じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 昨日に引き続き岡大事務局(旧日本軍・連隊司令部)の解体作業の写真。本部棟の5階から撮影したもので、写真右下の白いシートがかぶされている部分が、移築保存されることになった正面玄関部分(旧・学長室などがあったところ)。左下の重機のあるところが取り壊された部分。


12月13日(金)

【ちょっと思ったこと】

13日金曜日の出来事

 12/13は、たまたま新築の本部棟で会議があった。その合間、トイレに行く時にすれ違った人から「おはようござんす」と声をかけられた。おやっ、よく見かけるお顔だが、誰だったかなあと、一瞬立ちつくしてしまった。しかしすぐに思い出した。そのお方は、なっなんと学長だったのである。

 会議には副学長が出席されていた。会議終了時には、私より先にドアから出ようとされたが、何か思い出されたのか、突然向きを変えた。すぐ後ろにいた私は、その副学長とぶつかり足を踏んでしまった。幸いお怪我はなかったようだ。

 いやあ、13日の金曜日の通り、大変な一日でしたなあ。
【思ったこと】
_21213(金)[教育]「学ぶ意欲」再考(6)45万人調査「算数・数学低下くっきり」というが

 12/14の朝日新聞(大阪本社)一面トップに、文部科学省が今年初めに全国の小学5年から中学3年を対象に実施した5教科学力調査の結果が掲載されていた。約45万人を対象としたもので、記事では、前回調査(1993〜1995)に比べて、算数・数学の基本的学力の低下が目立つと指摘されていた。なお、この調査結果は13日に発表されものであり、14日朝には、国立教育政策研究所のホームページに掲載される予定であるという。

12/14追記]
14日朝には調査結果が、こちらに掲載されていた。但しpdf形式のため読み込みに非常に時間がかかり、閲覧できていない。



 では、算数・数学の学力は本当に低下しているのか。記事では、問題作成・分析担当者が想定した正答率と実際の結果が比較され、算数・数学で落ち込みが大きいことが指摘されているが、この「想定」とはいったい何なのか。関係者がどうやって正答率なるものを予想できたのか、その根拠を伺いたいところだ。

 もちろん、前回と同じ問題に限って比較すると、算数・数学では、正答率が増えた問題数よりも下がった問題数のほうが遙かに多い。科目全体の正答率も、中1のマイナス5.7%を筆頭にすべての学年で減少が見られる。これ自体は、「学力低下」の客観的証拠となりうる。但し、正答率の減少の度合いは、小5から中3の順にそれぞれ、3.6、2.7、5.7、3.7、1.3%にとどまっていた。減少の度合いがおおむね2〜3%程度であったという点は、むしろ、巷で言われているほど低下していないという証拠にもなるかもしれない。




 記事では、半径10cmの円の面積を求める問題(円周率は3.14とする)の正答率が53.3%であり、前回より15.8%下がったという結果について、一面記事の見出しに入れられていたほか、35面にも「円面積?つまづく子ら」と強調されていた。そんな簡単なことがどうしてできないのか、という扱いであった。

 多少気になったのは、出題された図の説明で、「10cm」が半径ではなく直径のように示されていること。オリジナルではどう表示されていたのだろうか。

 円周率をめぐっては、「3.14」を「3」として教えることの是非が議論されることがあるが、私は、そんなことはどうでもよいと思っている。それよりも、どうやったら円周率を近似的に求められるのか、また、そもそも面積とは何か、円の面積はなぜ「半径×半径×円周率」なのか、がちゃんと説明できるかどうかのほうが問題だと思う。

 円の面積が「半径×半径×円周率」であることを直感的に理解させるいちばんよい方法は、円を、高さが半径、底辺が弧の一部となるような三角形に分割し、分割された三角形の面積の和として近似することだろう。但し、それを理解するには、三角形の面積が正しく求められることが前提となる。小5に対しては、底辺5cm、高さ4cmの三角形の面積を求める問題が出題されており、その正答率は73.5%、前回よりマイナス11.3%となっていた。ということは、円ではなく三角形の面積が求められないことのほうが根本的であると言えよう。

 どっちにしても、「三角形の面積は、底辺×高さ÷2」とか「円の面積は、半径×半径×円周率」などという公式を使えるかどうかなどはどうでもよい。どうしてそうなるのかをちゃんと説明できることのほうが将来の役に立つと思う。余談だが、ピタゴラスの定理をちゃんと証明できる大人って、何%ぐらいいるのだろうか。




 このほか、理科や国語の出題例にも若干の疑義がある。

 記事に紹介されていた小5理科は、メダカのオスとメスを見分ける問題であった。しかし今やメダカは希少種であり、自然に棲息している場所はきわめて少ない。見分け方を丸暗記することにどういう意味があるのかさっぱり分からない。それを教えるくらいだったら、いろんな動物(昆虫を含む)で、オスとメスの色や形が異なることがどういう意味をもっているのか考えさせることのほうが遙かに勉強になると思う。

 小6の国語では、12個の漢字から、5個の熟語を作るという問題が出題されていた。10個の漢字は、

●備、断、易、告、説、準、富、送、報、豊、貿、判

であり、正解としては、正解率の高い順に

●準備、貿易、判断、報告、豊富

が挙げられていたが、例えば、「易断」と答えたら正解になるのか、疑問に思ってみたりする。例題の「粉、虫、芽、害、花」の場合も、「害虫」と「花粉」が正解とされていたが、「花芽」や「虫害」はどうなんだろうか。

 長くなったので、学習意欲調査については、次回以降に。