じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 農学部正門前の楷の木の紅葉。写真手前(左)がオスの木、奥(右)がメスの木。メスの木の紅葉は始まっておらず、実をいっぱいつけている。10/24の日記で「農学部本館の大改修工事が行われており、残念ながら例年のような景観を楽しむことはできない。」と書いたが、その後改修工事が急ピッチで進み、現在は塀も取り払われている。


10月31日(金)

【ちょっと思ったこと】

最近の夫婦の会話(その1)

 近くの食品スーパーが店内改装のため11月下旬まで閉店することになった。最後の営業日にあたる31日、妻が冷凍食品の買い出しに行ってくるという。
  • (私)冷凍庫はすでに満杯ではち切れそうになっている。頼むから、これ以上買うのはやめてくれ。
  • (妻)だって半額なんだもの。
  • (私)そんなに詰め込んだって食べきれないじゃないか。あなたの性格っていうのは、冷蔵庫が1台あれば満杯になるまで詰め込む。2台目を買えばこれもまた満杯、3台目を買えばまたまた満杯、...いくらあってもキリがない。
  • (妻)あなたの性格っていうのは、文句を1つ言ったかと思えば、2つ目。2つ目が解消したかと思えば、3つ目...いくら改善したってキリがないわっ!
【思ったこと】
_31031(金)[教育]「どうしたら魅力的な講義が創れるか?」講演会(3)内容に無関係のパワーポイント背景は逆効果

 29日の15時半から17時すぎに、岡山大学五十周年記念館で行われた杉原厚吉先生の講演の感想の続き。今回は、講義の仕方についてのお話について感想を述べたいと思う。

 大学教員は講義のアマチュアであったが、これからはプロになる努力をしなければならない。ではアマとプロはどこが違うのだろうか。杉原先生はこの点について、
  • アマ:一方的に講義。期末試験で初めて理解度を知る。できないのは生徒の勉強不足と見なす。
  • プロ:ここまでは理解させるという目標を立てる。生徒の理解度をいつもモニターする。講義の仕方をいつでも軌道修正する。
という点を指摘された。

 このことに関して、講演終了後の質疑の時に私はちょっと意地悪な質問をした。
  • 杉原先生が教えておられるような数学の授業では、学生の理解度にかなりの個体差があるのではないか。バベルの塔の解法の効率性問題なども、数学好きの学生であるならたぶん高校時代にすでに自力で理解できているはずだ。そのような進度の違いにはどう配慮されているのか。どのレベルをターゲットに教えておられるのか。
  • 率直な話として、何%の受講生を合格(単位取得)させているのか。
しかし、これは「業務上の秘密」もあるらしく、具体的な数値まで伺うことはできなかった。やはり意地悪な質問だったかもしれない。




 講義のスキルに関してなるほどと思ったのは、「内容に無関係のパワーポイント背景は逆効果」という部分だった。じっさい、杉原先生が投影されたパワーポイントファイルは、白地に要点を記した文字が中心(色の使い分けあり)、他に、いくつかの図と「内容に関係のある」イラストが含まれているだけのシンプルなものだった。

 実は私自身の授業では、これまでマイクロソフトが用意しているいろいろな素材背景をたっぷりと使ってきた。毎週異なる素材を使っているので新鮮味は出てくるが、内容を理解させるという点で本当に効果があるかどうか一度も検証したことが無かった。単に綺麗に飾ってみたいという程度の自己満足であったかもしれない。

 パワーポイントを使用すること自体のメリット、デメリットについては、今回の講演に限らずしばしば議論になる点である。パワーポイントを使用するとどうしても画面の切り替えが早くなり、学生がノートを取れなくなるというのが否定派の主張である。これはOHPを使った場合でも同じだ。

 もっとも私自身が講演を拝聴する場合に限って言えば、無味乾燥な白黒OHPよりはカラフルなパワーポイントのほうが理解しやすいように思う。但し、私の場合は
  1. 講演のポイントは、レジュメの空白部分や裏側などに赤ボールペンでメモする
  2. メモが困難な図表が映写された場合は、デジカメで撮影しておく
  3. 講演終了後1週間以内をメドに、その要点と自分が学んだことをWeb日記に記す
という3点を励行している。よく、講演内容をビデオで記録しようとする人が居るが事前に許可をもらう必要がある上、ビデオを再生して復習する時間などありえない。デジカメ撮影も厳密には講演者や主催者に許可をもらう必要があるが、個人がメモ代わりに使うという程度であれば、それほど問題ないように思う。

 しかし重要なのは、3.に記したWeb日記掲載である。これを怠ると、メモの内容などあっという間に判読不能になるし、せっかく時間を割いて拝聴した講演の中味をすっかり忘れてしまうことになる。今ここに書いているのも、まさに3.の実践である。

 話が前後するが、黒板を使用する場合は、レイアウトに十分配慮し、端のほうには、講義中に少しずつ埋めていく表とか、その授業の最初から最後まで使用するデータなどを載せておく。要するに、書いたり消したりする部分と、授業の終わりまで書き残していく部分を使い分けろということである。パワーポイントを使用する場合でも本来はそういう使い分けができるとよい。但し、通常のスクリーンのサイズ・縦横比ではこれは困難。スクリーンと黒板を併用することが望ましいかと思う。次回に続く。