じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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サーバーの容量事情により、写真ファイルはこちらに移しました。 タスマニアのトレッキングコースのトイレ。主な山小屋には写真左のようなトイレが整備されている。使用後は、写真右のようなおがくずをスコップですくってかける。トイレの無い場所では、十分に穴を掘り、埋めた後は動物が掘り返さないように、石や切り株を上に置くことが義務づけられている。 [写真]


1月25日(土)

【ちょっと思ったこと】

ネットの通信障害で大迷惑

 各種報道にあるように1月25日の午後2時半すぎから、大学の学内LANを通じたネットへの接続が困難になった。外部はもちろん、大学のサーバーにもアクセスが困難になった。

 私のゼミでは、卒論・修論の下書はEメイルを通じて長谷川に送られ、これを長谷川が非公開サイトにアップロードし、非公開掲示板で教員やゼミ生が相互にコメントを出し合う形で修正する指導法をとっている。この土日は卒論提出前の最後の休日であり、相互の連絡が最も必要な時期であっただけに、この障害は大迷惑であった。

 専門的なことは分からないが、もともとインターネットというのは、特定の回線が遮断されても別のルートですぐに連絡がとれるような通信システムであったと理解している。しかし大学に限って言えば、情報センターが停電になるだけで学外との通信は一切不可能となるし、今回のように、何らかの妨害によって大量送信が行われた時にも脆くも通信不能になってしまう。何とかならんもんかなあ。

 もっとも今回の支障は、私のほうの事故対策にも問題があった。私の場合、教育用のEメイルのやりとりは大学のパソコンだけに限定しており、他のコンピュータにはメイルソフトさえインストールしていなかった。また、大学のパソコンは学内LANのみに接続しており、ダイヤルアップで臨時に対応することができなかった。とりあえず25日のうちに、大学のパソコンから研究室の電話回線を通じて私費で契約しているSo-netに接続できるように設定したが、電話代も接続料もかかるため長時間の接続は困難。日曜日はどうなるのだろうか。



今更ながら「千と千尋」の2つの謎

 TVでは途中で娘にチャンネルを奪われてしまった「千と千尋の神隠し」であったが、翌朝、買ってあったビデオで最後まで観ることができた。最後まで観客を引きつけるストーリーであり、なるほど、あれだけ騒がれたことはあると思った。もっとも、「もののけ姫」「ナウシカ」、「ラピュタ」などに比べると自然の風景の描写が少なく、テーマ的にも「もののけ姫」に比べるとちょっと軽い。ま、10歳の子供のために作られたということだから、これでよいのだろう。

 さて、最後まで観たところでさっそく2つほど疑問が出てきた。

 その1つは、最後に、並べられたブタの中から両親を探し出せと言われた場面で、なぜ千尋は「この中には両親は居ない」と正解を出せたかという点だ。両親がブタに変身した瞬間には髪の毛が残っていたが、これが手がかりになったとは思えない。銭婆からもらった髪留めのおかげで魔法を見破ることができたのか、あるいは観衆の中にいたカエルがこっそり合図を送ったのか(ビデオを観るとカエルだけ息を呑むような動作をしていることがわかる)いずれかであろう。

 もう1つ、千尋の家族がトンネルに迷い込んだ時には、まだ建物の赤いモルタルはしっかり塗られていたのに、最後に帰る時には、モルタルがはがれて、トンネルの湯屋側の出口にはがれきや朽ちた柵が置かれてあった。また、人間界側の入り口も苔むしており、シダや草に覆い尽くされていた。このほか、入り口の石像の顔が消えていることにも気づく。もし浦島太郎のように何十年、何百年もあとの世界に戻されたというならそれも一理ある。しかし、そんなに年月が経過していたら、止めてあった車はホコリが入る程度では済まされないし、当然、動かすことさえできないだろう。

 これら2つの謎は、観客なら誰でも気づくはずであり、決して、作成上のバグではない。どういう意図があるのだろうか。




 さて、ネット上のどこかに答えが書かれてあるだろうと思い「千と千尋 謎」で検索をかけてみたところ、確かにこういう議論はごまんとあった。

 1番目の謎に関しては、湯婆婆と契約する時に「荻野」の「荻」の「火」の部分を敢えて「犬」というように間違って書いたために魔法が完全にかけられていなかったという説があった「例えばこちら]。しかしシャーロキアンの推理ではあるまいし、そんな手の込んだことをするもんだろうか。

