じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 農学部東西通りの銀杏並木。緑色の葉がまだまだ残っている。


11月12日(水)

【ちょっと思ったこと】

大相撲の人気挽回策を考える

 大相撲九州場所が福岡国際センターで開催されているというが、今ひとつ盛り上がりに欠けている。11月12日の朝日新聞によれば、11日の観客数は4211人で、約8800人の収容人員の半数にも満たなかったという。武蔵丸がまだまだ危うい取り口を続けているほか、大関をめざしていた若の里が早くも1勝3敗。人気力士の高見盛は、対戦前のパフォーマンスは威勢がよいものの、両横綱にはあっけなく敗れて2勝2敗となっている。伝統も大切だが、そろそろ抜本的な人気挽回策を考えないと危ういのではないかという気がする。

 それぞれの力士の個々の事情はあると思うが、かつての千代の富士や貴乃花クラスのヒーローの再来を期待するのは難しい。もう少し多彩な対戦方法を考えてもよいのではないだろうか。

 例えば、個人戦のほか、部屋別の団体戦という戦い方もある。個人戦ではちょっとした怪我や不調がたちまち休場につながりファンをがっかりさせてしまうが、団体戦であれば、交代が可能。

 また、団体戦の場合、まわしを取ることを禁じる押し合い相撲や、逆に、両者がまわしをとった状態から対戦を始める四つ相撲戦など、力士の持ち味が発揮されやすいような状況をセッティングすることも考えてよいと思う。

 個人戦の場合も、1回の勝負があまりにもあっけなく終わってしまうのではガッカリしてしまう。力士には大変だと思うが、上位力士は3番ずつ対戦して、2勝して初めて白星が取れるようにすれば、地力が発揮されやすくなると思う、。

【思ったこと】
_31112(水)[教育]鹿大FD研修会(3)FDの特色と双方向性の意味

 鹿児島大学で行われた「FDワークショップ」の感想の3回目。11月7日の夜は21時までディベート、その後さらに懇親会が予定されていたが、夜更かしの苦手な私は、温泉に入った後、すぐに寝させてもらった。翌朝は7時から朝食、8時20分からオリエンテーション、さらに8時30分から私自身によるミニレクチャー、...というように分刻みで日程が進行したが、よくぞこれだけタイムスケジュール通りにきっちりできるものだと関心してしまった。

 ミニレクチャーで私はまず、「FDの特色は、一言で言えば、下りのエスカレーターを必死に駆け上がるようなものだ」という話から始めた。「下りのエスカレーター」という表現は、大相撲の解説者(神風さんか、玉の海さん)が、解説者を引退する際に最後に残された言葉であり、大相撲の力士は一生懸命稽古することで、何とかして現在の地位を保ちさらに上に駆け上がろうとしているようなものだ、というのが元の意味であった。

 大学のFD活動も同じような特徴があり、少しでも努力を怠るとたちまち停滞、後退してしまうという宿命にある。その理由は
  • 研究、雑務、...との競合→大学教員は研究業績の蓄積や管理運営上の雑務に追われがちであり、油断するとたちまちFDへの関心が低下する
  • 努力が報われない? 正当に評価されない→現時点では、FDに熱心に取り組むことがなかなか報われない。
  • マンネリ化、常連化→ちょっとでも放置すると、毎年同じようなテーマを繰り返して進歩無く、かつ同じメンバーばかりが参加するようになってしまう。
といった点にある。要するにボランティア活動的に熱意のある教員だけを募っていたのではダメ。極論を言えば、改善・向上に取り組まなければ自らの地位や収入を失う、というような「好子消失阻止の随伴性」を制度的に確立していく必要があるということだ。




 続いて、今回のメインテーマである「双方向」について、双方向には
  • 制度としての双方向性(→学生の意見反映)
  • 授業の中での双方向性(→しゃべりっぱなし)
という2種類があること、いずれの場合も、「今の学生は○○だからダメだ」という現状固定は無意味であり、「学生の評価の目をこう変えることが望ましい」「そのためにはこういう働きかけが必要」という視点で議論を進めることが大切であると論じた。

 制度としての双方向性に関しては、岡大には、「学生・教員FD検討会」という正規の常設組織がある。設立の経緯や現在の活動については別に資料があったので詳しくは触れなかったが、最近の課題として、
  1. 「学生の意見や希望」は利便性のレベルにとどまっていてはならない。もっと高いレベルの評価力を養う方策が必要である。
  2. アンケートだけが唯一の調査法ではない
  3. なんのために協議するのか
といった点が挙げられることを指摘した。1.については、種々の研修制度やモニター制度の導入が必要。2.に関しては、何でもかんでも質問紙調査で量的なデータを得ることばかり考えず、個別の聞き取りによる質的情報を得るようにも心がけなければならないということだ。とにかく、「意見を聞く、イコール、アンケート調査」といった安易なアプローチを厳に慎むべきである。

 3.については
  • 行動計画の決定なのか
  • 合意形成なのか
  • なるべく多様な情報を伝えようとするのか
というように、協議に課せられた要請(ニーズ)を明確にする必要がある。これは教員組織における協議でも全く同じなのだが、ある方針を決定し全員がそれを実行しなければならないという時には、多数決の原理も尊重しなければならないし、また十分な合意形成をはかる必要がある。それに対して、授業改善のためになるべく多様な意見を収集しようとする場合には、かならずしもそれが多数意見である必要はない。「全体会で承認されていなければ意見として伝えられない」というような性質のものではなく、加工されないままの質的な情報にこそ価値があるのだ。次回に続く。