じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真] 明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー17階の食堂からの眺め(写真左)。左端にはニコライ堂の屋根、右手遠方にはツインタワーが見えた。食事後にフロアを一周してみたところ、東京ドームの屋根、靖国神社、新宿のビル群、皇居、千代田区一帯のビル群、神田の大型書店などを眺めることができた。

このタワーには、図書館など各種施設があり、また、ディスプレイから大学博物館などの各種案内が流れていた。大学間の競争が激しさを増す中で、こうした近代的な設備は高い評価を受けるに違いない。

 岡大には残念ながらリバティタワーに匹敵する設備は無いが、写真右のように広大な自然環境に恵まれ、かつ交通の便がよいという点では全国屈指であると自賛できる。


10月5日(日)

【思ったこと】
_31005(日)[心理]エコミュニティ設立記念セミナー(2)いいコミュニティの創造と個人の関わり方

 10月4日に明治大学駿河台キャンパス・リバティタワーで行われた“NPO法人「エコミュニティ・ネットワーク」設立記念〜地域コミュニティの再生と地域経済の活性化〜”の参加報告の2回目。

 第二部の野中ともよ氏・加藤敏春氏の対談に引き続いて、加藤氏による基調講演「エコマネーが切り開く21世紀の地域循環型社会」が行われた。なお、加藤氏は午後の第五部でも「EXPOエコマネー」について講演、さらに第六部のパネルディスカッション「21世紀の新しい地域像と発展モデルをさぐる〜エコマネーの役割〜」にも参加された。但し私は、帰りの飛行機の都合で第六部は拝聴できなかった。

 加藤氏の御講演内容はいずれ、エコミュニティ・ネットワークのほうで詳しく紹介されることになると思うので、ここでは私の率直な感想を中心に記す。

 まず、エコマネーとこのNPOとの関係であるが、昨日も述べたように、新しいNPOでは、4つの新しい手段の1つとしてにエコマネーが含まれており、これらはエコポイントと車の両輪として位置づけられている。そしてその発展段階には、協働による社会づくりが掲げられている。エコミュニティは「e-community」と記されているが「e」を「いい」と読めば「いい、こみゅにてぃ」となる。これをもって、自然と共生する地域、その中でのエコライフの創造が目標とされている。

 講演の最初のところでは、地域通貨の現状について触れられたが、導入の目的に即して適当なものを選択する必要があり、地域通貨の一般論的議論はあまり意味をなさないとのことだった。心理学の研究として「お金とは何か」を考える場合には、そのしくみや行動随伴性を細かくみていく必要があるが、現実には目的が異なれば運用も異なる。何がよいとか悪いといった一般論をあれこれ述べても生産性は低いかもしれない。

 今回も、北海道栗山町、兵庫県宝塚市、千葉県佐倉市、東京都世田谷区などいろいろな事例が紹介されてきたが、私が知る範囲での「活性化」は、どうしても地元の商工会中心の都市型地域の活性化が強調されているように思われる。

 コミュニティ自体の活性化を論じる場合には、これと異なる農村地域、あるいは農村と都市とのつながりも大切ではないかと思う。なぜなら、自然との共生や循環型社会の根本は、農業生産を抜きにしては語れないからである。このあたりをどうするのか、もう少し目をむけていきたいと思う。

 もう1つ、一個人からみた、地域やコミュニティとの関わりの問題がある。現代社会では我々は、自分の住んでいる地域のほかに、職場、サークル、ネット仲間というように複数のコミュニティに同時に所属しており、時間や場所の違いによりそれらを転々と放浪しながら生活をしている。つまり、個人そのものがコミュニティネットワークの中心にあるとも言える。これに対してエコミュニティの構想は、「一個人一コミュニティ」の重みを強めるようにも思えるのだが、中にはそれをしがらみと感じ、関わりたがらない人々も出てくるに違いない。それらにどう対処していくのかも考える必要がありそうだ。




 エコミュニティの活動自体は心理学と無関係にドシドシ進められていくことだろう。効果測定のような実証的研究は必要だろうが、それらも、総体としての数字(たとえば、エコマネーの流通量、経済効果、参加者数、取り組み数など)の量的な比較が中心となる。心理学ができるのは、参加者の個人レベルで関わりを質的に把握すること、また、活動が停滞した場合、その原因を強化の随伴性の視点から分析し改善に貢献することにあるのではないかと考えている。