じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 桃の花咲き始める。梅に比べるとはるかに花期が短い。





3月8日(金)

【ちょっと思ったこと】

某保険で年間5万1600円もお得になるか

 このところ、株価上昇とともに、円高方向への振り戻しが起こっている。少し前まで1ドル135円、1ユーロ120円近辺であったものが、3/8には1ドル127円、1ユーロ112円の円高となった。円安時に外貨預金を始めた人にとっては実質元本割れとなり残念な思いをしているにちがいない。

 そんななか、某シンプル系保険からの勧誘チラシが送られてきた。大きな赤字で4.3%10万円が年間5万1600円お得ですなどと書かれてある。いくらなんでもゼロ金利時代にそんなに利回りのよい保険などあるはずがないと思ってよく見ると
  • 利回り4.3%ではなく、団体払込扱いにすると普通の月払いに比べて4.3%の割引になる。
  • 月額10万円の保険に加入した場合、毎月4300円分、よって年間で5万1600円のお得
という意味であることが分かった。

 そもそも保険というのは、加入者が払ったお金から、諸経費、亡くなられた方への保険金支払いなどを差っ引くと、そんなに「利回り」が良くなろうはずがない。その仕組みに触れずにあたかも5万1600円も儲かるような紛らわしいチラシを送付することは少々問題ではないかと思う。それと、毎月10万円もの保険金を払える人は相当裕福、しかも上限は契約者一人あたり1000万円までとなっているはずなので、これでは10年たたないうちにオーバーしてしまう。

 念のため、私の年齢で10年満期2倍保障型の保険に入ると、月々の保険金額は23200円、つまり10年ではトータル278万4000円の支払いとなる。ところが、満期で確実に戻ってくるのは200万円のみ、その他にプラスα分が戻るというが、ゼロ金利時代にそれほど多くは期待できないはずだ。ま、特約無しならもう少し安くなるかもしれんが、団体扱いにしたからといって年利4.3%の貯蓄になるなどとは誤解しないほうがよいように思った。

 チラシの下部には「いまの金利比較表」があり、100万円の定額貯金が5600円、1年定期は320円、一年積立が毎月1万円で年38円(いずれも税引き後の利子額)などと記されていたが、これじゃあまるで、貯金をしてもお金など貯まりませんよと言っているようなもの。それと、見方によっては団体扱いにしない人は4.3%分損をするというようにも受け取られるのではないだろうか。

 
【思ったこと】
_20308(金)[心理]第11回エコマネー・トーク(6)どんぐり倶楽部の実験

 今回は、2番目の事例報告「どんぐり倶楽部の実験」(福田順子・城西国際大学経営情報学部福祉環境情報学科・教授)について感想を述べることにしたい。

 まず「どんぐり」という名称の由来だが、肝心なところを聞き逃してしまった。特に深い意味はなかったのかもしれない(昨日まで紹介した「千姫」が姫路城のヒロインにちなんだ名前であることは容易に分かる)。

 千姫が155〜180名規模だったのに対して、こちらのほうは第一次試験流通(2カ月)で約40名の参加となっている。以下に示す7つにカテゴライズされたサービスメニュー表に基づいて登録が行われ、事前説明会と電話による交渉が行われるという仕組であった。
  • 「a.家事」:買物代行、簡単な料理、料理法指導など
  • 「b.文化、教育」:日本語指導、通訳、講義開放、野球指導など
  • 「c.IT」:パソコン関連など
  • 「d.動物」:犬の散歩など
  • 「e.遊び、リラクゼーション」:話し相手、マッサージなど
  • 「f.介護、手助け」:子どもの世話、介護など
  • 「g.その他」:モーニングコール、ビデオ録画代行、悩み事相談など
配布されたのは1人あたり1万どんぐり。おおむね1時間で1000どんぐりとなっていた。

 わずか10分間の報告だったので詳しく伺うことはできなかったが、上記のサービス内容を拝見する限りでは、大学キャンパスが役割を果たしているのは講義の開放程度のものであり、どちらかというと大学生が直接地域に入ってボランティア活動を行うか、もしくは地域住民どうしの交流(料理法指導など)という部分が多いのではないかと印象を受けた。この場合、地域住民から大学生に対してはどういうサービスが提供されるのだろうか、あるいは、エコマネーの流れが一部の人たちだけの間でループを作ることは無いのか、ちょっと気になった。

 もっとも、「大学」vs「地域」というような垣根を設ける発想のほうから問い直さなければならない。これに関して、公式報告の中で田崎善克氏は、
.....私たちは「大学」そして「地域コミュニティ」という枠組みの中で交流の接点を探しがちではないでしょうか。しかしながら実際に交流をするのは、大学そして地域コミュニティの中にいる「私たち」です。つまり、私たち個人が、いかに各人の程度に応じた能動的な交流を図ることができるか? この点が非常に重要な課題ではないかと感じます。そして能動的な個人の交流が集積することによって、初めて「大学」そして「地域コミュニティ」というメリットが活かせ、本当の交流が可能になるはずです。
と述べておられた。大学が教育・研究機関として行う地域連携と、大学関係者が能動的な個人として行う活動は同一には論じられないとも言える。



 ところで、昨日までに紹介した岡田氏(ひよこさん)のところでは、「卒論の資料あつめ、研究補助、パソコン技能の教授、学内環境調査の協力など」にもエコマネーが使われていると聞いた。これに対して、福田氏の「どんぐり」のほうでは、教員が学生に何かを頼む場合にはエコマネーは使われないとのことだ。時間が無くて質問の機会を逸してしまったが、福田氏の「どんぐり」では、「教師vs学生」という関係に依拠するやり取りは意図的にエコマネー対象から外しておられるような印象を受けた。

 このほか、福田氏のご報告の中では「あまり肩をはるな」、「あまり、入れ入れと勧めないほうがよい」、「エコマネーと環境問題に関しては、必ずしも『環境=自然環境』ではなく、福祉環境という捉え方も必要」(←いずれも長谷川の記憶に基づくため表現は不確か)といったご発言が大いに参考になった。次回に続く。