じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 恒例の花火大会が岡山市・旭川で行われた。学会準備で忙しいこともあり、今回はベランダからの見物となった。
花火大会当日は道路が大混雑するので、自転車に乗って見物に行くことが多かった。娘が小さかった頃、自転車の荷台に乗せていた娘が帰りがけに眠ってしまい、落ちないように気を配りながら運転するのに苦労したことがあった。その娘も、今年はとうとう浴衣姿で友達数人で見物に出かけたようだ。妻も私も、何かあったらどうしようと、ちゃんと帰ってくるまで気を揉んだ。
なお、自転車の上で寝てしまったことは娘もちゃんと覚えているという。花火大会見物の初めての想い出になっているようだ。


8月1日(金)

【思ったこと】
_30801(金)[教育]学生による折り鶴14万羽の放火と大学の責任

 各種報道によれば8月1日午前8時頃、広島市の平和記念公園で折り鶴約14万羽が放火された。広島県警は同日午後、監視カメラに映っていた映像などから、友人2人と観光に来ていた大学生を器物破損の疑いで逮捕した。調べに対してその学生は、「留年が決まり、就職もできずむしゃくしゃしていた」と供述しているという。

 より詳しい情報によれば、この学生は同じ大学の2人と同日午前2時頃に車で兵庫県内を出発、午前6時頃に広島市に到着して原爆資料館が開くまで時間をつぶしていたが、「火をつけたらどうなるか」と言いだし、突然火をつけたという。

 以上の記事を読んだ限りでは、学生たちが当初どういう意図で広島を訪れたのかがよく分からなかった。原爆資料館を訪れることを目的に夜通しくるまをとばしたとするなら、それなりに関心が高かったようにも思える。




 さて、容疑者個人の犯罪の重大性は今後も追及すべきであるとしても、学生の私的生活における不祥事について、大学がどこまで責を負うべきかは、また別の問題である。そこまで必要ないという意見もよく聞かれるが、現実には今回もまた、副学長、学部長、ゼミの指導教授が会見を開いて陳謝し、さらに2日には、学長と副学長が広島に向かって関係者に謝罪することになったという。ちなみにこの学生は「思考・学習心理学」を学んでおり、ゼミの指導教授は私もよく知っている方であった。留年に関しては、まだ成績が出ていないので確定したわけではなかったという。

 私の大学の場合、学生の精神的な悩みについては、保健管理センター、学生生活課の相談室などで随時受けつけているほか、将来的には、アカデミックアドバイザー制度を整備し、成績不良の学生に対する履修や進路変更に対する指導を充実させることも目ざしているが、私生活の隅々まで把握することは不可能であるし、そんなことをしたら逆にプライバシーへの干渉として社会問題化するであろう。

 私の教室でも1998年より、実質的にゼミ制度に移行している。ここでいうゼミとは、指導教員別に、週に一回、大学院生、卒論生、3回生が同じ教室に集まって演習を行うという程度の意味であり、ゼミ生の私生活の隅々まで把握しているわけではない。先日もある社会人大学院生から「妻の出産準備のため休ませてもらいます」という連絡が入ったが、私はその時に至るまで、その院生は独身であると思い込んでいたくらいである。

 そもそもゼミ制度は、ゼミ内での大学院生、卒論生、3回生の縦のつながりを密にし、相互の批評やサポートを活性化しようという狙いで始まったものである。教員が院生・学生を個別に指導するだけでは不十分であればこそゼミ制でそれを補おうとしたわけであって、学生の私生活を教員がサポートする目的で始められたわけでは決してない。

 先日、早稲田のイベントサークルの不祥事が話題になったけれど、サークルの組織的な不祥事であるなら大学にも監督責任が生じる。教育実習、インターンシップ、卒論研究上の調査、ゼミ旅行などの途中で生じた不祥事であれば、これまた指導教員が責任を問われることになるだろう。しかし、教育と直接関係の無い、学生の私生活における不祥事まで面倒を見ろと言われたのではたまったものではない。もしその必要ありと判断されるのであれば、少なくとも、毎週1回、朝から晩までの行動計画書を提出させ、異性関係そのほか悩み事は隠し立てせずに報告、県外への旅行はすべて許可制にでもしてもらわなければ、指導責任を果たすことはできない。