じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 梅雨明けの日に「うなだれる」ヒマワリ。種の少ない園芸品種を別とすれば、普通のヒマワリは「向日葵」の名と異なり、種が重くなるにつれて首を下に下げ、二度と太陽を見上げることはない。


7月26日(土)

【ちょっと思ったこと】

清々しい梅雨明け

 気象庁は26日午前、近畿、中国、四国、九州北部、東海地方が梅雨明けしたとみられると発表した。中国地方では平年に比べて6日遅い。梅雨期間中の総雨量は岡山では334ミリであり、平年の292ミリを上回った。多少バラツキはあるが、中国四国地方では平年の10%増し程度の雨が降ったようだ。

[Image]  6月16日の日記で「今年の梅雨はしっかりしている」と書いたことがあったが、その後もずっと毎日一度は雨がふる日が殆どだった。期間中、降雨量が記録されなかったのは6/21、6/29、7/2と、7/14〜7/17、及び7/25の8日間のみ(但し7/25は朝10時頃に雨が降っていた)であった。このこともあって、岡大構内では珍しいキノコをいくつか観察することができた。

 梅雨明け宣言といっても、今年の場合は、南海上の梅雨前線の活動が不活発になったことによる梅雨明けであり、オホーツク海の高気圧は依然として勢力を保っている。そのこともあり、7月26日の岡山の最低気温は20.2度、平年より4.3度も低かった。湿度も低く、梅雨が明けたというよりも、真夏の蒸し暑さに代わって秋の移動性高気圧に覆われたような清々しい空気に満ちていた。夜はエアコンなしでたっぷり眠れた。夕刻に大学構内の草取りをしたが、殆ど汗をかかなかった。冷害など、農作物の被害さえなければ、こういう夏は大歓迎。

【思ったこと】
_30726(土)[一般]地震災害の伝え方

 宮城県北部で、26日午前0時13分頃に震度6弱、午前7時13分頃に震度6強、午後4時56分頃に震度6弱、と合計3回の強い地震が発生し、死者は出なかったものの、400人を超える負傷者や300棟を超える家屋損壊の被害をもたらした。また、0時13分の地震では、観測史上最大の加速度2005ガルを記録したという(これまでの最大は、2000年の鳥取県西部地震の際の1482ガル)。

 この一連の地震のうち1回目(0時13分)の地震のあと、気象庁は午前2時から24時間以内にM5.0以上(震度5強程度)の余震が午前2時からの24時間以内に発生する確率は10%未満であると発表したが、後に、3度の地震は「前震」、「本震」、「余震」とみられると訂正した。

 このことについてまず思ったのは、震度5強程度の余震が午前2時からの24時間以内に発生する確率は10%未満(震度5弱程度は約20%と予想)であると伝えられたことは、防災上どのような影響をもたらしたのだろうか。

 記事によれば、政府は、0時40分に設置した首相官邸対策室を、その余震情報やその後の推移をみた上で午前7時にいったん閉鎖、ところが13分後の「本震」発生により急きょ設置し直したという。実害はなかったようだが、これはネガティブな影響の一事例と言えよう。

 一般住民に与えた影響については現時点では何とも言えないが、大きな地震が起こったあとでは「余震パニック」が起こりやすい不安な状況にある。しかし、、強い地震というのは、大した前触れもなく突然襲ってくるものである反面、一般的には、それを上回る余震は来ないだろうという、とりあえずの「安心感」が生まれる。ところが、その後も同じ程度の強さの地震が繰り返されると、いつになったら落ち着けるのか、という新たな不安が生まれてくるに違いない。だからこそ正確な予測が求められるわけだ。




 ところで、強い地震が起こると、新聞やテレビは競うように派手派手な写真・映像を伝えてくる。今回も、1階部分が潰れたり、屋根ごとひっくり返った家屋などが伝えられていた。しかし、全壊した家屋というのは、実は20年間も人が住んでいなかった空き家だったり、補修中だったりする。同じ程度の強い揺れが記録された地区であっても、外見上は何も壊れていない家が多数あるのだ。

 「派手派手な映像」は地震の恐ろしさをアピールするという点では防災意識を高める効果があるだろうが、その地区全体の被害状況を正確に伝えているとは言い難い。全戸数のうちの何%の家屋が損傷を受けたのか、また、外見上は損傷がないものの家の中はどうなったのか、それらをフィルターをかけずに伝えるようにしないと、事実報道として不正確であるばかりか、今後の防災に活かすことができない。被害に遭われた家の中まで映すのはプライバシーの侵害であり行き過ぎだという声もあがるかもしれないが、日常生活全般にわたる防災に活かすのであれば、承諾を得た上で、家の中の被害状況をもっと克明に伝えるべきだろう。廃屋同然の家屋倒壊シーンを流すだけでは、我が家はそんな古くないから大丈夫だという安心感をうえつけてしまうだけだ。

 先日、九州で水俣市を中心に梅雨末期の土砂災害が発生した。土砂災害の場合は、大雨などの不確定な気象条件とともに、特定の地形が災害を引き起こす決定的な要因となっている。つまり、どんな丈夫な家を建てても土砂が押し寄せてくれば防ぎようがない。それゆえ、土砂災害報道では、最も被害の大きい部分を周辺の地形を交えて伝えることに意義がある。

 いっぽう地震災害では、活断層上などの特定のエリア一帯では、すべての建物に同じように加速度が加わる。その中で建物が壊れたり壊れなかったりするのは、揺れの強さではなく、むしろ建物の構造自体に決定的な要因がある。だからこそ、地震災害報道では、家屋倒壊シーンだけではダメであり、どのくらいの比率で家が壊されたのか、壊れなかった家の中は大丈夫だったのだろうかという点を速やかに伝える必要があるのだ。