じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] マッソニア・ロンギペス。南アフリカ原産のユリ科の植物で、2枚の葉の間から雄しべが目立つ白い花を群開する。夏は球根だけになるが、10月頃から新芽が出てくる。種を蒔いて育てると3年後に花が咲くという。気の長い話だ。





1月21日(月)

【ちょっと思ったこと】

「痴呆」は「老人性記憶統合失調症」がよいかも

 1/21の朝日新聞記事および「天声人語」によれば、日本精神神経学会は19日、「精神分裂病」の新しい病名として「統合失調症」を選ぶことを決めた。ことし9月の学会総会で正式に決定し、関係行政機関などに働きかけるという。

 精神的な病気の診断名あるいは俗称は、これまでにも何度か変更されている。例えば「多重人格」は今では「解離性同一性障害」と呼ばれている。

 あくまで耳学問になるが、今回問題となった「精神分裂病」は、スイスのブロイラーが提唱したもので、それまでは「妄想病」とか「破瓜病」と別々に呼ばれていた。19世紀の末に、ドイツのクレペリンが、妄想病も破瓜病も同じ病気の異なる側面にすぎないと発見したことが大きく貢献している。今回の呼称の候補の1つに「クレペリン・ブロイラー症候群」というのがあったのはそのためであろう。

 同日の天声人語では、らい病をハンセン病と言い換えられた経緯のほか、アルコール中毒、狂牛病などについて考えが述べられていた。ちょっとひっかかったのだが、「○○中毒」と「○○依存症」は明らかに別物であって、言い換えて済まされるものではないと思う。医学的な定義のことは分からないが、中毒というのは文字通り、アルコール、ニコチン、覚醒剤、麻薬類などの薬理作用によって、神経系その他からだの内部が異常な状態になっていることを言うのではないかと思える。いっぽう、依存症というのは、行動レベルでの問題であって、生理的な変化で測れるものではない。例えば、「共依存」と言えば、相手との関わりに関する依存であるし、テレビ依存、ケータイ依存、TVゲーム依存だってあるはずだ。上記の場合で、内科的には何の症状が見られなくても、飲酒が日常化し、ストレス解消をすべてアルコールに頼っているのならアルコール依存と呼ぶべきであろう。

 今回の問題に関してぜひとも検討してもらいたいのが、「痴呆」という呼称である。痴呆になったからといって、すべての知的能力が失われるわけではない。むしろ、過去の記憶との混同や、いま現在における記銘の障害によって、日常生活が混乱し、不適応状態になることが問題なのである。一例として「老人性記憶統合失調症」というのはどうだろうか。



アフガン復興支援国際会議と「英語コミュニケーション力」教育

 東京都内のホテルで21日、アフガン復興支援国際会議が始まった。当日のテレビでは、小泉首相、緒方政府代表らの英語スピーチの報じられたが、小泉首相のしゃべり方は原稿の棒読み程度でリズムに乏しく、流暢というにはほど遠いものだった。緒方氏のしゃべり方も、国際舞台で大活躍しているという「割引原理」が働くのだろうか、ラジオの英会話入門の先生ほどにはペラペラではなかった。いっぽう、カルザイ議長の英語はまことに流暢で、ちゃんと「間」も活用している。どういう英語教育を受けるとあれほどの達人になるのだろうか。

 もっとも、「英語コミュニケーション力」というのは、ネイティブスピーカーの物真似ができることではない。英語を母国語としない人々の間で、自分の意見をちゃんと伝え、かつ相手の主張をちゃんと聞き取ることが何よりも大切なのである。緒方氏は、それができるからこそ、あれだけ活躍されているのである。

 同じ日、文部科学省が、国民の英語コミュニケーション能力向上のため、英語の“達人”に学校教育でのアイデアを聞き施策に反映させる「英語教育改革に関する懇談会」を発足させたというニュースをラジオで聞いた。初回は「小学校でも英語教育を取り入れるべきだ」といった意見が出されたというが、くれぐれも、ネイティブスピーカーの物真似をさせることのないように願いたいものである。土日に行われたセンター試験問題を見ても思ったことだが、いくら小学校で教わったところで、使われなければすぐに忘れる。ネイティブスピーカーを大量に雇用する予算があるならば、外国の小学校との交流を深めることに重点をおくべきだ。それも、米国や英国ばかりでなく、アジア各国に輪を広げ、具体的なやりとりの中で英語の使い方を覚えさせるべきであると思う。