じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[写真] 「梅にメジロ」。器用なことに、枝に逆さに掴まって蜜を食べていた。こちらで、メジロの蜜好きの話題が取り上げられていた。


2月4日(火)

【ちょっと思ったこと】

講演は私的活動

 説明が面倒になるので関係者には「出張に行く」と言って出かけたが、じつは規則上、謝金を伴う1回限りの講演は出張にも兼業届けの対象にもならない。

 慣例や事務担当者の判断によって、各大学の運用には多少の違いがあるのではないかと思うが私が理解している範囲で記すと
  • 非常勤講師などの兼業は、本務に支障をきたさないことを前提に、週単位あるいは期間を定めて特別の時間枠を設定し、本務への従事を免除する。但し、免除された時間分に応じて、別枠で勤務時間枠が設定される。例えば、昼間に90分の非常勤に従事した場合は、夜の9時頃まで勤務時間が延長されることがある。
  • 兼業といってもお金をもらえるとは限らない。大学生協とかNPOなど、無報酬の理事に就任する場合も、事前に届けを出して許可をもらわなければならない。但し、それらの団体の会議が勤務時間内に設定された場合には、年休(年次有給休暇)をとらなければならない。これは本務に関係の無いすべての会議について言えるものであり、例えば平日午後に生協の総代会に出席するためには、総代になった教員は年休をとる必要がある。
  • 1回限りの講演で謝金を受け取るような場合、とりあえず機関の長(学部長等)にも依頼書が送られることがあるが、特に許可を受ける必要はない。但し、年休をとって出向く必要がある。
  • 専門分野に関連の深い講演を行う場合で謝金が出ない場合は、研修、もしくは出張扱いになることがある。学会年次大会での講演などがこれにあたる。学会によっては講演者に謝金や交通費を渡す場合があるが、出張届けを出した上でさらに謝金を受け取ると不正行為になるはず。
ということをクドクドと書いてみたが、要するに私が言いたかったのは、今回の講演は、年次有給休暇をとって旅行しているため、旅行の行き帰りにちょっとぐらい観光しても構わないということ。とはいえ、翌日15時からは会議があるため、観光は半日程度しかできなかった...。

【思ったこと】
_30204(火)[心理]トンデモ世界のリテラシー(4)人間の行動に依存した定義

 某大学での講演が無事終了。質疑の時間はとれなかったが、予定した内容はすべて話すことができた。どれだけ伝えられたかは、後日、この講演のために開設されたネット掲示板の反応を見ないと分からないが、90分きっかりに終わることができてよかったよかった。自慢するほどのことではないが、何も練習しなくても時間通りにまとめられるというのは私の特技でもある。

 昨日までの日記で書き忘れたことを1つだけ。「偶然」の定義を辞書で調べてみると(要約引用)...、
(岩波国語辞典) ふと。思いがけず/他のものとの因果関係がはっきりせず、予期できないような仕方で物事が起こること。←→必然
(新明解)そうなるべき必然的な理由が考えられないのに、思いがけなく起こること。/←→故意・必然。
講演の際にちょっとふれたが、これらの定義は私にとっては非常に意外であった。なぜなら、上記の定義どおりであるとすると、「偶然」は人間の知識や予測の度合いによって変わってしまうことになる。これは、ある出来事に対する人間のリアクションという点では妥当かもしれないが、科学的な概念としてははなはだ不十分な定義であるように思った。

 例えば「地震は偶然に起こる」というのは、地震についての知識が無い時代の言明である。科学が進歩して、いつどこでどのくらいの規模が起こるかが確実に予知できるようになった時には、地震はもはや偶然には起こらない。現時点でとりうる態度は、
地震は決定論的に起こるが、現在の科学技術では確実な予知はできない。そこで、便宜上、リスクの大きさを確率的に表現し、それに見合った防災対策をとる必要がある
ということになるのではないかと思う。