じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 行動分析学会年次大会の会場となった岡山大学創立五十周年記念館の1階ロビー。写真上は準備前、写真下は、開会中の風景。大型の丸テーブルと椅子を移動し、座る場所を確保しておいたよかった。後かたづけ後はまた、写真上と同様の静けさが戻る。


8月5日(火)

【ちょっと思ったこと】

関係性によって変わる日常風景

 行動分析学会年次大会が何とか無事終了。3日間、会場を動き回ってトラブルに対処したり、各種必要物を車に積んで運んだり、資料の印刷を頼まれたり、ペットボトルを買いに行ったり...と、ひじょうにくたびれた。参加者は当初予想の190人を大幅に上回り、最終的に310名を超えた見込み。最初からこれだけ来られると分かっていたら、アルバイトをもっと増やせたのに。

 面白いと思ったのは、大学構内の見慣れた風景や、研究室、文学部内の印刷室などが、大会期間中は全く別の世界に見えていたことである。ふだんは、じぶんの研究室を起点として、必要に応じて構内を動き回るわけだが、期間中は大会会場が起点となり、研究室はあくまで「モノを取りに行く部屋」と化した。生協食堂なども、懇親会場に様変わりして参加者が集まってくると全くべつ世界である。食堂内ばかりでなく、福利施設の入り口から違って見えるのだから不思議なものだ。

 会場となった「記念館」も、大会3日目になると、見慣れた日常風景に変わってくる。ところが、片づけが終わって、テーブルと椅子だけの空間に戻ると、全く別の施設に見えてしまうのである。

 期間中は、私の判断1つで、ホール内に看板をつり下げたり、机や掲示板を配置することができた。つまり自分の働きかけによって変化する世界であったのだ。それが、明日からは、自分の力が全く及ばず、立ち入ることさえできない空間となる。この変化もまことに興味深い。

 家の引っ越しをした時、学校を卒業した時にも、その前と後で同じような体験を味わうことができる。あまり好ましい変化ではないが、会社を退職した人、逮捕された人、失脚した人などもみな似たような体験をするはずである。

 けっきょくのところ、我々は外の世界のごく一部しか見ていないのだろう。同じ世界であっても、関係性が変われば見る部分も異なってくる。その変化は、海外旅行に行って日常と異なる世界に触れる時とはあきらかに異質の変化である。