じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 6月10日の梅雨入り宣言以降は毎日雨が降っていたが、20日午後には久しぶりに晴れ間が見えてきた。時計台前のネジバナがいっせいに花穂を伸ばしている。


6月20日(金)

【ちょっと思ったこと】

ラーメン屋割引競争の怪

 今週になって、アパートの郵便受けに、近くのラーメン屋の150円割引券が大量に配布されるようになった。最初は3枚バラ、そのうち5枚セットが綴じられており、全部集めると30枚以上になる。いずれも1人1枚限りとなっているのでそんなにたくさん使えるはずがない。いったい何の目的で配布しているのだろうか。

 券の裏側を見ると、それぞれ鉛筆などで小さなマークが付けられているのが分かる。アルバイトにとっては、一軒家を回るよりもアパートの郵便受けに入れた方が短時間でノルマが果たせる。梅雨時で歩くのが面倒になったアルバイトたちが、入れ替わり立ち替わりやってきたに違いない。

 割引券と言えば、先日息子と一緒に行ったラーメン屋では1人あたり200円の金券をくれた。その後、私一人で大盛ラーメン680円を食べた時に2枚400円分を使ったところ、次回にどうぞと言ってまたまた200円分の金券をくれた。サービスとはいえ、どうやって採算をとっているのか謎である。





売り家の怪

 馴染みの不動産から送られてくるリストをもとに、土日を利用して夫婦で中古の売り家を見物に行くことがある。たいがいはハナから買う気のない冷やかしに近いものであるが、将来どこかの家を買う時の参考になればと、不動産屋を煩わせている。しかし、少し前に訪れた物件では信じられない光景が待っていた。

 待ち合わせ時刻に物件の場所に行ってみると、ちょうど不動産屋が空き家の中から迎えに出てくるところだった。しかし蒼い顔をしている。

じつはこの物件は別会社からの紹介によるものでして、先ほどその会社から鍵を借りて初めて入ったところですが、空き家になってからすでに相当の年月がたっていて家の中は荒れており、お客様は驚かれるかもしれません。

などと言われた。外観はりっぱな邸宅だったので、それほどひどいことはあるまいと中に入ってみたら、まず、驚いたのは、和室には仏壇が置かれており御位牌が並んだままになっていたこと。そのほか、押し入れやタンスから衣類がはみ出していた。廊下にはネズミホイホイが仕掛けられていたが幸いなことにネズミはいなかった。洋間には立派な革製のソファがあったが、びっしりとカビが生えていた。食堂の洗い場には皿が積み重なっている。子ども部屋にもいくつかの遊具が残されていた。私は気づかなかったが、妻によれば、洗濯機の洗いカゴにはブラジャーが放置されていたという。

 不動産屋に、

●一家失踪か、全員事故死か、何かあったんですか?

と訊いてみたが、

もし変死、心中などの事件があった場合はご報告の義務があるのですが、それに該当する情報は受けておらず、持ち主の方もちゃんと別のところに住んでおられます。

と弁解するだけであった。

 どうしてこういう状態になったのか、また、後かたづけもせずに家を売りに出すというのはどういう心理なのかとあれこれ推測してみたが、納得のいく説明が思い浮かばない。いちばん可能性が高いと思われるのは、妻子が何らかの事情で夜逃げ、そのことで意気消沈、もしくは世間体を気にした夫(=売り主)はその新居を捨てて実家に戻る。もはや後かたづけをする気力はない。かといって収入にはそれほど困らないので放置しているという説明だ。但し、御位牌がなぜ置きっぱなしになっているのか、また、あんな状態で本当に買い手がつくと思っているのかは、依然として謎である。

 不動産屋も今回ばかりは、「お気に入りになられましたか?」とは一言も言わなかった。