じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真] 5/12の日記で、ハート形のユニークな葉で知られるホヤ(愛称:「ナチュラルハート」、「ラブリーフ」...)の写真を紹介した。その後、ずっと屋外で育てていたが強い寒波到来で、半年ぶりに室内に戻す。半年の間にこれだけ葉の数が増えた。孫をたくさん引き連れて里帰りした子どもたちのように見える。右は5/12掲載の写真。





11月4日(月)

【ちょっと思ったこと】

2000円札はなぜ使われない?

 11/4の朝日新聞によれば、2000年から発行している2千円札の流通が伸びないにもかかわらず財務省印刷局が製造を続け、紙やインキなど原材料の在庫を大量に抱えていることが会計検査院の調べでわかった。印刷局内部の連絡不足や在庫管理の悪さが原因で、600億円分以上の紙幣が金庫に眠っているうえ、抱え込んでいる原材料などの在庫価値は20億円余り。また2000円札には偽造防止のため特殊なインキや用紙が使われているが、冷蔵庫などに保管されている2千キロの一部で劣化が進んでいたという。

 小渕首相時代に構想が発表された当時は、特需への期待などと経済への波及効果も期待されていた。その後、西暦2000年の沖縄サミット開催を記念して、2000年7月19日に発行された際には、自販機やATMに未対応の機種が多く、流通が伸びないのではないかと言われてきた。

 しかしあれから2年以上たってもいっこうに出回る気配が無い。私自身も、家族がどこかからもらってきた新札を2〜3回目にしたことがあるだけで、おつりでもらったことは一度もない。当然、財布の中にも入れたことが無い。単に西暦2000年を記念するというだけの理由で紙幣の種類を増やしてしまった政府の責任は重大。このさい、存続させるのか、存続させるならばもっと流通を増やすための対策をとる必要があるように思う。

 それにしても、なぜ、2000円札は使われないのだろうか。その一因としては、日本のコイン、紙幣の体系が、1、10、100、1000、10000という10進数の桁を増やすかたちでできあがっており、それを補完するかたちで、5、50、500、5000が存在する。多くの国民は、この「1、5、10」という組み合わせの中ですべての金額を表現することに慣れきってしまったため、2000などというルールから外れた金種になじめなかったという可能性がある。もし、2円、20円、200円を合わせて発行していたら、もっと利用は増えたはずだ。

 このほか、2000円札が無くても、お札の枚数が多すぎて困るということはないという事実もあるかと思う。例えば、9000円をおつりなしで支払うには、5000円札と1000円札4枚、合計5枚が必要。2000円札があればとりあえず3枚で事足りるが、その程度の枚数差はあまりメリットにはならない。逆に数え間違いのミスも増えそうだ。

 あとは何と言っても、おつりや自動両替機での対応だろう。銀行ではでは2000円札への両替が簡単にできるのだろうか。沖縄では流通に力を入れているようだが、岡山はどうかなあ。今度立ち寄った時に調べてみたい。




長期予報の当たる確率

 11月上旬にしては珍しい寒波が到来。岡山県でも県北では雪が降ったという。今年の冬は暖冬の予想ではなかったかなあと、広島気象台の3カ月予報(10/21発表)をチェックしてみると、私の記憶どおり
この期間の平均気温は、高い可能性が最も大きく、その確率は50%です。
となっていた。11月の1カ月分に関しても
天気は周期的に変わるでしょう。
気温、降水量ともに平年並の見込みです。
とあった。

 もっとも、11月1日発表の1カ月予報のほうは、だいぶ話が違っており、
気温が平年より低い日が多いでしょう。
となっており、平年より低い確率は1週目が80%、2週目が60%、3〜4週目は50%と次第に小さくなっている。といっても11月全体は低めの予想を出しているわけだから、10日前の3カ月予報とは少々矛盾しているように思える。

 このことで思ったのだが、長期予報で言うところの「可能性」というのは、統計学の仮説検定とは根本的に原理が違うようだ。もし統計学の発想をとるならば、「気温が高めとなるか低めとなるか分からない」という「帰無仮説」が棄却されない限り、「低めになるだろう」あるいは「高めになるだろう」という予想は立てられないはずである。ところが、上記の長期予報では、もし何も情報が無かった場合には、「低い」、「平年並」、「高い」がそれぞれ33%になるだろうという「気候的出現率」が先にあり、観測等に基づく予想確率が3等分の確率とどれだけずれているのかを問題にしているように見える。従って、同じ「平年並」という予想でも、「低い」、「平年並」、「高い」が1/3ずつという予想よりは、「低い」5%、「平年並」90%、「高い」5%という予想のほうが情報的価値が高いということになる。

 どっちにしても、予報を出す以上は、「この先どうなるか分かりません」とは言えない、間違ってしまうリスクが大きかったとしても、やはり、検証に耐えうる具体的な予測をせざるをえないのが辛いところだ。例えば、“「低い」30%、「平年並」30%、「高い」40%”という数値の時は、文言としては、確率40%と五分五分以下であっても「この冬は暖冬になるだろう」と表現するのだろう。

 いっぽう、寒暖予想は、スキー場、冬物衣料、暖房器具、灯油販売業者などにとって死活問題となる重大な情報であるが、この場合は、「この冬は寒いか暖かいかわからない」という仮説が片側検定で「寒い」という方向に棄却された時に、大量の仕入れをすることになるのだろう。あとは、予想が外れた時の損失の大きさとのバランスで判断される。とはいえ、“「低い」30%、「平年並」30%、「高い」40%”という情報には、“「低い」33%、「平年並」33%、「高い」33%”という「無情報」に比べてどれだけの利用価値があるのだろうか。