じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 農学部農場のひまわり畑。梅雨の中休みの晴天が続き、日ごとに花の数が増えてきた。


7月16日(水)

【ちょっと思ったこと】

大学研究室は公共施設か個人空間か

 健康支援法施行を受けて、岡大津島地区でもいよいよ全館禁煙が実現しそうになってきた(医学部などのある鹿田地区はすでに敷地内禁煙。いずれの地区も特定の喫煙所は確保される)。この全館禁煙には教員の個人研究室も含まれているのだが、一部の愛煙家教員からは、研究室の中ぐらいいじゃないか、そこまで禁煙にされると、思考力低下、ストレス蓄積で病気になるかもしれないといった反対の声がささやかれている模様だ。

 ここで改めて議論になりそうなのが、教員研究室がどの程度公共的なのか、また、伏流煙の影響がどの程度あるのかということ。

 愛煙家教員の言い分は、私の理解している範囲では次のようなものである。
  • 教員研究室は、基本的に個人が使用しているので、第三者の受動喫煙は起こりにくい。
  • 学生が質問に来た時などは、タバコの火を消して換気扇を回せばよい
 これに対して、禁煙推進を主張する側の意見は
  • 事務職員や学生には個室がなく指定された場所だけで喫煙をするように義務づけられている。また、保健管理センターの提言もあり、学生には禁煙を呼びかけ、学生が入学後に喫煙者にならぬよう様々な配慮をしている。こういう中で、教員だけが指定場所以外でタバコを吸うという特権を持つのはいかがなものか。
  • 学生や他の教員が研究室にやって来た時に慌ててタバコを消したからといって、煙はすぐには無くならない。
  • 喫煙者が使っていた研究室はタバコのニオイがしみついて、非喫煙者の研究室には転用できない。
  • 研究室内を禁煙にされると、思考力低下、ストレス蓄積で病気になるかもしれないなどというが、もともと、タバコには、思考力を高めたりストレスを解消する効果は無い。タバコを吸わない時の思考力をゼロとすると、それがニコチン禁断症状によって極度のマイナスに低下、それをゼロレベルに近づけようとする効果があるのみ。プラスに引き上げる効果は実証されていない。
 全学の会議ではすでに全館禁煙の方向が固まっているので、仮に何名かの教員が反対を唱えてもそれが覆されることはあるまいと思う。今後おこりうる問題は、教員が研究室内でこっそりタバコを吸っていた場合にどう対処するかということだろう。通常は黙認されるかもしれないが、たまたま学生が研究室を訪ねそこで煙に遭遇して訴えを起こした場合には、その教員は、規律違反として処分を受けることになるだろう。




火星、一段と明るさを増す

 17日の4時頃にベランダから南の空を眺めたところ、月齢17の月の左側に、一段と明るさを増した火星が輝いていた。天文年鑑によると、7月10日がマイナス1.7等、7月20日はマイナス2.0等となるから、急速に明るさを増していることが分かる。8月27日の最接近時にはマイナス2.9等になるというから、今よりさらに2.5倍。あの赤い星がどんな輝きを見せてくれるのか今からワクワクする。

 ちなみに17日の17時15分には火星食が起こるが、残念ながら日本では見られない。北米あたりにお住まいの方は、日本時間の17時頃にぜひ夜空を眺めてほしいと思う。




「おざなり」と「なおざり」

 16日夜のニュースで自由党の小沢党首が「おざなり」という言葉を使っていた。私自身はこの「おざなり」と、「なおざり」をしょっちゅう言い間違える。念のため『新明解』と『ドクターマウス』で意味を調べてみた(長谷川により一部改変補足)。

●おざなり:お座なり。その場限りのまにあわせ。いいかげん。「お座なりな挨拶」、「―の計画」。「―にする」、「―を言う」/careless; slapdash; perfunctory / お座なりに in a perfunctory [slapdash] manner / お座なりを言う say anything that comes into one's mind [just to suit the occasion]; make irresponsible remarks
●なおざり:等閑。[言動に心がこもっていないで]することが万事不十分な様子。余り注意を向けず、いい加減にするさま。おろそか。「規則を―にする」「忠告を―に聞き流す」 警告をおざなりにする(=適当にほうっておく)。なおざりな返事(=いい加減な返事)。

 2つを取り違えやすいのは、同じ文字が使われていることに加えて、どちらにも「いい加減」という意味が含まれているためかと思う。上記の事例にもあるが、「おざなりな返事」と言われても「なおざりな返事」と言われても、どっちも当てにならないいい加減な返事であることに変わりない。

 両者を区別するには、お座なりの「座」に「その場」という意味があることを思い出せばよいかと思う。心理学の言葉を使うならば、信頼性の低い返事(その場その場でコロコロ変わるような返事)は「お座なりな返事」であると言える。いっぽう、妥当性の低い返事(依頼や質問の内容を正確に捉えていない、もしくは相手の要望にちゃんと応えていないような返事)は、なおざりな返事と言うのかもしれない。

 デートを申し込まれた時、「今日はちょっと日が悪いから」とか「急に約束ができたから」など、その場その場で言い訳を考えるのは「おざなりな返事」、いっぽう、きっちりと約束せず、曖昧に受け答えするのは「なおざりな返事」となるのだろうか。

7/17追記]
ネットで検索したところこちらに詳しい解説があった。なおざりは「等閑」のほか「猶避」であるという説もあるらしい。たしかにそのように書くと、「猶予、避ける」という意味が出てくる。このほか、どっちが先に使われたか(「なおざり」が先らしい)などの解説もあり。