じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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サーバーの容量事情により、写真ファイルはこちらに移しました。 タスマニアの動物シリーズ最終回。動物園の一角では、ホンマもんのコアラとツーショットを撮ることができた。ところが、まことに運の悪いことに、その直前にデジカメが電池切れとなり、レンズが開かなくなった。しばらく待って、いくらか電池の供給力が回復した頃には、コアラは飼育舎に戻されてしまっていた。一生に一度?のツーショットのチャンスを逃してまことに残念。そのかわり、あちこちを触らせてもらった。野生動物を自然に戻すという理念から言えば、本当はツーショットもお触りもヨロシクナイと思いつつ...。


1月20日(月)

【ちょっと思ったこと】

1杯のコーヒーは大腸がんの防止になるか

 日記読みからの情報になるが、1/19の毎日新聞(インタラクティブ)によれば、コーヒーを毎日1杯以上飲む女性は、まったく飲まない人に比べ、大腸がんになる危険度が半分以下であったという。私自身は、朝食後(インスタントコーヒー半分、牛乳半分)と昼食後(ドリップコーヒー、植物性の粉末ミルク)に砂糖なしのコーヒーを飲む習慣になっているので、これは朗報だと思ったが、残念ながら、男性では有意差は無かったらしい。このほか、当該記事によれば「コーヒーを1日3杯以上飲む人の胃がんと直腸がんの危険度はいずれも、飲まない人の半分以下」というデータも別にあるようだ。

 この種の調査では、「年齢や身長、肥満度、飲酒量、喫煙量などの個人差や地域事情が影響しないようにデータを補正」してあるというが、調査項目数は無限ではないから、補正も万全とは言えない。日記読み日記にも書いたが、例えば、コーヒーを1杯以上飲む女性は朝食をとる傾向が高く(朝食の時に必ずコーヒーを飲む)、飲まない女性に朝食抜きが多ければ、これは単に朝食(←サラダを食べるのか、みそ汁を食べるのかは地域・年齢によって異なるだろうが)をとることが大腸がんの防止になっている可能性がある。この場合、朝食を取っているかどうかが調査項目に含まれていなければ補正のしようが無いのである。

 男性で有意差がなかった理由もいろいろ考えられる。喫煙量による補正があると言っても、第三者の喫煙の影響は無視できない。男性のほうが、タバコの煙を吸い込む機会が多いとすれば、それによって差が出にくくなる可能性もある。

 このほか、調査が岐阜県・高山という山間部で行われたことも見逃せない。この地域の食習慣や職種が影響を及ぼした可能性もある。

 もう1つ、そもそも大腸がんになる確率はそれほど大きくはない。今回の調査(35歳以上)の場合は、対象者3万224人(男性1万3893人、女性1万6331人)のうち、1992年から2000年の調査期間のうちに新たに大腸がんになった人は、男性111人、女性102人であったというから、確率的には125〜160人に1人程度の発生率にすぎない。この程度のレベルで危険度の大きさを云々するよりも、もっと総合的な健康保持に注意を向けたほうが結果的に長生きできるようにも思える。

【思ったこと】
_30120(月)[教育]非常勤講師を引退するわたし

 非常勤講師先に向かう途中、ラジオのスイッチを入れたら、ちょうど横綱・貴乃花の引退記者会見が始まるところだった。1/18の日記では「日本経済再生の期待を一身に背負った貴乃花の踏ん張り」などと少々失礼なことを言ってしまったが、そういう冗談を口にしたのは、まだしばらく取り続けてくれるに違いないと思っていたからである。本人の口からも出たように、肩の荷が降りたという、すがすがしさが感じられた。

 さて、じつは私自身も、この1月20日をもって、学外非常勤講師を引退することになった。来年度からは、すべての非常勤講師を辞めさせていただくことを申し出ていたので、この日の最終授業がいわば引退記念日となるわけだ。

 非常勤講師を辞めさせていただく理由は、何と言っても本務校での用事が多すぎることによる。上記の非常勤講師先には移動だけで片道1時間、授業が90分、時間的余裕を確保すると、週1コマの授業のために実質半日がつぶれてしまう。これはかなりの負担であるとともに、月曜日午後に開催される各種会議にも出席できず、「本務に支障がある時は兼業には従事しない」という兼業規定にふれる恐れが出ていた。




