じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 毎年この時期にアパートの入口付近を飾るメキシカンセージ。北側の空き地のため、冬期は殆ど日が当たらないが十分に育つ。





10月10日(木)

【ちょっと思ったこと】

麒麟と徳川慶喜と言えば...

 みのもんたさんの「今日は何の日」によれば1916年10月10日は、妻木頼黄(つまき・よりなか)氏が亡くなった日であるという。妻木氏は幕府旗本の家に生まれるが、幼くして、父、母、姉を次々と失い天涯孤独となる。その後、米国やドイツで建築を学び、帰国後は大蔵省の役人に。日本橋、横浜新港埠頭2号倉庫などドイツ仕込みの洋風建築の設計にあたった。

 日本の道路の起点となる日本橋は、たしか高校1年の時、グループ別の都内見学で訪れたことがあったが、おそらくその一度のみであった。番組によれば、橋の中央には麒麟の青銅像があるというがこれには気づかなかった。それと、橋の親柱の「日本橋」という文字は、徳川慶喜によって書かれたものであるというが、どちらも全く知らなかった。しかしそれにしても、あの橋の上を通る高速道路は景観を台無しにしている。妻木氏が見たとしたらさぞかし憤慨されたことだろう。


 番組によれば妻木には辰野金吾というライバルが居た。辰野氏による設計と言えば、日本銀行本館や東京駅など。こちらのほうは英国風建築ということだったが、東京駅に関してはオランダアムステルダム中央駅がモデルになっているらしい。





北極星を挟む2つの明るい星

 夕食後の夫婦の散歩時、北東の空に明るい星が見えた。ぎょしゃ座のカペラであった。けっこう明るい。ふと西の方に目を移すと、西の空にこと座のベガ(織り姫)が見える。2つを比べるとほぼ同じ明るさ。そして何よりも、北極星を挟んでほぼ180度正反対に位置しているというのが面白い。念のため天文年鑑で調べたところ
  • こと座のベガ:赤経18時36分57秒/赤緯38度47分/明るさ0.03等星
  • ぎょしゃ座のカペラ:赤経05時16分44秒/赤緯45度60分/明るさ0.08等星

となっていた(但し2000.5の値。歳差の変動があるので上記の値は少しずつ変化する)。赤経が約12時ずれており、赤緯もそれほど違わず、明るさもほぼ互角であることが数値からも分かる。もっとも、ベガには七夕伝説があるのに対して、カペラにまつわる話というのは日本や中国ではあまり聞かないように思う。それと天文に興味の無い小中学生でも夏の大三角形ぐらいは知っているが、あれがカペラだと言える人は少ないように思う。なぜだろうか。
【思ったこと】
_21010(木)[心理]臨床心理士志望者が殺到する放送大学・大学院

 岡大・文学研究科(修士課程)では9日と10日の2日間にわたり前期入学試験が行われた。このことからの連想になるが、少し前に、放送大学・大学院文化科学研究科 文化科学専攻(修士課程)に、多数の出願者があったこと、但しその過半数は、臨床心理プログラムに殺到しているというニュースを聞いたことを思い出した。

 念のためネットで調べたところ、こちらに出願状況などが公開されていた。それによれば、募集人員500人に対する出願者数は5プログラム合わせて昨年が4057人、今年度は2339人となっているが、そのうち臨床心理プログラム(40人程度募集)希望者が、昨年は2256人(56.40倍)、今年は1269人(31.73倍)であり、確かに出願者の過半数に達していることが分かった。

 これほどの出願があると、入学試験のほうも大変なことになると思うのだが、実際には、

第1次選考:研究計画書、志望理由書等による書類審査
第2次選考:小論文試験(各学習センター)および面接試問(本部)

という2段階の選抜が行われるようだ。しかし、こんなに多数では計画書や志望理由書だけで公平に合否を決めるというのは非常に困難。また、そのような書類を本人が自力で作成したものかどうかの見極めも難しいのではないかと拝察される。

 また、昨年度の2次選考の小論文試験の問題がこちらに公開されていた。1500字以内で解答することとなっているが、採点基準などはどうなっているのだろう。模範解答などあればぜひ見せて貰いたいものだ。




 TVニュースによれば、臨床心理プログラムに出願者が殺到しているのは、臨床心理士の資格(←国家資格ではなく、認定協会による認定資格)を取得してスクールカウンセラーをめざす人が多いという背景があるようだ。じっさい、こちらの連載で取り上げたように、教員研修事業費等補助取扱要項などでは、「財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士」になることは、スクールカウンセラー選考の最優先条項とされており、また、時給でも格差をつけられているという現実がある。しかし、これについては、官業癒着であるという批判まで出されている。

 スクールカウンセラーの必要性は認めるとしても、臨床心理士に業務を独占させるような施策が、不登校や校内暴力などの改善に本当に有効かどうかは、きっちりした調査が必要であろう。長年教育に携わってきた元教員、地域で青少年の育成に貢献してきたお寺の住職、ボランティア活動家、発達心理学や教育心理学系大学院の修了者などにも平等に道を開き、どういう人材を配置したときにどのような成果が上がったのかを効果測定する必要がある。上掲載の連載、特に2001年7月31日の日記で批判したような、大ざっぱな自画自賛報告書に惑わされるべきではない。各自治体の教育関係者に再考をお願いしたいところだ。