じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

9月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] 高3の息子の運動会を見物。最後の種目は騎馬戦。なかなか迫力があった。幼稚園年少組から数えて15回目、これで息子の運動会はおしまい。子育てもいよいよ終わりに近づいた。娘に運動会はいつか?と訊いたら、もうとっくに終わっているわよと言われた。そういえば、出張と重なって見られなかったのだった。


9月14日(日)

【ちょっと思ったこと】

1カ月ぶりにMT車を運転する

 1日前の話になるが、13日の後楽園お月見の時は、いつも妻が使っている軽乗用車を私が運転した。ボリビア・アンデス旅行直後にもう1台のステーションワゴンをAT車に買い換えたこともあり、MT車を運転するのはたぶん8月8日以来1カ月ぶり、この軽乗用車自体については、はっきりした記録はないが、たぶん2カ月ぶりぐらいになるかと思う。

 久しぶりにMT車ということで、まず、ブレーキを踏んだままエンジンをかけようとしてしまった。しかし、ほんの2〜3分で元の勘を取り戻し、左足のクラッチ操作と左手のギアチェンジがすいすいとできるようになった。

 その翌日14日はワゴン車のほうを使って息子の運動会見物に行ってきたところだが、比較してみると、私はやはりMT車のほうが運転が楽しい。エンジン音に合わせてギアを2速、3速、4速、ときには5速というように切り替えていったほうが実感がわく。AT車のほうは未だに、自分で車を動かしているという実感が無い。ま、そういう私も何十年か前には、教習所の第三段階で3回も試験に落っこちて(S字カーブでのポールへの接触、坂道発進失敗、車庫入れ失敗、エンスト多数...)、あの時はさすがに自信を喪失し、AT限定免許が早くできないものか、その時に取り直そうかと思ったほどであった。
【思ったこと】
_30914(日)[一般]「ドン・キホーテ」と、コンビニで薬を買うこと

 少し前から、現職医師あるいは医学生のWeb日記でコンビニ「ドン・キホーテ」の薬提供問題が取り上げてきた。これを機会に感想を述べてみたいと思う。

 もっとも、私が知っているのはテレビのニュース番組で紹介されていた1シーンにすぎない。夜間に、コンビニ備え付けのテレビ電話を通じて相談を受け市販薬を無料で提供するという場面と、これについての坂口厚労相、石原都知事、コンビニ社長のコメントが紹介されただけであった。ドン・キホーテに対してではなく、むしろ、毎度お騒がせ(←というか、ご本人が問題提起のために意図的に過激発言をされている)の石原知事の発言に対しての意見のほうがむしろ盛り上がってきたようにも思う。




 さて、コンビニで薬を提供すべきかどうかについては、まず、提供する薬の種類を分けて考える必要があると思う。例えば、蚊に刺された時には私はムヒを塗るが、かゆみ止めだけを目的にした軟膏であるなら、薬剤師の助けを借りずにコンビニでどしどし売ればよい。このほか、消毒用アルコール、湿布薬、軽い目薬などだ。

 いま議論になっているのは、これとは別の薬、つまり、医療を補完するような形の市販薬の販売(現時点では無料提供)のあり方かと思う。

 どんな病気や怪我でもそうだが、ごく軽い時は自分で治すのが基本。風邪の時は安静を保つ、怪我をしたら消毒をして(←もっとも傷口にやたら消毒薬をかけるのは逆効果だという)傷口を守る。いくらサービス過剰の時代であるといっても、自分で治す、もしくはそれ以前の問題として、健康を守り安全に気を配るというのは日常生活の基本中の基本であることは忘れてはなるまい。

 自力で治せそうもない場合、あるいは特別の検査が必要な場合はどうするか。その時は、ためらいなく病院に行くのが当然であると思う。保険医療もそれを前提にしているわけであって、病院に行かずに薬局、あるいは今回のケースではコンビニに行って市販薬を受け取るというのは邪道であり、医療の補完にはならないと思う。




 では、それにも関わらず市販薬が売られているのはなぜだろうか。これは主として、通院することの時間的負担とリスクに原因あるように思う。
  • まず、待合室で何時間も待たされるという問題がある。めったに病院にかかったことがないので最近の事情は分からないが、以前、大病院の耳鼻科に通った時などは、朝9時にカードを出して、実際に診てもらえたのは11時すぎ。毎回通院するたびに半日を無駄にした。
  • 次に院内感染のおそれがある。結果的に単なる風邪だと診断されても、その時に、待合室でインフルエンザをうつされる恐れがある。じっさいSARSなどもそうやって広まったのではないか。
  • 通院にかかる往復の時間がある。
 一般に「通院」の有効性とは、医師が患者と接する時間、病院で行われる治療、検査、投薬をセットにして論じられるものと思うが、これは断じて不十分であると思う。ある患者にとっての通院とは、それに加えて、
  • 病院と自宅を往復する際の体力の消耗、外気、周囲の人間の影響
  • 待合い室で受けるストレス
  • 院内感染のリスク
といったファクターがあり、それらすべてを総合した上で、通院が病気を治すための最善の手段であるかどうかを評価しなければ意味がない。

 このほか、仕事の都合でそんなに長く待てないという人は多いし、また、本来は自宅で2〜3日寝ているべきところ、重要な商談や会議をひかえ、とりあえず、炎症だけでも抑えておきたいという人もいるだろう。




 専門的なことは分からないが、医薬分業は大切なことであると思うし、それを維持するために薬局の経営を保護するということも必要であるとは思う。しかし、薬剤師は患者を診ることはできないし、副作用のチェック程度だったらパソコン診断でもできる。

 それと、いっぱんに市販薬というのはやたら錠剤が多い。いくら販売時に詳しく説明をしたところで、残った薬を2回目に使う時は素人判断に任されることになる。

 というようなことを考えてみるに、まずは、病院の待合い状況を改善し、市販薬に頼らない、患者本位の医療体制の確立が求められると思う。ちょうど9月15日の朝日新聞に、厚労相が来年度から、小児科医が夜間・休日の電話相談に応じる制度を来年度に創設するという記事があった。昨年9月から試験的に導入している広島県の例では、追跡調査が可能であった約130件のうち21%は、電話の指示によりすぐ病院へ、残りの8割近くは、夜間にすぐに病院に行かずに済んだという。こうすれば、少しは長時間待合いの解消にもつながり、本当に重い病気の子どもを緊急に治療できるようになる。

 で、それがすぐに実現しない段階では、ある程度種類を限って、市販薬なるものをコンビニで売ることもあってもよいのではないかと思う。薬局がそれで経営が成り立たなくなるというなら、それ自体おかしい。医薬分業を医療の基本とするなら、市販薬などを売らなくても薬局として経営が成り立つ体制を作るべきである。

 もっとも薬局といえどもある程度の多角経営と自由競争は必要。病気を治す薬ばかりでなく、体質改善のための薬や健康食品なども取り扱っていけばよいと思うが、ああいうものはまがい物が多いし、薬依存で健康保持というのは感心しない。ま、モノばかり売りたがる薬局はどっちにしても敬遠されていくだろうが。