じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 実験室前の親子の桃が咲きそろった。手前が母親。数年前に枝の半分が枯れてしまったが、朽ちた幹からなんとか花を咲かせている。その桃の実が落ちて育ったのが奥にある木。高さ5m以上の大樹となった。





3月16日(土)

【ちょっと思ったこと】

「土星食」とは「見えないこと」

 3月20日の夕刻19時44分から20時1分までのあいだ(東京)、土星食が見られるという。土星食とは月によって土星が隠される現象である。明るい星なので、晴れていれば都心でも十分に見られるはずだ。

 今回の食は、福井県から東京南部をむすぶ線が南限となっており、それより南の地方では、見かけ上のニアミス、線上では土星の一部が隠されるという現象が起きる。祝日前夜でもあり、近くには池谷・張彗星もあるので、ぜひ見物に行きたいところだ。

 ところで、「食」の中でも、皆既日食は暗闇とコロナ、皆既月食は暗褐色の月というように、ふだんは決して見られない現象が出現する。ところが、土星食の最中というのは、単に土星が見えなくなってしまったというだけで、何一つ珍しいものは見えない。となると、わざわざ北日本まで旅行するほどの価値は無さそうだ。東京では19時44分に、月の暗い部分に土星が隠され急速に光を失う現象が見られる。その直前と、20時1分に、月の明るい部分から現れる直後がいちばん盛り上がる瞬間だろう。残念ながら岡山では、ニアミスのままで終わってしまうが。いずれにせよ、「土星食」とは「見えないこと」。本当に見えるのは、直前と直後の現象だけである。

 余談だが、我々は、「日の出」も「日の入り」も見ることができない。日の出とは太陽の上縁が地平線に達した瞬間を言うのだから、少しでも太陽が見えてしまった時には、すでに「日の出の直後」になっているのである。日の入りも同様であって、太陽が見えている限りは、日の入りの直前の状態を眺めているに過ぎないのである。




HPで成績を公開することは悪いことか

 3/17の朝日新聞によれば、奈良県・天理大学の教養部教授(47)が、2科目約600人の学生の成績を教授個人のホームページに掲載していたことが16日、わかった。大学の求めにより成績一覧は削除され、教務部長ら4人でつくられた調査委員会が教授に事実関係を確認、学生606人に謝罪文書を郵送したという。

 今回のケースでは、学生の氏名、ABCの3段階の成績評価、小テストの点数、不可を表すFも掲載されており、またおそらく、学外者もアクセスできるような状況で公開されたのであろう。このあたりが「個人情報を不特定多数に公開した」として問題視されたのではないかと思う。しかし、教授の意図は、あくまで「学生から自分の点数や評価をできるだけ早く知りたいという声があった」というニーズに基づくものであり、また、事前に「成績をHPで公開するが、公開されたくないものは申し出てほしい」と予告していたということなので、ネット上で故意に個人情報をばらまいたと言えるのかどうかは断定できない。大学はいったい何を謝罪したのだろうか?

 それはそれとして、個々の授業科目の点数を公開することはそんなに悪いことなのだろうか。その授業が選択科目であり、シラバスで公開が予告され、それを承知の上で履修登録をしたのであれば(←今回のケースがそれにあたるかどうかは未確認)、成績を公開することは何ら個人情報の漏洩にはあたらない。むしろ、そういう形で成績評価が行われることになれば、教員側もいい加減な採点(例えば一律80点にするとか、出席の比率だけで得点を決めるというような)はできないし、学生側も恥ずかしい点数はとれないと必死に頑張るだろう。

 それから、学校のテストの成績はヒミツ、その一方で、スポーツ競技の記録はすべて公開という発想はどこか間違っている。学校のテストだって努力の成果なんだから、よく頑張ったら表彰すればよいじゃないか。競争を助長するからイケナイという固定観念があるためなんだろうが、お互いを高めるための競争なら大いに結構。相手をけ落として上位に上がろうというなどという妨害行動が望ましくないだけなのだ。