じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 昼食時にアパートから眺めた駐車場。うむ、ちょっと様子がおかしいぞ。



11月19日(月)

【思ったこと】
_11119(月)[心理]地域通貨とエコマネー(2):さいむさいむさむいさむい

 11/18の朝日新聞によれば、全国670市と23特別区の地方債残高が2000年度末に過去最悪の約42兆円に達したことが明らかになったという。これまでの最高額だった99年度よりも2600億円増加、また2000年度の市区の歳入額は約38兆1200億円でこれを上回っているという。同じ記事の中で神野直彦・東大教授(財政学)は、「...福祉や医療、教育など必要な公共サービスが十分できなる恐れがある。...」とコメントを寄せている。

 新聞紙上では、このほか
  • IMFの国際通貨金融委員会は17日採択した声明の中で、日本に不良債権問題を抜本的に解決するように求めた。(1/19)
  • 4大金融グループの不良債権処理額は、みずほグループが2兆円規模、UFJグループが1兆数千億円、三菱東京グループが5000億円規模、三井住友が4000億円+αなど(11/20)
  • 今年度の国際発行額が30兆円を超える見通し。
などやたらと「債」の字が目立つ。今年の特徴を漢字1字で表すという企画があったと思うが、同時多発テロの衝撃に惑わされず現実を冷静に見つめるならば、もっとも代表的な漢字1字は「」ではないかと思ってみたりする。

 ところでこの「債」だが、岩波国語辞典から抜粋すると

●債:(1)借金・借財。他人から金品を借りた負い目。自分が果たすべき約束。(2)借金の返済を求める。

という意味のあることが分かる。また、角川『大字源』からの抜粋では、

●債:(1)かり。借りた金銭。借金 (2)かし。貸した金銭。

同じく「大字源」の解字によれば
会意形声。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる責(請求する貨幣の意)とから成る。人から取りたてられる金銭、負債・借金の意。また、借り手に請求する金銭の意。
となっており、「お金を借りる」ことと「それを返せないこと」が現代の経済の最重要課題になっているように思われる。

 ほんらいお金の貸し借りというのは、個人や団体間で発生する問題。それゆえ、誰からも借金せず、誰にもお金を貸していない人にとっては他人事で済ませられる問題のはずだ。ところが、それが、福祉や医療、教育などの公共サービスの低下や大量失業といった形で、貸借関係を持たない人々の生活までが脅かされるというのはどうみても異常である。福祉や安定や平和を追求すべき国家が、目に見えない借金取りに追い立てられて本来の業務を後回しにするというのはまことに奇妙なことである。




 それでは、21世紀の政治・経済はまず借金を返すことから始まるのか。それをクリアしてからでないと、安心できる生活は保障されないのだろうか。最近、読み返している加藤敏春氏の著書:
  • 『エコマネーの世界が始まる』(講談社、2000年、ISBN:4-06-210434-6)
  • 『エコマネーの新世紀』(頸草書房、2001年、ISBN: 4-326-55039-2)
を拝読すると、どうもそうではないような気がしてくる。私は当初、エコマネーというのはエコロジーやボランティア活動を活性化させるためのトークン(token)にすぎないと思っていたのだが、加藤氏らは、もっと根本的な経済改革を目ざしているようだ。そしてその根本的な問いかけは、
  • 「お金(マネー)」とは何か?
  • 価値とは何か?
から出発している。

次回に続く。