じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
アジサイ。同じ株から、色とりどりの花が出ているのが不思議だ。 |
【ちょっと思ったこと】
出身県でわかる人の性格? 6/3の朝日新聞に『出身県でわかる人の性格〜県民性の研究〜』(岩中祥史、草思社)という広告があった。草思社と言えばユニークなベストセラーをヒットさせることで知られる出版社であるが、今度の本はどうだろうか。「私の出身県はどう書かれているだろう?」という興味から、タイトルだけに惹かれて買う人も多いのではないかと思う。 副題に「県民性の研究」とあることから、行動特性の地域差を論じた地道な研究の集大成であるようにも見える。しかし、広告では「宮崎県:台風が多く、なりゆきまかせ」、「千葉県:行儀が悪く、ゴルフ好き」、「愛知県:モノしか信用しない現物主義」、「佐賀県:偏屈でカッとなりやすい」というように、県民感情を逆撫でする?ような宣伝文句が並べられている。このフレーズだけから判断すると、血液型性格判断トンデモ本と大して変わりないようにも思える。 各種経済指標、生活実態調査に基づく都道府県別ランキングのようなものは、行政機関や民間機関からいろいろと発表されている。そういうデータから、著しい差がある部分だけをつまみ食いして、後付けでいろいろな解釈をすれば、いくらでもこういう本は書ける。そして読者のほうは、身近な典型事例の中から一致する部分だけに注意を向け、当たっている当たっていると納得する。あとは、いかに読者を喜ばせるかという名人芸にかかっている。 しかし、そういうデータには単なる偶然の変動もあるし、地域的な流行もある。例えば、先日ラジオで、岡山県民は車のナンバープレートの数字にこだわる人が多いという話しを聞いたが、これなどは別に県民性というほどのことはなく、ある種の流行のようなものであろう。そういえば、かつては、岡山県はWeb日記書きの名所だと言われたこともあった。 仮に、その県特有の気候風土が行動傾向に何らかの影響を及ぼしたとしてもそれがどの程度の重みを持つのか、ある県の出身者であるという情報を得ただけで個々人の性格特性を予測できるほどのファクターになりうるのかは大いに疑問である。ま、そうは言いつつ気になる本だ。さっそく注文してみるか。 |
【思ったこと】 _30602(月)[数学]円周率>3.05の追記。来年は円周率<3.2が出題? 昨日の日記で「円周率が3.05より大きいことを証明せよ。」という東京大学前期数学B問題・第6問のことを書いた。 この問題を初めて見た時、私自身は、 ●π/4=1-1/3+1/5-1/7+1/9......というJames Gregoryの公式を証明した上で、右辺の値が3.05/4より大きくなることを示す という解法を思いついたが、実際にはかなり面倒なようだ。 また入試直後の河合塾の解答速報には、上記と同じ発想、但しπ/4をπ/6に変更した解法が記されていたと記憶していたが、現時点では確認できなかった。 [※6/3追記]河合塾の解答速報はこちらに公開されていた。 いっぽう、昨日リンクしたように駿台予備校の解答例では正12角形による解法が紹介されている。また、『大学への数学』4月号は、中学生でもシリーズというサイトと同様、正8角形による解法が紹介されていた。 正12角形を使った解法と正8角形を使った解法は、中学生でも解けるかどうか、どちらが計算時間が短いか、など一長一短がありどちらが優れているのかは一概には断定できない。但し、昨日も述べたように、正n角形の周が3.05を超えているかどうかは計算して初めて分かることである。少しでも大きい値をとる正12角形の解法のほうがいくらかリスクが小さいようにも思える。 余談だが、『大学への数学』4月号には、アルキメデスが円に内接および外接する正96角形をつくり、 (3+10/71)<π<(3+1/7) を示したことが紹介されていた。さすがアルキメデスである。これと同じ問題が入試に出るとは考えにくいが、来年度、どっかの大学で、 ●円周率が3.2より小さいことを証明せよ。 なんていう問題は出されるかも。 |