 もう1つの謎についても、こちらの掲示板に私と同じ疑問が記されていたが、説得力のある説明は得られていない。

 なお、昨日の日記で「運転している車が左ハンドルなのは変だなあ」と書いたが、こちらによれば、これは“アウディの四駆、「AUDI A4 クワトロ 」左ハンドルマニュアルミッションとやらはどうやら実際に宮崎氏の愛車のようですね。”ということのようだ。ちなみに、私自身、愛知県犬山に住んでいたことがあるので、国道21号線の岐阜県各務原市付近なら通ったことがある。とすると、あそこで出てくる「テーマパーク」は、名鉄の犬山遊園かリトルワールドあたりのことを言うのだろうか。




 その後、じつは、妻が、徳間書店発行の『ロマンアルバム 千と千尋の神隠し』(ISBN4-19-720169-9)を買っていたことが分かった。ざっと眺めてみたが、ブタの中に両親が居ないことを見破った理由については特に書かれていなかった(←妻の解釈は、「いくらブタにされても両親の顔ぐらい分かるはずだ」というもの)。

 上記の「萩」の字の「書き間違い」や、迷い込む時と戻った時のトンネルの景色の違いは、アルバム掲載の写真でもはっきり確認できた。

 昨日の日記で、
不思議の国のアリスと同じ設定であるなら、いろいろ冒険したあげく、実は、引っ越しの途中に車の中でみた夢にすぎなかったとか、車が事故で転落し意識を失っている間にみた夢だったという形で現実世界に戻されることになるんだろうが、これではちょっとありふれている。
と書いた点に関しては、車の上に葉っぱが積もっていたり、髪留めが残っていたことから、決して全部夢ではなかったということが分かるようになっている。これは宮崎監督自身からも語られている。

 このほか、各種サイトでは、アイデンティティに関する考察や、「えんがちょは英語でどう表現されたか」など、興味深い記述がいっぱいあった。本も出されているようだが、ま、私自身は、この程度で十分満足。といいつつ、上記の2つの謎(プラス、萩の字を書き間違えた謎)だけは何とか解決したいと思う。どなたかお互いを更新する掲示板を通じて情報をいただければ幸いです。




1/28追記]

 掲示板にて、豊田@早稲田さんより貴重な情報をいただきました。一部転載させていただきます。どうもありがとうございました。
>その1つは、最後に、並べられたブタの中から両親を探し出せと言われた場面
>で、なぜ千尋は「この中には両親は居ない」と正解を出せたかという点だ。

これは,納得のいく説明はないみたいですね.わたしは,魔法ではなく,みんなの願いのこもった髪飾りがあったからと思っています.


>もう1つ、千尋の家族がトンネルに迷い込んだ時には、まだ建物の赤いモルタル
>はしっかり塗られていたのに、最後に帰る時には、モルタルがはがれて、

これは確かな答えが監督自身から語られたのを読んだことがあります.
本当の風景は帰ってきたときのそれであり,行きは,現実世界と異界が通じていた特別な風景なのだそうです.つまりもう一度行こうとしても,2度といけないと言うことを示しているそうです.
異界物語の定番です.

同時に監督自身から語られたこととして,千尋はトンネルから出たとたんに異界でのことを覚えていないのだそうです.2泊3日とはいえ,あんな体験を覚えていたら,学校や両親との関係をたもてなくなる.でもその部分は,見て分かるように描いていないので,覚えていると思っていてもいいそうです.

我が家の最大の争点は,ハクは「あとから行く」と言ったが,あのあと現世に戻れるのか?八つ裂きにされるのか?ということでした.息子・娘・カミサンは「名前を取り戻したから戻れる!」私は「あれは千尋を気遣うハクのやさしいウソで,現実世界の川は埋め立てられちゃったんだから,ハクは戻りようがない.」という夢のないものです.監督自身からこの件にかんして語られたことは,探した範囲ではないようです.
 ということで2番目の疑問はほぼ解決。但し、もしトンネルの風景で現実と異界との違いを描くのであるなら、トンネルを出た後の景色だけを変えるべきではないかなあ。あの映画では、トンネルに入る前(まだ振り返ってイケナイ状態)で、すでにモルタルは剥がれて瓦礫や崩れた柵があったようだが...。

あっ、あと、私もハクは戻れないと考えています。