じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 文法経三学部講義棟前の花壇。この花は全部私が植えたものだが、そのことは余り知られていないようだ。全く手間のかからない、ありきたりの花ばかりだが、これでも後期の授業開始にちょうど見頃となるように配慮したつもり。


10月7日(火)

【思ったこと】
_31007(火)[一般]セブン・イレブン1万店と能動的消費の衰退

 昨日に引き続きNHKクローズアップ現代ネタ。10/7は「ヒット商品を作れ〜巨大コンビニの戦略〜」。コンビニ業界の最大手のセブン・イレブンの店舗数がついに1万店舗を突破。不況の中にあって売り上げを維持・拡張している秘密を探るという内容であった。

 この種の話題を取り上げる時、一昔前までのNHKは、企業の固有名詞を極力出さないように配慮していたが、最近ではプロジェクトXなどでドシドシ固有名詞を出している。公共放送の性格上異論もあるかとは思うが、「ある企業の取り組み」などと白々しく店の看板をぼかしたところで限界がある。スポンサーの顔色をうかがう必要が無いという点で、民放が扱えない話題を取り上げていくことは大いに結構かと思う。




 ところで、クローズアップ現代の番組サイトでは「セブンイレブン」と表記されていたが、Googleで「セブンイレブン」をキーワードに検索をかけても御本家のHPは上位にランクされてこない。おそらく正式社名が「セブン-イレブン・ジャパン」となっており、「セブン」と「イレブン」の間がくっついているとヒットしにくいためではないかと思われる。

 ここで、ネットで検索したついでにいくつか情報を集めてみた。
  • 1973年にアメリカのダラスで誕生。「セブン-イレブン・ジャパン」自体の沿革はこちら
  • 2003年8月31日、東京都大田区などに計18店を新たに出店し、第1号店の開店から約29年で店舗数が1万2店に。
  • 看板ロゴ「ELEVEn」の最後の文字だけ小文字になっていることはマニアックな謎として話題になっている。こちらの情報によれば、アメリカで誕生した時から小文字ロゴになっており、その理由は
    アメリカ人は、日本人と違って単語のスペルの大文字と小文字の区別をあまり意識していないと言います。
    ということであり、特に象徴的な意味はなさそう。(御本家の説明はこちら)。



 少々脱線してしまったが、私自身はコンビニは滅多に利用しない。そもそも私が大学に入学した1971年にはまだコンビニは存在していなかった。当初は、値段は多少高いが、店の名にもある通り、「朝早くから夜遅くまで開いている」という利便性だけが取り柄であったように思う。最近では、私自身は、チケット予約や各種振込に利用する機会が増えてきた。

 コンビニ発祥の地は米国であるが、販売戦略は日本で大きく進展していったようだ。10月8日の朝日新聞にたまたま、ファミリーマートが米国西海岸に進出するという記事があった。そこにも記されているが、米国のコンビニはガソリンスタンドに併設されたものが多く、日用雑貨などの品揃えが中心。郊外に大規模のスーパーがあるため、生鮮食品は扱われていなかった。ファミリーマートはこれに対して、生鮮食品や弁当、さらに寿司まで扱うという。

 今回のクローズアップ現代でも、販売戦略の中心は、日用雑貨ではなく、食品(弁当、総菜)や飲み物、デザートに向けられていた。いつぞや生活保護に関連して冷蔵庫はもはや必需品ではないというニュースを聞いたことがあったが、確かにコンビニが近くにあれば、多額の電気代を払って冷蔵庫を使うメリットは全くない。このことを含め、すでにコンビニは、発祥の地を越えて日本型に十分に進化したと言ってよいかと思う。




 こうした利便性と裏腹に、いくつか心配な点もある。

 1つは、番組でも取り上げていたように、何代にもわたって続けられてきた町のお店が、店舗数拡大戦略のターゲットとして傘下に組み込まれていくこと。これは、先日取り上げた地域経済の活性化、あるいは地域コミュニティの活性化を妨げる恐れがある。

 第二に、コンビニの食品ばかりを口にすることで、嗜好性がコントロールされ、画一化していくのではないかという恐れ。コンビニ側も無添加、健康保持を重視するようになってきたとは言え、やはり売れる物は売り続けていくだろう。

 そして一番心配なのは、能動的な消費が衰退していくのではという心配だ。もっともこれはコンビニのせいばかりとはいえない。能動的な消費というと地域生協の共同購入がいかにもそのように見えるが、実際はどうだろうか、地域生協から配布された豪華カラーカタログを見てマークシートを塗りつぶすだけではないか。大学生協が重視する「組合員の声」といっても、大部分は「○○が欲しい」、「営業時間を延長してほしい」といった利便性に関わるお客さん的な要求の域を出ない。産地直結型、あるいはネット上での対話の中に微かに能動性が保たれているようにも思えるが、詳しいことは調べてみないとわからない。