じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真] 農学部農場のヒマワリ。右の写真は花が最も美しい頃の写真(7月16日撮影)。2枚の写真における変化は、人生のはかなさを象徴しているようにも見える。


9月29日(月)

【ちょっと思ったこと】

水星と木星を確認

 昨日の続き。9月30日は5時20分頃に起きて散歩を開始した。昨日5時30分すぎにかろうじて見えた東の空の2つの星は、間違いなく木星と水星であることが確認できた。土星はずっと離れた冬の星座の中で明るく輝いていた。




火災は鎮圧されるものか

 北海道苫小牧市の出光興産北海道精油所で発生したタンク火災がやっと鎮火したという。ところでNHKの朝6時台のニュースでは、見出しが「タンク火災ようやく鎮圧」となっていたが、こういう時に「鎮圧」という言葉を使うものなんだろうか。

 念のため辞書をひいてみたが、『岩波国語辞典』では

●鎮圧:(1)乱や騒ぎを押さえしずめること。「デモ隊を―する」 (2) 耕地をすき起こし地面を押さえつけること。「―器」

三省堂の『新明解』でも

●鎮圧:(1)警察や軍隊を動員して、叛乱・暴動などを抑えること。(2)耕地をすきおこし、地面を押さえつけること。「―器」

となっており、「やっとのことで消火した」という意味合いは無いように見える。山陽テレビでも同じ見出しを使っていたので、たぶん正しい日本語表現なのだろうが、私の語感からは妙な感じがする。

9/30追記]

 日記才人メッセージ機能により以下のような情報をいただきました。毎度ありがとうございます。
  • 鎮圧は、消防用語のようです。完全消火したわけでなく、延焼の心配がなくなった状態を「鎮圧」という・・・説明だったと記憶している。
  • 消防法第1条では「この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害に因る被害を軽減し、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。」と規定されており、法令用語としても正しいようです。調べたところ、消防関係以外での法令での「鎮圧」の用例は、ほぼすべてが犯罪に関するもので、唯一の例外は農業動産信用法施行令第1条第2号で規定されていた「耕土鎮圧機」でした。


【思ったこと】
_30929(月)[心理]家裁は処遇の決定はできるが、行動の原因は解明できない

 長崎市の4歳の幼稚園児を誘拐、殺害したとして送致された中学1年の男子生徒(12)について、長崎家裁(伊東浩子裁判長)は29日の第2回審判で、生徒を児童自立支援施設に送致し、29日から1年間、行動の自由を制限する強制的措置をとることができるとする保護処分を決定した。現行法制上可能とされる「最も重い」処分がとられたことは、やむをえないと考える。

 もっとも、朝日新聞一面の記事だけ読むと、私のような立場からは納得できない表現が多用されていることに驚く。
  1. 事件当日は帰宅が遅くなり、母親に叱責されるのを恐れて緊張状態にあったとし、
  2. 性的な関心から園児への暴行を思いつき
  3. 衝動的行動に出やすい資質と共感性の乏しさが屋上から突き落とす行為に結び付いた
  4. さらに、処遇理由の中で、親子関係が非行に与えた影響は大きく、両親に事件や家庭での問題点を真剣に考え、遺族にも謝罪する必要があると言及した。
と要約紹介されていたが、
  1. 母親に叱責されるのを恐れて緊張状態にあった→「緊張状態にあった」は同語反復で不要
  2. 「緊張状態にあった」ことと非行との因果関係は今なお不明
  3. このロジックでいうと、共感性が乏しい人はそれだけで殺人を行うように思えてしまう
  4. 親子関係がどうあれ、両親が遺族に謝罪するのは当然
ではないかと、私は思う。なお、家裁決定要旨のほうでは、当該部分は
.....非行当日、少年は帰宅時間が遅れて日頃から極端に恐れていた母の叱責を受けると思い込み、緊張状態のまま家を離れた。
 少年は、男性性器への関心と家庭環境で増強された他人への共感性の乏しさがあいまって被害者に暴行。防犯カメラを発見したことで動転し、衝動的行動に出やすいという資質と共感性の乏しさがあいまって被害者を屋上から突き落とすという行為に及んだと考えられる。
......
.....少年と父母との親子関係が本件非行に与えた影響は大きく、父母は少年や家庭での問題点を真剣に考え、遺族にもできる限りの謝罪の措置を講じる必要があるのに、少年や遺族への対応は十分ではない。
となっていた。要約記事に比べると納得できる部分もあるが、上に述べた私の疑問を解消するものではない。

 私が処遇を妥当であると考えるのはあくまで、今後の非行、新たな被害者の発生を防止するという観点からのことだ。起こってしまった事件について、家裁は、その背景を細かく述べることはできても、なぜその行動が起こったかという原因までは解明できない。また、加害者の少年の更生について、何ら具体策を示すことはできない。裁判所というのはそういうものだということを改めて実感した。

 じっさい、処遇の理由(要旨)として記された内容:
少年は対人関係を良好に構築できない可能性が高いことや性的執着が現在も持続し、それを指摘されるや不穏な行動を示すなど、今後も衝撃的な行動に及ぶ可能性が高いこと、今後心身共に不安定な時期を迎えるのに加え、性的欲求や性衝動という未知の問題に直面することになり、予断を許さない状況にあること、これまで、少年は些細なことで混乱し、その場から逃走するという方法で対処する傾向があること
はその通りであると思う。もっともこれを、成人の犯罪一般にあてはめてしまうと、すでに犯した罪に対する刑罰ではなく、今後予見される犯罪を防止するために予防的に拘束することが正当化されてしまう。人権と被害防止の両方に配慮しつつ、限られた資源のもとで社会的な安全を保つというのはなかなか難しい。