じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 霧の朝。11/25の朝、岡山市内は深い霧につつまれた。左は農学部構内、右は時計台前。大学祭の最中のため、朝から人や車が多い。 [今日の写真]



11月25日(日)

【ちょっと思ったこと】

元旦の市外通話がタダになるという全面広告

 11/25の朝日新聞に「元旦まる1日の通話がタダになるキャンペーン」という全面広告が出されていた。広告主は、我が家でもすでに契約しているフュージョン・コミュニケーションズである。

 この広告によれば、2002年の1月1日午前0時以降に開始し、23時59分までに終了した通話・通信は無料になるという。但し、国際通話や3分10円のネット接続サービスは従来通りだという。またフュージョンは市内通話は扱っていないので、この分も別会社の料金として有料になるはずである。

 これが予告通り実施された場合、何か問題は起こらないのだろうか。思いつくままに挙げてみると、まず、回線が大混雑して繋がらなくなるという恐れ。もっともそこまで加入者が増えれば会社としては本望だろう。

 次にインターネットをうまく利用する方法はあるだろうか。他のプロバイダで「使いたい放題」の契約をしている人の場合は、電話代がいちばんの出費となる。しかし、元旦に限って、敢えて市外のアクセスポイントに繋げば一日中無料でネットを使えるというメリットがあるだろう。すでに専用回線を引いている人でも帰省先はアナログ回線だけということもあるので、これは結構使えるかもしれない。その場合、帰省先の実家が加入している必要があるので、これも会社にとっては宣伝効果が大きい。

 タダであることを悪用してマンション購入勧誘の電話をかけまくる業者が出てくるだろうか。もっともいくら営業熱心とは言え、元旦にセールスをしても良い印象を与えることはできないだろう。

 となると、この広告戦略、ひょっとして大当たりになる可能性もある。他の「マイライン」、「マイラインプラス」対応会社はどう対抗してくるだろうか。
【思ったこと】
_11125(日)[心理]第10回エコマネートーク(1)21世紀のキーワードは「サスティナブル(sustainable)」と「ローカライゼーション(localization)」

 11月22日(木)の夕刻に行われた第10回エコマネー・トーク(主催:エコマネー・ネットワーク、会場:アサツーティ・ケイ銀座オフィス)の参加報告の1回目。今回のテーマは
  • 中島恵理氏(環境省):環境とコミュニティ〜あたらしいコミュニティと環境のあり方を考える サスティナブルローカライゼーション〜
  • 加藤敏春氏(エコマネー提唱者、経済産業省、東京大学大学院併任教授):各地の『エコマネー』の状況報告
  • アサツーティ・ケイEcotプロジェクトチーム:Ecotの紹介
となっていた。エコマネーについては、5月12日の京都心理学セミナーで、中山昌也・エコマネーネットワーク事務局長からお話しを伺ったところであるが、会の催しに参加するのは今回が初めてであった。

 最初の話題提供をされた中島恵理氏は、環境省の地球環境局地球温暖化対策課係長という要職にあられる方で、このネットワークの創設時からの会員であるという。肩書からのイメージで緒方貞子・前国連難民高等弁務官のような方を想像していたが、実際に現れたのは大学院生のようなヤングな方であった。中島氏は、今回の話しは勤務先の方針とは関係の無い個人的見解であると断った上で、いまふうの語尾上げ口調で熱っぽく議論を展開された。

 さて今回のキーワードは、「サスティナブル(sustainable)」と「ローカライゼーション(localization)」という2語からなる。

 このうち前者は最近ひんぱんに耳にする言葉だ。9/23に拝聴したユネスコ主催のシンポでも、「Education for a Sustainable Future」という資料が配付されていた。続く加藤敏春氏のpptスライドにもあったが、対数的上昇【←関数の形から言えば「指数」的ではないかという気もするが】を続けてきた人類は、いまや破滅するかソフトランディングして平衡安定するかの瀬戸際にある。21世紀に我々が求めるべきものは、無展望な右上がりの「発展」ではなく、むしろ「持続可能性」にある。どのようなイデオロギーであれ、経済体制であれ、「サスティナブル(sustainable)」は避けて通れない第一義的課題であると言えよう。

 もう1つの「ローカライゼーション(localization)」は言うまでもなく「グローバリゼーション(globalization)」の反対語である。といっても、ここでは両者を対立的・二者択一的にとらえるのではない。むしろ相互補完的なもので、いずれを欠いても「サスティナブル(sustainable)」も幸福も実現しえない。中島氏は両者について
  • グローバリゼーションの役割:共通の価値・取り組みに関心を持つ人々のネットワーク。地域での経験の普及・情報交換。
  • ローカライゼーション:地理的なコミュニティ。物、エネルギーの移動。自立したコミュニティ。
といった役割を説いておられた。そして、取り組みのステップとして
  • ステップ1:人と人とをつなげる、気づき、インセンティブ。
  • ステップ2:小さなプロジェクトの実施、刷新的プロジェクトの実験。
  • ステップ3:地域の実践から経済社会のシステムの変革
という3段階を構想し、それぞれの発展過程でエコマネーが大きな役割を果たすことを強調された。

 いまや、環境問題は、政府や自治体が音頭をとって住民を指導したり、法律で規制するだけでは成り立たないということなのだろう。主人公はあくまで地域のコミュニティにある。個々人が自分勝手にお役所に要求をしたり不平をたれているだけでは何も解決しない。住民自身が主体的・能動的に取り組む、その代わりお役所もちゃんとそれをサポートする。こういうボトムアップ型のシステムがぜひとも必要なのである。

 中島氏のお話の中でなるほど、と思ったのは、

●環境問題をコミュニティで解決することは、「がまん」を「楽しみ」に変える
●環境は地域経済の制約要因ではなく、地域経済を元気にするツールともなりうる

という発想である。個人が自分だけで環境問題に取り組もうとしても、モラル向上や我慢の呼びかけに終わってしまって限界がある。コミュニティの中での「協働」は人と人との繋がりを生み出す。

 かつてのムラ社会では豊作や無病息災がコミュニティ全員の最大の関心事であった。だからこそ、それらを願う村祭りが盛大に行われ、結果として人々の繋がりが活性化された。いまこれに代わるものといえば、環境問題以外にはあるまい。盆踊り、運動会、慰安旅行、形式的な歳末募金などを年中行事として行っても町内会は衰退するばかりだ。環境問題をメインにして地域一帯で取り組めば、必ずやその地域は「元気になる」はずだ。

 以上のお話しを伺った上で、心理学あるいは行動分析学がどのような役割を果たしうるかを考えてみた。
  • 上記のステップ1の部分の「気づき」や「インセンティブ」の部分は、行動もしくは行動随伴性の概念でより具体的に捉えることができるはず。
  • 地域の取り組みを具体的な行動に置き換え、何が強化因になるのかを考えることが大切。特に、環境問題の本質的な解決という行動内在的な結果と、エコマネーを通じてコミュニティが人工的に付加する結果の配分を考える上で行動分析的アプローチは大いに役立つはず。
といったところだろう。