じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 5/12の日記で、ハート形の植物(ホヤの一種)が順調に育っていると書いたが、数日前、葉の脇から蔓が伸び出してきた。ごく普通の多肉植物に変身?





6月21日(金)

【ちょっと思ったこと】

かつらカウンセラー

 昼食時にNHK「にんげんゆうゆう:挑戦こそ我が人生:かつらカウンセラー」を視た。出演されたのは、体毛がまったく生えないハンディを背負いながらも、さまざまな悩みを克服し、かつらカウンセラーとして活躍されている阿部更織さん(27歳)であった。

 ネット上のリンクを辿ったところ、阿部さんは『快適!カツラ生活Q&A』という本も著されている。その表紙には、ご自身がかつらを付けた状態と、元のスキンヘッドの状態の写真が並べられている。スキンヘッドの写真も実は、眉毛部分はメイクによるもの。眉毛を自然に見せるメイク術も、長年の試行錯誤から編み出されたものだという。

 いつだったか忘れてしまったが、旅先のTVで、ある女の子が抗ガン剤使用のため脱毛になり、それならば私たちもということで、同じクラスの男女がみな髪を剃ってしまったという映画を観たことがあった。日記のどこかにそのことを書いたはずだったが思い出せないが、感動的だった。このほか、ホルモンやストレスを原因とした種々の脱毛も知られている。

 脱毛はそれ自体は、種々の介助を必要とする身体障害とは性質を異にしている。周囲が何も差別しなければそれで済むという側面は確かにあるだろう。早い話、男性は年をとればたいがい髪が薄くなる。要するに、同じ性、同じ年齢層で多数派を占めるような外見変化は「みんな同じだ。気にするな。」で片づけられる。

 しかし、若い女性となると話は違う。周囲の目とそれに対する自身の悩みは、当人でなければ語れないほど根が深いものであるに違いない。また、長期の旅行、水泳、サウナなどに一緒に行くのをためらったり、付き合っている異性にどう打ち明けるかという問題もある。じっさい、阿部さんの場合も、20代前半の頃には、かつらであることが気づかれないよう、半年ごとに職場を変えていた時期があったという。

 外見上の特徴については、肌の色、身長、体型などを含めて、まず、差別や偏見を無くす社会を作ることが大前提であるとは思うが、その上で、行動の可能性を広げるための機会を保障することはやはり必要であろうと思う。例えば仏門に入るために、自分の意志で髪を剃る女性は居るだろう。しかし、その女性は、気が向けばいつでも元の黒髪を取り戻すことができるという点で選択の自由を与えられている。脱毛症の人にはその選択肢が無い。さらには、髪を上げたり日本髪を結うという機会も奪われている。疑似的でもよいから、それを実現するために手段をつくすということはやはり大切だと思う。

 番組の終わりのほうで阿部さんは、「私の中には3人いる」として、かつらをつけている自分、メイクをしている最中の自分、ノーメイクのスキンヘッドの自分があること、そして、この活動を続けたことで、すべての自分が好きになったというようなことを言っておられた。また、「あの時こうすればよかった」という過去や、「これからどうしよう」という未来を語るのではなく、今を大切にするという姿勢が語られた。自らの体験の積み重ねに基づいて語られているだけに重みが感じられた。

6/21追記]つきなみ♀さんより、上述の映画について以下のような情報をいただいた[一部略。改行位置は長谷川が改変]。
「友情/Friendship 」1997年/和泉聖治監督作品/東映
ではないかと思います。三船敏郎御大の愛娘である三船美佳さんのデビュー作でもありましたが、長谷川先生ご指摘の感動的なシーンを事前宣伝に多用したため、劇場での感動が薄れてしまって残念な気がした思い出が御座います。
どうもありがとうございました。ええと、三船俊郎と言えば、私が子どもの頃「日本のいちばん長い日」や「大忠臣蔵」などを映画で拝見したことがある。その娘さんと言えば私と同じくらいのお年だと思っていたが....?? あの映画、旅行先の客室で観たことだけは覚えているのだが、さて、どこだったかなあ。