じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 岡大農場横のワルナスビ。棘があり繁殖力旺盛なため、普通は雑草としてすぐ抜いてしまうが、花自体はなかなか綺麗なものだ。


6月14日(土)

【ちょっと思ったこと】

ボッティチェリの花言葉

 人間・植物関係学会2003年大会出席のため、6時46分発の新幹線で岡山を出た。いつもより早めの5時半ころ朝食をとりながら、NHK「世界の美術館紀行」を視た。

 この日はボッティチェリの「春」が取り上げられていた。美術の教科書にも出てくるおなじみの絵であるが、登場人物のしぐさは個々バラバラで全体として何を描いているのか私には分からなかった。

 この番組によると、この絵は、右から左の方向に、肉欲から天に向かう愛へと成長する道筋が象徴的に描かれており、最近の研究によれば、登場する数百本の花にはすべて意味が込められているのだという。このように植物を精細に描いたのはルネサンス期ではボッティチェリが最初の画家かもしれないとのことだった。

 野山の草花は素朴に眺めるだけでも美しいものであるが、こうして、個々の種類に意味づけし、関係性を保ちながら自然と共生していくことができれば、自然はもっと生き生きしたものとして目に映るだろう。そういえば花言葉は誰がいつごろ決めたのだろうか。このさい、過去の取り決めにこだわらず、独自の花言葉を考えてみるのも一興かと思う。人間・植物関係学会でも、こういう花言葉を通した「関係」に目を向ける研究が出てくればもっと輪が広がると思う。




小田原までの交通費

 今回は伊勢原市近くの短大が会場であったため、航空機ではなく、新幹線〜小田急乗り継ぎのルートを利用した。運賃は往復で17200円、自由席特急料金は5140×2=10280円となっていた。切符には「復割」と記されていたが、おやっ、岡山〜小田原間は復割の距離に達していたかなあ?

 しかし、岡山〜東京の航空運賃が最安で12000円、あるいはホテル1泊込みで28000円台からあることを考えると、JR利用はやはり割高であることに変わりない。時間的にも、羽田〜京急〜小田急のルートがあったはず。ま、たまには車窓からの風景を楽しむのもよいか。ちょうど、田植えの済んだ水田に隣接して、収穫間近の麦畑を各所で見ることができた。東海道新幹線を利用したのは何年ぶりだったかなあ。、

【思ったこと】
_30614(土)[心理]園芸療法の効果について考える(2)基調講演

 6/7の続き。神奈川県・伊勢原市で開催された人間・植物関係学会2003年大会は、I氏による「園芸療法と社会福祉」という基調講演から始まった。I氏は社会福祉文化学会の創設者である。その背景には、社会福祉士が国家資格化されたことにより、福祉専攻の大学が結果的に予備校化してしまったという問題点があった。その結果、学生たちが福祉について広い視野から主体的にとりくむ姿勢が薄れ、特に、国家試験で出題されないことによって福祉の歴史が顧みられなくなってしまったという[←あくまで長谷川の記憶に基づく要約]。

 I氏が強調されたのは
  • 孤児院:岡山発祥300人以上。後に宮崎県・茶臼山(?)に移転。
  • 教護院:北海道に
  • 知的障害者施設:滝の川(?)学園→国立市
 という3点の取り組みであった。特に3番目の施設だったと思うが、農耕を取り入れた教育と個体本位のプログラムが実践されたという。懇親会の時にも個別にお話して分かったことだが、岡山はかつては福祉の先進県であったそうだ。それと、サンマルクや、はるやまのような企業、医療福祉面でも、AMDA、生きがい療法(柴田病院)、倉敷中央病院の温室というように、時たま、先進的な取り組みで全国に名が知られるようになる場合がある。




 講演の後半では、少子高齢化の中で、在宅福祉における園芸活動重視、介護予防、東洋医学の活用などの大切さが強調された。西洋医学が部分中心の医療であるのに対して、東洋医学は全身を対象としている。しかし、中国や韓国に比べると医療保険の対象の範囲はきわめて狭い。この部分は、今度の大会のパネルディスカッション「園芸療法の効果をどう評価するか」にも大きく関係してくる。園芸療法の場合にも、要素的な部分での効用ではなく、全人的な視点からの効用を論じない限りは生産的な議論には結びつかないように思う。

 このほか、日本の都市計画が、古代中世で守られてきた自然との共生環境をダメにしてしまったこと、鎮守の森の大切さなどが語られた。次回に続く。