じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 強い冬型の影響で岡山県南部は一日中しぐれ模様。北部の蒜山では雪が降ったとか。この寒さの影響で、農学部の楷の木(オス)の紅葉もそろそろ終わりとなった。なお、その北側にあるメスの木と、時計台前横の木はこれからが紅葉本番となる。



11月14日(水)

【ちょっと思ったこと】

コレステロールの比率

 夕食時に、NHK「ためしてガッテン」の最後の部分を視た。コレステロールには善玉と悪玉があることは前から知っていたが、今回の番組によれば、悪玉の総量よりも、「LDL/HDL」の比のほうが重要だという。この値が2.3の時に動脈硬化になる危険を1とすると、値が6に上がった場の危険度6.4倍に増大する。また、値が6であって、さらに高血圧の要因が加わると16倍、高血圧+高血糖の要因が加わると32.9倍、さらに、「喫煙+高血糖+高血圧」という3点セットが揃った場合には57.3倍になる。

 番組終了後に9月の職員定期健診の結果を見たところ、LDL=20.8、HDL=5.6となっていたので、その比は3.71。黄色信号点滅の状態にあるようだ。もっとも私の場合、高血糖ではないし、血圧も65〜110なので正常範囲。10月以降は就寝前と早朝の散歩を習慣づけているので、ある程度改善されてきているのではないかと思う。

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【思ったこと】
_11114(水)[心理]「能動主義」の心理学(1)

 来年度の教養教養科目のシラバス提出期限が16日に迫っている。これまで教養科目は、人文、社会、自然、総合科目といった旧来の区分で分類されていたが、こちらの案内にもあるように、来年度からは、「カリキュラムの構造化」の方針に基づき、すべての教養科目はこちらに記されているように6つの主題科目、もしくはそれに当てはまらない個別科目に分類されることになった。

 私自身はこれまで「こころの科学C」として行動分析学の基礎を教えてきたが、今回の改革を受けて、内容に方向性を持たせ、「生きる」ということを前面に出した授業に切り替えようと考えている。

 その中心概念となるのは「能動主義」である。「能動主義」という言葉は、ネットで検索した限りでは哲学の特定概念を指し示す言葉として使われることもあるようだが、少なくとも登録商標にはなっていないようだ。ここで私が意味するのは、「行動主義」をもじったものであり、行動の能動的な側面に特に注目しようということ。もともとスキナーの造語である「operant behavior」というのは、生活体が自発し外界に能動的に働きかける行動のことを意味していた。この点では、ワトソンが始めた行動主義とは明らかに一線を画していたのである。ところが、どこで取り違えられたのか、いまや過去の遺物でしかすぎないハルやトールマンの理論と一緒くたにされて、スキナーの行動分析学は「新・行動主義」と呼ばれるようになってしまった。スキナーの弟子達はこれを嫌い「徹底的行動主義」[英語直訳は「ラジカル行動主義(radical behaviorism)」]などと自称したが、これも何だか過激派のような呼称で受けが悪い。そこで私が考え出したのが、発音がよく似ていて意味的にもほぼぴったりな「能動主義」という呼び方である。

 では、「能動主義」の本質は何か。この入門的授業では、「わずか3つを仮定することで、これだけ見方が変わる」ということを示していきたいと思っている。その3つとは
  1. 人間の本質は「能動する」ことにある
  2. 「能動」は、その結果によって変わる
  3. 生きがいは「能動」の起こり方によって決まる。
というものである。これだけの仮定から、「やる気」、「価値」、「生きがい」、「自由」、「働きがい」、「余暇」、「高齢者福祉」、「教育」、「食生活」、「経済生活」、「ネット利用」などの問題をすべて論じてしまおうという試みである。

 能動主義の特徴は、子供も大人も、障害者も健常者も、高齢の痴呆のお年寄りも、質的に同じ生きがいを共有できるという点を理論的に保証するところにある。哲学や倫理学や宗教学などの学問が大切であることは認めるが、それらを学ばなければ生きがいが失われるわけではない。むしろ、象牙の塔から脱出できない者は、海外旅行のガイドブックばかりを読み耽って自分の足で歩くことを忘れ、それだけで一生を終わってしまう恐れさえある。能動主義の基本は、まずは自分の足で歩くことである。簡単な道標を頼りに、大地をしっかりと踏みしめることに価値がある。ガイドブックや他人の旅行体験談は参考にはなるが絶対必要というわけではない。崖から転落しては困るけれど、選んだ道自体に善し悪しがあるわけではない。

 今回予定している授業は、主題科目の分類によれば、内容的には、主題2の「自己と他者」に近いものと思う。しかし私はあえて、主題4の「いのち」に分類されることを希望した。理屈や解釈よりも、日常生活での実践が何よりも大切と考えたためである。

 最後に「能動主義の心理学」は単色の思想ではない。私自身、自分のコピーや同調者を増やそうとは全く思っていない。「能動主義」の本質は、人それぞれが能動的に働きかけ、成功や失敗を繰り返しながら主体的に自分の道を選択していくことにある。