じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[写真] ミモザの蕾が黄色味を増してきた。


2月10日(月)

【ちょっと思ったこと】

言語尊重主義か効率的なコミュニケーションか

 2/11の朝日新聞記事によれば、欧州連合(EU)は、中東欧諸国など10カ国の新加盟によって、通訳や翻訳者の大幅な増員を迫られているという。EUは、民主主義、言語尊重主義、加盟国を平等に扱うという原則に基づいて、新加盟の国が生まれるごとにその国の公用語をEUの公用語として追加採用することになっている。人口約40万のマルタの言葉も次期公用語に選ばれた。

 記事では、公用語が20になった場合、1つの言語を他の19の公用語に訳すためには理屈の上では380人の通訳が必要になると書かれてあったが、順列組み合わせの公式にあてはめれば、20C2=190で足りるようにも思える。ま、どっちにしても膨大な通訳者が必要となることは避けられない。そこで、現実には、小国の言葉を第1の通訳がまず英仏独など使用頻度の高い言葉のいずれかに訳し、それを聞いた第2の通沢が他の小国の言葉に訳すというリレー通訳方式がとられているという。仮に英語のみを媒体とした場合(←実際には独仏もある)、20公用語の通訳のためには、「20公用語いずれか+英語」がしゃべれる通訳20人を揃えれば事足りるので、人件費の節約にもなる。但し、2段階を経ることによる時間的ロスは避けられない。

 記事によれば、EU諸機関で働く通訳はフリーを含めて950人、翻訳者は3000人であり、国連を上回る「世界最大の通訳・翻訳者機関」になっているという。活動費用(99年)は6億8600万ユーロ(890億円)でEU予算の0.8%。EU市民一人当たり2ユーロの負担だ。また2004年には推定1億7千万ユーロ(220億円)の追加費用が見込まれるという。

 では、すべてを英語一本にしてしまったらどうなるだろうか。一番の弊害は「英語圏有利」にあるのだろう。それと、上記のような通訳・翻訳システムが整備されていれば、どの国の人も、公用語1つだけ知っていれば自由に発言し、自由に情報を獲得することができる。英語のみが公用語となれば、英語を母国語としないすべての住民は、初等中等教育、時には高等教育の中でも英語学習に多大な時間を割き、金銭的負担を強いられることになる。その額は一人あたり2ユーロなどで済まされるものではない。英語のみを極端に重視しているアジア地域の国際会議と比べてどっちが効率的か、いずれ答えが出されることになるだろう。




 正確なコミュニケーションを保証し、かつ通訳のコストを減らす現実的な方法として、「話す時&書く時は母国語」、「聞く時&読む時は英語」という方式があってもよいと思う。どこの国の人でもそうだと思うが、一般に、英語を話したり書いたりすることは、英語を読んだり聞いたりすることより遙かに難しい。その理由は、おそらく、刺激系列を手がかりとして利用することと、反応系列を正確に発することの困難度の差であるとも言えるし、「理解」と「発信」それぞれにおいて必要とする文法知識の差であるとも言える。こういう片方向の通訳を保証するだけでも、日本人が国際会議で発言できる機会は大幅に増えるだろうし、また、小中高校生が英語学習に多大な時間をとられなくても済むという利点があるはずだ。




青い光のスジ、3日連続目撃

 2/11の朝6時〜6時10分、天頂やや北東よりに青いレーザー光が映っているのを目撃。これで3日連続だ。照射開始時、途中、終了時で、スジの形が微妙に変化していることに気づいた。雲の厚さにもよるのだろうが、開始直後は、彗星の尾のように見えた。

 余談だが、太陽に大接近中のニート彗星が見事な尾を見せているという。

2/11追記]

掲示板にて、謎の光の正体はこれではないかとの情報をいただいた。なんや、よく存知上げているK先生の研究室ではないか!? 地理的にも、光の特徴からいってもその可能性が非常に高い。しかし、こういう光って、騒ぎにはならないのかなあ。早朝に空を見上げる人がそれだけ減ったという証拠か。