じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] アンバラ峠(4600m)付近で見たブルーポピー。8月10日14時51分(日本時間)撮影。





8月18日(日)

【チベット東部旅行記(1)】
_20818(日)[旅行]難行苦行に耐え、雲の上の楽園を目ざす

 8/3から8/17まで、チベット東部(カム・アムド・黄河源流域)を四輪駆動車で走破するツアーに参加した。

 『地球の歩き方:チベット』(ダイヤモンド社)などによれば、チベットは狭い意味では面積122.8万平米のチベット自治区を指すことが多い。しかし、ダライ・ラマ14世がインドへ亡命する以前にチベット人によって統治されていた地域は、チベット自治区、青海省、甘粛省、四川省、雲南省、インドヒマラヤ、ブータン)のそれぞれ一部を含む広大なものであり、文化的、地形的に見て、ウ・ツァン地方(チベット自治区中央部、ラサやシガツェ、ブータンを含む)、カム地方(東南部、四川省の一部)、アムド地方(東北部、青海省および甘粛省の一部)、ンガリ地方(西部、カイラス山やインドヒマラヤ地域、ラダックなどを含む)の4エリアに大別することができる。今回のツアーは、成都を出発して、カム地方、アムド地方を通って西寧に達するコースを辿るものであった。

 チベットと言うと、7000〜8000mクラスの険しい雪山と荒涼とした瓦礫の平原ばかりを連想しがちであるが、いくらなんでもそれでは人は住めない。今回のコースは、標高3000m〜5000mの高所とは言え、大部分は緑豊かな高原地帯であった。

 事前の案内によれば、コースは一部を除いて舗装されているということであったが、実際には、夏の辺境地区にはありがちな道路工事が多く、舗装された道路ではなく、舗装中の道路の横の泥道を通ることが多かった。このことを含めて、今回のツアーでは以下のような難行苦行が待ちかまえていた。
  • 高所苦行
     標高4000m以上での宿泊が3泊、4500m以上の峠を少なくとも5回通過するというなかで、否応なしに高山病にかかってしまう。私の場合も、8日目の宿泊地である石渠(セルシュ、4200m)で、頭痛や体が重いといった症状があり、パルスオキシメーターの値は、起床直後の時点で66まで下がった。

  • 振動苦行
     未舗装の道路が多かったので、車の天井に頭をぶつけるほどの激しい揺れに朝から晩まで晒された。しかも、シートには枕がついていなかったので、首をまっすぐ立てていると肩が凝ってくる。布袋にトレーナーなどを詰めたクッションを作って何とか対応した。

  • 土埃苦行
     大部分の道路は乾燥しており、先行車や対向車が巻き上げる土埃が物凄い。もっともその割には鼻詰まりが無かった。細かすぎて、肺まで入ってしまったのだろうか。

  • トイレ苦行
     2時間おきを原則にトイレ停車が設定されていたが、そんなに規則的にオシッコが出るわけではない。自分の排尿リズムを合わせるのに苦労した。このほか、ホテル内を含めて公共トイレの大部分は、低い仕切に穴が空いているだけのニイハオ・トイレであり、他人に見られながら大便をしなければならないという苦行もあったが、私自身は消化器系はずっと健康であったため、早朝の誰も居ない時にトイレを済ますだけで事足りた。

  • 不衛生苦行
     昼食時には町中の大衆食堂のようなところに立ち寄ることが多かった。よく洗っていないお皿、ハエ、土埃などあって、必ずしも衛生的とは言えなかった。もっとも、標高3000〜5000mともなれば相当の紫外線が降りそそいでいる。見た目ほど不衛生では無いのかもしれない。