 大学教員が学外非常勤講師に従事するケースは、大きく分けて次の2タイプがあるかと思う。
  1. 当該分野で秀でた研究業績があり、他の教員では代役がつとめられないため、わざわざ招聘される。通常これは集中講義の形で行われ、招聘されることは名誉なことだとされている。
  2. 人件費節約などにより専任教員が不足している大学が、それを補うために近隣大学の専任教員を非常勤として雇用。通常、これは毎週1〜2コマの通勤となる。
 岡大では、学長サイドから、上記のうちの2.のタイプの非常勤はなるべく減らすべきだという表明が、繰り返し出されている。これは例えば、外国語の専任教員が学内では「これ以上のコマ数は負担だ」と不平を言う一方で学外非常勤で外国語の授業を担当しアルバイト代を稼ぐのはケシカランという意味のようだ。同じ外国語の授業でも、その教員が研究対象としている文学や語学の専門的講義なら話は別だが、単に、初修の外国語を受け持つぐらいだったら、誰にでも代役ができる。学外でそんなことをやっている暇があるならば、自分の大学の担当科目数をもっと増やせというお達しには合理性がある。

 心理学の授業担当についてもおそらく同じことが言える。教養科目、あるいは心理学概論的な授業だったら、質的な差はあるとはいえ代役が可能である。これに対して、「○○心理学」、「○○分析学」のような特殊な内容の講義を行う場合は、代役をつとめることができない。本務校での職務や、大学間の地域連携などもあるので一概には言えないが、学外非常勤講師を引き受けることが妥当な授業は原則として後者(=代役不在の専門性の高い授業。もう1つ上の段落で言えば1.)に限られるのではないかと思う。

 今回「引退」させていただく授業は、たぶん全国でも私だけしか担当できないような専門的な内容を含んでいた。しかし、本務校での各種業務を犠牲にしてまで続けるわけにはいかない。これまでも、種々の会議の日程を決める際に、月曜午後を外してもらっていたぐらいだから、ずいぶんと迷惑をかけてしまっている。残念だがやむを得ないことだ。また、そういった理由で辞めさせていただいたわけだから、今後は、別の大学の非常勤講師を引き受ける可能性も無い。強いて言えば、上記1.の集中講義型に応じるぐらいだろう。




 さて、今回引退を表明した横綱貴乃花の土俵生活はわずか15年であったという。その苦労の大きさは横綱の足下にも及ばないが、長さだけから言えば、私の非常勤講師歴はかれこれ21年間ということになる。

 一番最初に担当したのは、某専修学校における「行動生物学」と「統計学」の授業だった。オーバードクターから結婚した頃は、生活が苦しかったこともあり、週に13.5コマをこなしたこともあった。京都の私学会館で結婚式を挙げた当日などは、朝8時40分から11時50分まで2コマ授業をこなし、そのまま自転車に乗って会場にかけつけ、会館内の床屋で髪を整え(←いつもボサボサだったため)、袴姿に着替えて、13時からの式にのぞんだ。これだけのコマ数があると、自己都合で休講にはできなかったのである。

 当時の収入は、90〜100分授業1コマあたりで6400〜7800円ぐらいだったと思う。フルに働くと週給で10万円、月給換算で40万〜45万円程度となった。いっけん高給取りのように見えるが、夏休みや冬休みは無収入となる。インフルエンザにかかっても休職手当は出ない。年間で30回フルに働いても300万円がやっとであるので、お金はたまらない。決して楽な家業ではないと思う。

 上にも述べたように、今後は停年に至るまで、「通い型」の学外非常勤講師はすべてお断りしようと思っている。停年後にどうなるかは分からないが、専任教員の不足を補うような役割は果たしたくない。ま、私のような者を呼んでくれるということであるなら、生涯教育の講座とか、NPO主催の講演会のようなものを優先的に引き受けさせていただきたいと思っている。

 元の話題に戻るが、貴乃花は15年の土俵生活で、「平成の大横綱」の偉業を成し遂げた。昨年10月に50歳を迎えた私にも、停年まであと15年のチャンスが与えられている。非常勤講師を引退した代わりに、1つや2つは何か大きな仕事をしてみたいものである。