じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

6月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] 大学近くの田んぼで餌をあさるアオサギ。このサギは一年中、このあたりをなわばりにしており、真冬は用水に足をつっこんで魚を捕っている。この田んぼでは夜になるとカエルの大合唱。それを目当てにゴイサギやササゴイもやってくる。今年の春に一部が宅地化されてしまったが、いつまでも残しておきたい自然との共生環境だ。






6月27日(木)

【ちょっと思ったこと】

2チャンネルにおける損害賠償

 インターネットの掲示板「2チャンネル」で名誉を傷つけたとして獣医師が管理人に500万円の損害賠償などを求めていた裁判で東京地裁は26日、管理人に400万円の支払いと問題記載の削除を命じたという。管理人側は控訴する方針。

 2チャンネルサイトを自分から読みに行ったことはないが、他者のWeb日記からのリンクやネット検索で時たまその一部を目にすることがある。また、私が運営している「誹謗中傷サイト存在確認」ボランティアの関係で、依頼に応じて当該箇所のファイルを保管することもあるが、とにかく全体としてどういう存在意義があるのか、どういう問題を抱えているのかを批判する立場には無い。

 今回の判決はまだ確定したわけではないが、何らかの賠償が求められることが確定すれば、さらに新たな訴訟を起こす人も出てくるだろう。日記才人の一行コメントも訴訟の対象になりうるわけで、管理グループを煩わせないためにも慎重な配慮が必要になってくると思う。

 私は、匿名で何かを表明すること自体は大いに結構だと思っている。特にWeb日記などの場合は、身近なことを書けばどうしても周囲に迷惑が及ぶ。ストーカーの被害を受ける恐れもあることを考えると、むしろ匿名のほうがオススメかと思う(私自身は、いまさら匿名にしても内容、文体、タグの使い方でバレてしまうので不可能)。

 ただし、「匿名だから何を書いても責任は問われない」と思ったら大間違い。発言内容に誤解があった時は訂正責任があるし、相手方に精神的苦痛を与えた時は自ら名乗り出て謝罪するくらいの構えが必要だ。

 今回の敗訴について管理人側の代理人は「これでは社会的な問題の告発など真実性を証明できない投書は削除しなければならない。掲示板を使った批判ができなくなり、表現の自由が大きく制約される。」と話しているということだが、2チャンネルが無ければ告発者を保護できないというものでもなかろう。内部告発者を守る手だては、もっと別の形で確立すべきものだと思う。実名で自由に意見を表明できる環境づくりをめざすことが真の言論の自由である。匿名でないと自由に発言できない国というのは、言論の自由が保障された国とは言えない。

【思ったこと】
_20627(木)[心理]本文中に他者の文章を引用すること

 ゼミでの卒論・修論の指導の話題。本文中での引用というのは、むやみやたらに増やせばよいというものではない。引用にはそれなりの必然性がなければならない。学問分野にもよるが、心理学では
  • Aさんの発言内容にオリジナリティがある場合
  • Aさんの主張内容が執筆者(もしくはBさん)と似ていることを示す必要がある場合
  • Aさんの発言内容自体がデータとして活用できる場合
  • Aさんが独自に調査した結果を利用する場合
などが「必然性」の目安になるのではないかと思う。引用として推奨されない事例を2つほど挙げると...
  1. 単なるデータの孫引き
    「桃太郎(2000)によれば、日本の総人口は2025年には1億2,113万人になる」というのは、桃太郎が独自に予想を立てたのではない限り不適切な引用である。この場合、桃太郎は何らかの研究機関が独自に行った調査に基づいて数値を出しているのだから、その出典まで遡って数値を確認しなければ意味がない。
  2. 自分の主張を他者に語らせて権威づけしているだけの場合
    「桃太郎(2000)が“AはBだ”と述べているように、AはBだ」というのは「AはB」だという主張の理由づけにはならない。「AはBだ」の根拠をちゃんと示した上で、その主張が桃太郎氏と一致しているという指摘をしなければ引用の必然性はない。
 このほかにもいろいろある。いずれ事例集でも作ろうかと思っている。なお、以上は学術論文における引用の話。Web日記などで単に情報源を示すだけのリンクや引用はもう少し緩やかであってよいと思う。