じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 農学部農場の洋梨。品種保存のためか、生態観察のためかよく分からないが、毎年この梨は収穫されることなく熟して地面に落ちる。勿体ないようにも思うが、それほど美味しいものでもないはずだ。


9月12日(金)

【ちょっと思ったこと】

全学のFD研修会(1)スーパーマンの活躍か分業体制の確立か

 12日は大学構内で全学のFD研修会(桃太郎フォーラム)が開催された。今年のテーマは「岡山大学の特色ある授業づくり〜双方向性授業の実現に向けて〜」というもので、全学から120名規模の教職員と学生(一部の企画)が参加した。

 午前中は、学長の挨拶のあと、法科大学院(予定)、工学部、医学部から具体的なFDの取り組みが紹介された。これらの系の教育で共通して重視されているのは、「理論と実務の架橋」ということであった。そして教育の成果は客観的な数値に表れる。

 例えば法科大学院の場合は、司法試験合格率が注目される。今回の法曹育成制度改正では、法科大学院を修了しなくても予備試験に合格すれば司法試験の受験資格がとれるという。これは規制緩和の考えに基づくものである。もし、法科大学院が十分な成果をあげられなければ、司法試験受験希望者は予備校のほうに流れてしまうし、それ以外のすべてを含めて社会に対する責任を負う教育ができなければ存在価値を失う。この点で特にFDが重視されているという内容であった。

 工学部のJABEEも同様である。JABEEが導入された背景には、技術競争における日本の国際競争力の低下、大学競争力の低下がある。また単なる技術修得だけでなく、工学倫理、環境問題、英語コミュニケーション能力育成などが急務になっている。それに応える教育が行われなければ社会的責任を果たすことができないというわけだ。

 午後には他大学の先生による特別講演が行われた。この先生は、ご自分の大学のFDの水準を殆どお一人の力で全国のトップレベルに押し上げてしまった。まさにスーパーマンである。夜の懇親会でも、「そのパワーの源はどこから来るのか?」に関心が集まったが、ま、業務上の秘密ということもあるので、ここには書かないことにする。

 ちなみに岡大の全学のFD委員長は私自身であるのだが、私自身は決して先頭に立たず、徹底した分業体制の中で、なるべく多くの委員が能動的にFD活動に取り組めるように気を遣ってきた。例えば今回のフォーラムは、「企画・実施組織 FD専門委員会」となっているものの、私が関与したのは企画段階で若干の提案をした程度。当日は司会も話題提供も一切やっていない。それらは、FD専門委員会の中の教授法ワーキングループの先生方に完全にお任せしてあった。それ以外の課題、例えば、学生・教員FD検討会の活動、授業評価アンケートの実施と結果活用、シラバスWeb化の検討などもそれぞれのワーキングループの活動に委ねている。

 このあたり一長一短あるのだろうが、スーパーマン型の改革では、その先生に万が一の事故やご病気が発生した時に、活動がたちまち停滞してしまうというデメリットがある。またどうしても、「あの先生に任せておけばよい」という依存関係ができあがってしまう。

 その点、岡大のFDは、私がアンデス山中で遭難しても、何事もなかったかのように先に進むだろう。一見無責任でリーダシップが無いように見えるが、これはこれでスゴくうまくやっているのではないかと自画自賛してみたりする。
【思ったこと】
_30912(金)[旅行]ボリビア・アンデスの山旅(4)太陽の島トレッキング

 ボリビア・アンデスの山旅とチチカカ湖のアルバムサイトに「太陽の島トレッキング」を追加した。

 チチカカ湖の観光ルートはいろいろあるが、いちばんの魅力は、世界最高所にある巨大湖の真ん中から、青々とした湖面と遠くに白く輝くアンデスの山々のコントラスト、スケールの大きさを実感するところにあるのではないかと私は思う。

 それにうってつけの場所がインカ発祥伝説の島「太陽の島」(チチカカ島)である。今回のツアーでは、島の南部、東斜面に立てられたエコロッジに一泊し、翌朝、北端までトレッキング、というコースが含まれていた。

 アルバムサイトにも写っているように、太陽の島自体は、岩と低木、乾燥に強い多肉植物などが生える程度。一部に植林されたユーカリがあったほかは、木陰らしい所は全くなかった(写真24参照)。標高はほぼ4000メートル前後であり、高山病の症状は全く出なかった。幸い完全に晴れ渡り、島の東岸に連なるボリビアアンデスが一望できた。また、到着日の日の入りと、そのあとの星空、翌朝の日の出は、今回のツアー中、最高の眺めであった。