じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 動物実験室近くのセンダンの木にネコが登っていた。なんでこんなところに?と思ってあたりを見回したら、近くに白い犬が。この犬、この一週間ほどこの近辺でよく見かける。迷い犬か捨て犬かわからないが人によく馴れている。 [今日の写真]





12月18日(火)

【ちょっと思ったこと】

新幹線の実質値上げ

 12/18の朝日新聞によれば、JR東海は17日、2003年秋のダイヤ改訂に合わせ、東海道新幹線の料金体系を「のぞみ」に一本化し、実質的に値上げする方針を表明したという。但し、のぞみの自由席も設け割引を行ったり、のぞみ料金自体をもう少し下げる含みもあるという。

 岡山と東京を往復する場合、現行料金では航空機特割とひかり利用回数券がほぼ同じ額、のぞみ指定席は割高になる。また、ひかりで岡山から東京に向かう場合は、岡山始発なら確実に座れるので、のぞみを利用するのはよほど急いでいる時だけに限られる。このほか、航空機では日帰り往復より宿泊したほうが安いという割引クーポンもある。これ以上値上げするのだったらJRはもう利用しないと言いたくなる。
【思ったこと】
_11218(火)[教育]必読書30冊もいいが、Web日記もよいかも

 中教審・教育制度分科会は17日、幼児から成人段階まで教養教育を充実させるための答申案をまとめたという。この案は来年1月の総会で正式な答申にとなる見込み。答申案の本文を読んでいないので正式なコメントはできないが、12/18の朝日新聞に記されていた高校教育に関する部分:
高校段階では、各校が30冊の必読書を決めてさまざまな価値観に触れさせ、卒論など自分が選んだテーマを調べて報告したり討論したりすることで論理的に考える機会をつくることを提言。職業体験をしたり、芸術や伝統文化に接したりする必要性も打ち出した。
から連想されることについて、思ったことを述べたいと思う。

 見出しにもなっていた「必読書30冊」だが、各校は何を選ぶのだろうか。ありふれた無難な作品ばかりが並ぶようであると、『必読書・読解のポイント』などという参考書が出回ることになるだろう。とりあえず、最近この日記で取り上げた本の中で30冊に入れてほしいものと言えば、『クリティカルシンキング入門編』(ゼックミスタ・ジョンション、北大路書房)、『自由論』(内山節、岩波書店)、『エコマネーの世界が始まる』(加藤敏春、講談社)、『日本人はなぜ英語ができないか』(鈴木孝夫、岩波新書)、『「英文法」を疑う』(松井力也、講談社現代新書)、『受験勉強は子どもを救う:最新の医学が解き明かす「勉強」の効用』(和田秀樹、河出書房新社)の6冊は、ぜひオススメだし、「さまざなま価値観」に触れるという点で大いに意義があると思う。ちなみに私が高校生の頃は、太宰治とか廣津柳浪などの文学作品のほかは、知ったかぶりで『ブルバキ数学原論』を愛読していた。父親が都立高校の国語教師だったため文学作品は山ほど書棚にあったのだが、殆ど興味は持てなかった。

 次に、「卒論など自分が選んだテーマを調べて報告したり討論したりすることで論理的に考える機会をつくる」という部分だが、大学で4年間学んでも満足できる卒論が完成しないというのに、果たして、論理的に考える機会を作り出せるかどうか、ヘタをすると参考文献の丸写しや論理の飛躍に終始することは無いのかと思ってみたりするのだが、ま、大学に入ってから立て直しができるならそれもよかろう。

 答申案ではたぶん触れられていないが、毎日Web日記を書かせ、お互いの日記を読み、日記読み日記を書かせるなんていうのも、高校教育で取り入れたらよいのではないかと思う。Web日記といっても、プライベートな人間関係や悩みは書きにくいだろう。あくまで、「必読書」や毎日の新聞記事を読んだ感想とか、日常体験の中で思ったことを記していけばよい。毎日同じ時間に更新すれば規則的な生活が身につくし、365日書き続けることになれば継続する力の養成にもなる。他人の日記を読むことは多様な価値観を知る機会になるし、「日記読み日記」を書くことは論理的に考える機会にもなる。たまには衝突があってもよいだろう。それを繰り返すことで、適切な批判の仕方と受けとめ方を身につけることができるはずだ。そのためには、日記才人参加者が高校生の模範を示す必要がありますなあ。

 携帯電話の交信内容に象徴されるように、いまの世の中では、筋道を立てて長々と主張することよりも、分かりやすい「合い言葉」のほうが強い説得効果をもたらす傾向がある。5/4の日記で述べたように、最近では、米国大統領選挙や小泉首相の発言などに関連して「サウンドバイト」という言葉が使われるようになってきた。これに関連して、大前研一氏は、
最近の若い世代は、「サウンドバイト(ほんの短いメッセージ)的思考」であるといわれます。直感的に物を考え、あまりロジックを形成することがないのです。これにはマスコミの影響も大きく関与しています。つまり、メディアによる「刷り込み」が行われているのです。このような環境では、「メガヒット」が生まれやすくなっています。
と述べている。パワーポイントを使ったプリゼンテーションでも、「直感的に分かりやすい」フレーズをどのように配置するかが、聞き手にインパクトを与えるカギとなっている。

 そういうフレーズを創り出す力は必要であるとしても、別のところでは、ちゃんと筋道立てて根拠を挙げながら主張していかなければならない。それを磨くには、読むだけでは不十分、ちゃんと書かせるという教育が求められるように思う。

10/19追記]

 答申案がこちらにアップされていた。内容を拝見した上で、特に大学教育に関する部分について後日、意見を述べたいと思う。