じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 辞める方の「ボクの店」(カナダ、ナイヤガラの滝近辺にて)。最初っからここに居ればよいものを。





1月30日(水)

【ちょっと思ったこと】

田中外相更迭で「大学院・退学願い」を思い出すわたし

 1/31の朝日新聞によれば、外相を更迭された田中真紀子氏の辞職手続は、罷免ではなく「依頼免職」であったという。30日の記者会見で福田官房長官によって明らかにされた。

 記事によれば、(辞任を求めた)総理の要請に(田中氏)は否定的なことを言っておらず、口頭で「わかりました」といった時点で辞任したことになったと解釈され、政府としては田中氏が「辞職願」に署名しなくても法的には問題はないという。今回の首相の行為は「罷免権を背景にして田中外相に自主的な辞職を求めたもの」なので、「辞職願」を出さなかったからといって必ずしも「罷免」には言えないとのことだ。

 この件で思い出すのが、私自身が博士後期課程3年経過時に提出した「退学願い」である。博士後期課程(DC)というのは「課程博士」が認定されない限りは修了したことにはならない。大学によっては最長6年まで留年を認めているところもあると聞くが、私が所属していた大学院では3年たつと自主的に「退学願い」を出し、その後は、無職の研修員となるか、学術振興会の奨励研究員や特別研究員(←いずれも当時の呼称)に採用され、周辺大学や専門学校の非常勤講師で収入を補いながら研究を続けるというのが慣行となっていた。私の場合も3年経過時で「退学届け」に署名捺印し、その後5年目でやっと文学博士(←当時の呼称)をいただくことになった。

 大学院を退学すると、身分上いろいろ不利益になることがある。いちばん困るのは、退学時点から5年以内に教職に就かないと奨学金の返還免除の優遇措置が受けられない(←当時)点であった。何も好きこのんで非常勤をやっているわけではない。いろいろな大学の公募に応募してもなかなか採用してもらえないのでやむを得ずオーバードクターを続けているのだから、これはかなり厳しいプレッシャーとなった。私の場合は結果的に、専任職に就職したのが退学から6年目であったので、もうすぐ50歳になろうという今でも毎月1万円程度の返還を続けている。いや、今の私の収入から言えば、たとえ年限内に就職できていたとしても返還すべき性質のものではないかと思っているけれども、いつ就職できるか見通しのたたないオーバードクター時代にはそんな余裕は微塵もなかった。

 では、あの時点で退学届けを出さないとどうなったか。学則上は最長6年間留年できたはずである。とはいえ、指導教授から「退学届けを出しなさい」と指導されれば、イヤとは言えない事情があった。このあたりは、「罷免権を背景にして田中外相に自主的な辞職を求めた」首相−外相の関係を連想させるところがある。

 それにしても、「わかりました」という返事は危険だ。「理解できた」ということと「了承した」という2通りの意味があるのだが、文脈によってはいいように受け取られてしまう。電話勧誘などで、うっかり「わかりました」と答えると「注文OKです」と受け取られる恐れがあるので注意したいものである。



「テニスの王子様」やら「ヒカルの碁」やら

 娘が風邪で塾を休んだおかげで、19時台のチャンネルをとられてしまった。いつも歌番組ばかり視ている娘だが、この日はアニメが2本。19時からが「テニスの王子様」、19時半からが「ヒカルの碁」。いずれもテレビ東京系のアニメのようだ。

 スポーツアニメというと私の世代では「思い込んだら試練の道を」で知られる「巨人の星」や、「苦しくたって悲しくたって...」で知られる「アタックNo.1」など、ド根性物を連想してしまうが、今回視た限りでは、だいぶ毛並みが違うように思われた。よくワカランがこの主人公の髪型って、白髪の有無を除けば私そっくりやなあ。そろそろ床屋に行かなければ.....。

 もう1つの「ヒカルの碁」というのは、ホンマに囲碁の番組だった。囲碁のルールも知らないクセに何が面白いのだろうか。囲碁が好きなら私が相手してやるって言うに。「サイ」とかいう棋士が強いという話だったようだが、スポーツアニメならともかく、碁の強さを映像で表現することができるのだろうか。そう言えば梅沢由香里さんってこんなところに登場していたのね。うちの娘も棋士にならんもんかなあ。

1/31追記]「碁の強さを映像で表現することができるのだろうか」と書いた点について、掲示板で豊田秀樹さんから
.....梅沢さんが監修しているので対局者の心理や,30歳近くでプロになれない人の悲哀(研究者に通じるものが有る)とか実に良く書けているのです.....
というコメントをいただいた。なるほどそういう悲哀なら描けますなあ。きょうの日記で取り上げたオーバードクターの悲哀も一緒だが、マンガネタにはならない?





役に立つ裏技、創造性を誇る裏技

 昨日書き残した「伊東家の食卓」の話題。

 お風呂のお湯を浴槽いっぱいに溢れさせてしまった時、どうやって無駄なくお湯を使うかという裏技が面白かった。短く切ったゴムホースの中に、ワイヤーのハンガーを伸ばしてツッコミ、S字形のサイホンを作るという裏技が面白かった。ワイヤー製のハンガーはいろいろな用途が考えられる。我が家でも釣り鉢用に使っているが、これをホースにつっこんで「形状記憶ホース」を作るというアイデアはなかなか創造的であると思った。もっとも、いくら便利とはいえ、お風呂のお湯を溜めすぎるということは滅多にあるものではない。また、わざわざサイホンを通してお湯を出さなくても、洗面器ですくったほうがよっぽど楽なようにも思える。役には立たないが創造性を誇る裏技と言ってよいかと思った。

 このほか、ヒモをうまく使ってマッチ棒で割り箸を割る裏技も面白かった。その理由を問う物理の問題など面白いと思うのだが、高校物理のレベルでは難しすぎるかも。




屋内釣り堀で憩う

 もう1つ、これも昨日の「ひるどき日本列島」の話題。町のなかにある「屋内釣り堀」が取り上げられた。

 面白いと思ったのは、釣った魚(鯉ばかり?)は、持ち帰るのは希で、ポイントに交換するのが普通だという話。ポイントは、鯉の大きさや、緋鯉か黒い鯉かによってランクづけられている。たまったポイントは珍しい金魚や水槽に交換されるようになっていた(←しっかり視ていなかったので不確か)。

 もし、釣りの喜びが魚を食べることにあるならば、このようなポイント制では楽しみは半減するはずだ。しかし考えてみれば、釣り堀の鯉は抗生剤が多く含まれているいるだろうし、そもそも鯉が食べられない人だっている。かといって持ち帰って飼うほどの池もない。しかも、ポイントと交換された鯉は生け簀で休養させられ再び釣り堀に戻されるので、かわいそうだという気持ちも起こりにくい。けっきょく、ここに集まる人たちの楽しみは、獲物を手に入れることではない。釣りというスキルを磨き、釣り上げたという達成感によって強化されているのだろう。こういうところに真の「行動内在的好子」があるというのはまことに興味深い。