じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] ミモザの花、見頃に。花屋から買ってきたポット苗がこんなに大きくなった。ミノムシにだいぶ葉を喰われたがこれも愛嬌。





3月6日(水)

【ちょっと思ったこと】

1億4620万円の電子投票は必要か

 3/5の朝日新聞岡山版によれば、岡山県新見市の2002年度予算案が4日、発表された。一般会計133億2140万円の中には、6月の市長・市議同日選で導入される見込みの電子投票のため、機械購入費を含む1億4620万円が計上されている。ちなみに、歳入の44 5%は地方交付税、市債は17億130万円、市税は24億8170万円となっている。

 他の自治体の方針に口出しするのはまことにお節介かもしれないが、選挙人名簿登録者数1万9721人という県内最少の市で、なぜ電子投票を実施する必要があるのだろうか。全国初という話題性を狙ったのか、国からの交付税を増やすためなのか、いずれにせよ、選挙ほんらいのあり方を考えた時、それほどの意義があるとは思えない。また、目新しさという点で最初の数回は大幅に投票率がアップするかもしれないが、そのことをもって地方自治への関心が高められたと考えるならスジ違いであろう。

 代議制の民主主義の社会では、選挙という行為は住民が政治に関与する最も直接的な機会になっている。それを形骸化しないためには、見かけの効率性や人的コストよりも、自分の手で選挙を成功させたという達成感を与えるような方策を追求すべきではないだろうか。例えば、候補者ポスター掲示板の設置、投票所開設、投票立ち会い、開票作業などに、ボランティアもしくは弁当代程度の「ボラバイト」(ボランティア型のアルバイト)を参加させる。公正さ確保を大前提とした上で、もっと住民の手で運営できるような選挙のあり方を考えるべきだ。なんでもかんでも住民電子投票で決めるというならともかく、数年に一度しか行われないような選挙のために、生身の人間の関与を疎遠にするような電子投票制度を導入することには意義を感じられない。




性犯罪史上類を見ない犯行

 3/5の朝日新聞によれば、3歳から10歳までの女児11人に強姦やわいせつな行為をしたとして、強姦致傷や強姦未遂などの罪に問われた高山正樹被告(26)に対する論告求刑公判が4日、仙台地裁であり、仙台地検は「長期にわたって反復、継続され、犯行状況をビデオに録画するなど、我が国性犯罪史上、類を見ない卑劣な犯行」として無期懲役を求刑した。同記事によれば、被告は逮捕後100人前後の女児にわいせつな行為をしたと供述し、また被告の家からはビデオテープなどに45人の女児がわいせつな行為を強いられている場面が映っていたという。

 被害者の人権に配慮したためか、この事件は、少なくとも一般新聞やテレビではそれほど大きく取り上げられていなかったように思う。しかしいずれにせよ、犯行が「長期にわたって反復、継続」されたことを防止できなかったという点は、警察や学校や地元住民にも重大な責任があると思う。

 たしかに被害を受けた娘の親の立場から見れば、犯人に重い刑罰を科すことよりも、娘の将来に悪影響を及ぼさない形で内々に解決したほうがよいに決まっている。しかし、1つの刑事事件をうやむやにするということは、次の犠牲者が出る可能性を強めるという結果をもたらす。事件についての詳しい状況が分からないのでこれ以上のことは言えないが、今度のような性犯罪であれ、暴行事件であれ、万引きやセクハラであれ、自分(自店)の身内だけの被害として個別的に捉えるのではなく、再発を防ぐためにはどう対処すべきかという視点を持つことも必要ではないかと思う。

【思ったこと】
_20306(水)[心理]第11回エコマネー・トーク(4)世代内の交流か、世代間の交流か

 今回のトークの公式報告がこちらにアップされていたので、まず、御紹介させていただく。

 次に昨日に続いて、岡田真美子氏「キャンパス発ITエコマネー」の感想の続き。

 岡田氏のデータによれば、千姫プロジェクトの第一次実験参加者は155名、第二次は180名であった。年齢構成を見ると、20〜40歳台が8割近くを占めているが、0〜9歳が1%、70代が3%ということで、ほぼ全世代が参加していることが分かる。

 時間の関係で質問し損ねたが、この種の取り組みで一番興味があるのは、同一世代内のやり取りと、世代間のやり取りの比率である。統計学的には、参加者全員から任意の2名を選んだ時の年齢の組合せに比べて、実際に発生したやり取りがどの世代内(あるいは世代間)に片寄っていたのかを知れば、エコマネーの役割が見えてくるはずだ。

 もし、20代は20代、50代は50代の間だけでやり取りをしていたとするなら、わざわざエコマネーを導入しなくても、各世代のニーズにマッチしたサークルを作ればよい。いっぽう、10代の子供と60代の高齢者間の間で多様な交流が生まれているならば、エコマネーは世代間の交流に大きく貢献しているという証拠になる。「やり取り」件数の増加ばかりでなく、こうした内訳を細かく分析することが、今後の発展のヒントになるのではないかと思う。

 岡田氏は最後に、「維持(他人の苦労に学ぶ...)」、「展開」、「更新(実験として行うことによりリセット可能)」という3つを活動のポイントとして挙げておられた。このうちの「展開」では、説得性原理ではなく親近性原理をうまく使うのだという。つまり、「〜をすると良いことがある」という形で相手を勧誘するのではなく、自然な活動の中で「何か面白そうだ」という雰囲気を作っていくということらしい。行動分析で言うならば、ルールによる行動統制ではなく、直接効果的なオペラント強化で参加者の輪を広げろということか。

 次回に続く。