じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 南アフリカで「環境開発サミット」が開催されているが、中国でも「持続可能な開発」を啓蒙する取り組みが進んでいるようだ。画面は玉樹で視た科学番組。画面に表示される漢文から論議を推測しただけなので詳しいことは分からないが
  • 持続可能な環境を保持するためには生物多様性の尊重が必要。
  • 人間に有益な動植物だけを守るという姿勢では環境は守れない。
  • 目先の利害だけでなく長期的な視点が必要。
  • 今の科学の知見だけで、有益か無益(あるいは有害)かを判断するのは危険。
というようなことが主張されていたようだった。最後のほうで「蚊を守ることも必要なのか」という問いかけがあったようだが、結論はよく分からなかった。

 8/31夜のNHK番組で四川省の野生パンダの生息域が脅かされていると指摘されていたが、確かに四川省各地では大規模な道路工事が行われていた。道路ができれば森林伐採も進む。元の科学番組の精神をぜひ行政に活かしてもらいたいものである。





9月1日(日)

【ちょっと思ったこと】
東京駅も上野駅も水に浮かんでいたとは?

 朝7時からの所さんの「目がテン」によれば、東京駅の地下水位はマイナス35mであったが、地下水汲み上げの規制が進んだことにより、現在ではその半分ぐらいになっているとか。このため、東京駅の地下4、5階はすでに水没状態にあり、浮力による上昇を防ぐために巨大ないかりで固定されているという。また、地下水を排水するための青いパイプが線路横を通っているという。上野駅でも同様の現象が起きており、こちらは3万トン余りの重りで浮力に逆らっているそうだ。

 東京の地下というと、私が小学生の頃はもっぱら地盤沈下が問題になっていたが、逆の現象が起こっているとは知らなかった。それにしても、排水のために汲み上げた水を用水路に捨てるだけというのはもったいない。冷房に使うとか、親水公園を作るというわけにはいかないのだろうか。




慢性疲労症候群とフコイダン

 夕食時に視た「特命リサーチ200X II」で慢性疲労症候群の原因の一部として、家畜を媒体に感染するQ熱(リケッチアの一種であるコクシエラによる感染。Qは原因不明の熱病“query fever”が語源、こちらに解説あり)が考えられると言っていた。正確には「慢性疲労症候群と呼ばれていた人たちの一部はQ熱の患者だった」と言うべきかもしれないが、犬や猫のペットからも感染のおそれがあると警告した点は意味があったと思う。番組のあと、娘が「じゃあ、なんで家畜やペットは慢性疲労症候群にならないの?」と質問が出たが、うまく答えられなかった。

 余談だが、この番組のあと今度は妻が「発掘!あるある大事典」を視ていたが、私自身はあまりのエエ加減な内容にあきれてしまった。この番組、どうせ視聴率稼ぎが目的なんだろうが、かつての「血液型性格判断」(→1997年6月15日の日記ほか)といい、少し前の「マイナスイオン」といい(→こちらの批判サイトなど)、よくぞあれだけデタラメなことを平気で言えるもんだと思う。もちろん放送内容を無批判に受け入れすぐに手を出してしまう視聴者層にも問題がある。少し前にも、虎の尾(サンスベリア)が30倍の値段で売れたとか、アロエ入りヨーグルトが売り切れになったというような話があった。今回の番組は「フコイダン」だったようだが、さっそく翌日の朝日新聞TV番組欄の下部には「うんっ、聞いたことあるある!」「あっ、テレビで話題の...」というフレーズでフコイダン錠剤の広告が出ていた。柳の下のドジョウは何匹いるのだろう。
【思ったこと】
_20901(日)[心理]日本行動分析学会第20回年次大会(9)PTSD〜行動分析学による理解と治療〜

 大会最終日の14時から15時まで、ウェスタンミシガン大学のリチャード・スペイツ(Richard C. Spates)博士による「Posttraumatic Stress Disorder: A Behavior Analytic Interpretation of the Disorder and Its Treatment/PTSD(心的外傷ストレス障害)〜行動分析学による理解と治療〜」という特別講演が行われた。私自身は、飛行機の予約の関係で15時ちょっと前に退席したため、講演の全体を理解することはできなかったが、一口で言えば、この種の障害も条件づけ(特にレスポンデント的な条件づけ)であるゆえに適切な消去のプロセスが必要であること、また、治療プロセスを比較分析する中で、一般に有効と信じられている一部のプロセスが不要であることが示されたというのが前半の内容であったと思う。この講演内容は加筆修正の上、活字化されるらしいので、それを拝見した上でまたコメントさせていただきたい。

 ちなみにスペイツ博士は、日本国内でのPTSD、あるいは日本が世界に誇る「森田療法」についても関心をお持ちであった、前日の懇親会の際に個人的にお話しする機会があり、森田療法のことを聞かれたが、私は専門家ではない。とりあえず、
全くの素人なので正確なところは分かりませんが、患者さんにとって望ましい行動を形成するための一プロセスとして、いったん患者さんを隔離することで日常の随伴空間から断ち切り、その日常空間のもとで強化されていた望ましくない行動が強化されない環境を作るということは大いに有効であろうと思います。
と考えを下手な英語で述べたところ、賛同していただけたようだった。




 今回の年次大会参加報告はこれで終わりだが、じつは、来年度の大会は、なっなんと、岡山大学が開催校になることが理事会で決定された。懇親会や総会で、
ネットが普及した時代、大会のあり方についても点検をする必要があると思います。会員が高い交通費や宿泊費を払って集まることによって【ネットではできない】何が可能になるのか、考えていきたいと思います。
と挨拶させていただいたが、せっかくお引き受けする以上、ネット時代に対応した特色を1つでも2つでも出せたらよいなあと思っている。この点についての現時点での考えを、明日以降の日記に記してみたいと思う。

9/2追記]スペイツ先生のご講演の際のパワーポイントファイルがこちらに、また、岡大・瀧本靖子さんらによる翻訳ファイルがこちらに残っていた。8/31時点ではアクセスできなかったので削除されてしまったのかと思ったが、鳴門教育大のサーバーが停止していただけだったようだ。