何かの要職に選ばれたいというような「出世欲」は私には全く無い。どっかの知事選に立候補した人と似ているかもしれないが、言いたいことはすべて言う、その上で論争になろうが、孤立しようが全く気にしない、というのが私流のやり方だ。